たっぷりの木漏れ日に包まれるマインドフルな長い散策。
書きかけの結末は短編小説のようでした。
主人公は不眠症で、移民の建設作業員。
仕事仲間との関係は良好そう。一人マンションに帰ると"ここが俺の家だ>>続きを読む
主人公には持病があり、それが未来への見通しを失わせてしまっているように感じます。
彼はロシアの詩人で、イタリアで取材旅を行っています。同行する美人通訳への欲望を理性で押さえ込んでいるようです。
そんな>>続きを読む
カウントダウンに息を呑み、静まり返った劇場に緊張が張り詰めていくのを感じました。
監督はいつも観客を安全ではない場所へ連れて行こうとしているように思えます。
物語は長大で、荒野に作り上げられていく機>>続きを読む
オシャレで、心地良くて、とっても切ない、いたずらな前世。忘れられない恋になりました。
24年前、同級生。泣き虫の少女を見守る少年。
少女は新天地を求める親の都合でアメリカへと旅立ちます。Y字路で別れ>>続きを読む
君が誕生するまでに世界を直せるだろうか。
まだ見ぬ妹へ贈る主人公のヒロイズム溢れるモノローグ。
圧政者、反逆者、教団、皇帝。理念の衝突は戦争へ続く暗い未来を指し示しました。
砂漠の地での主人公と母の>>続きを読む
遥か未来への探求心と空想力が作り上げた群像劇。壮大な不条理に圧倒されます。
美しい砂漠の惑星。その砂の中から突然現れ抑圧者を刺し殺す青い目の民。
降り注ぐ爆発物。オープニングから壮絶な戦いの予告。恐>>続きを読む
暗く死後の世界にでも迷い込んでしまったみたいなモノクロの風景。
もの悲しい音楽と、ゆったりとしたテンポ。余韻まで写すような長回しの連続。
奇妙で侘しい雰囲気が特徴的でした。
主人公のヤーノシュは、天>>続きを読む
タイトルからして重そうで、ずっと難しそうだと思っていました。
クラシックやバレエに親しみが無く、退屈しそうで劇場でなければ鑑賞しないままだったかもしれません。
1936年から描かれる半世紀を駆け抜け>>続きを読む
とても穏やかな時間の流れのなか、切実な生き辛さが描かれていきました。
PMSとパニック障害を持つふたりの若い主人公たち。
もし自分だったら…の自問がたくさん浮かびます。
漂着するように入社した中小企>>続きを読む
悪夢のテーマパークみたいでした。
ヒステリックなキャラクターたちに出迎えられ、不条理で歪んだ愛着の世界線を主人公のボーと旅する3時間。
チャプターごとが異なる病をテーマとしたアトラクションかのよう>>続きを読む
薄暗い部屋にときおり陽気な風が吹き込んで来るような、侘しさと少しの希望がありました。
小さい劇場でほぼ満席。
始まってあまり間も無くあちらこちらでコックリコックリ。
静かでしっとりとしていて、とても>>続きを読む
もっと旅と冒険を描いた娯楽作かと思って油断していました。
びっくり。おぞましさにエログロナンセンスを散りばめた実験作でした。
マッドサイエンティストのゴッドウィンは、投身自殺の女性を蘇生しベラを生み>>続きを読む
厄介者たちは天使か悪魔か。
エキゾチックなジプシースウィングに乗せて、幸せについての物語がコミカルに描かれました。
旅を宿命付けられた母娘が、凍える北風に乗って川沿いの小さな村へ越して来ます。チョコ>>続きを読む
冒頭から調理場に入り込んだかのようです。
克明な調理場面が続きます。
腕を振るうのは家主のドダンと、女性調理人のウージェニー。
湯気が立ち上り、鍋やフライパンが忙しく行ったり来たり。手際良く調理され>>続きを読む
東京、亀戸。
ほど近くにスカイツリーが立ち、夜にはキラキラと輝くのが見えます。
今にも取り壊されそうな古い木造アパート。
そこに住む平山さんは、無口でプロフェッショナルなトイレ清掃員。
利用者に心無い>>続きを読む
壮年の男女がカラオケバーで出会いました。
ふたりとも労働者として下層階級に生きています。
不器用で孤独。心の穴が見えるよう。
理想無く、人生を眺めているだけだったような主人公たちに訪れた幸福の予感。>>続きを読む
腹一杯に生き血を飲まされた気分です。
目の前で次々と殺人や脅迫が行われました。死屍累々。命がいくつあっても足りない時代に投げ込まれたよう。
ある程度、覚悟して鑑賞しましたが、負けました。あまりの強>>続きを読む
大人の恋に落ちていく時間をたっぷりと味わえました。
寒空の下、波打つ海は不透明でも曇り空の向こうでは夕日が輝いています。
人生にはふと言葉にならない美しい景色が訪れることを思い出させてくれます。>>続きを読む
終演後、寝ている方をちらほらお見受けしました。(気持ちわかる!)
下北沢が舞台でハモンドオルガンが鳴ればサニーデイでしょうか。主人公の名前も青ですし。
彼の絵に描いたような非商業性はサブカルチャーの>>続きを読む
砂漠の町、アステロイドシティへちょっと旅するような軽い気持ちでしたが、冒頭から入子構造の複雑な構成に面食らいました。
階層のテイストが違うので、一粒で二度美味しい作品でしたが、筋に付いていくのに頑張っ>>続きを読む
孔子と弟子の問答からはじまる群像劇は、思想的な雰囲気を纏った、とてもおしゃべりなラブコメディでした。
経済成長が進む台北の喧騒の中、4人の元同級生を中心に絡み合う人間模様が描かれます。
その暮らしぶ>>続きを読む
実在の武将とその愛人を元にした京劇〝覇王別姫”が劇中劇として絢爛に演じられます。
それを演じる二人の主人公、小豆と石頭。彼ら同様に数々の出来事に心が振り回されました。悲しみが苦しみを引き寄せるような意>>続きを読む
最後かもしれない宮崎駿作品に否が応でも期待が膨らみます。
これまで何度も豊かさと贅沢は違うものだと教えてもらいました。
上映が終わっても劇場は静まり、ポツポツと「分かった?」や「良かった。」の声が聞>>続きを読む
猛暑日の鑑賞。はじめこそ客席からガサゴソと落ち着かない音が立っていましたが、物語も中盤に差し掛かる頃、完全に静まり返った劇場に誰もが固唾を呑んでいるのが感じられました。
発端はシングルマザーが小学生>>続きを読む
色々なシーンが頭にこびりついています。
長尺で一見静謐でしたが、静かな不満に冒されていきました。
繰り返す暮らしの中で小さな思い通りにならないことが積み重なり、歪みはじめる日常が主人公を追い詰めてい>>続きを読む
人との距離感に問題を抱えた姉弟にまつわるオフビートな作品でした。
ふたりは離れて暮らしていましたが、姉のサラは離婚を機に弟のロバート宅へ転がり込みます。
作家だというロバートの丘に建つ邸宅はとても立>>続きを読む
残念でした!
冒険家であった姿が消え失せたヨレヨレのインディは、教職の終わりを迎えていました。
心がすさみ、生きがいの火が消えてしまっている彼は酒に逃げています。
そんな折、古い仲間の娘が突然現れま>>続きを読む
250人。規格外の脱走計画の一部始終は小気味良い軽快なマーチで幕を開けました。
ドイツ軍は捕虜の中でも脱走の常連組に頭を悩ませています。
そこで新たに収容所を作り、まとめて管理してしまおうと考えまし>>続きを読む
人はみんな不器用。
息抜きや気晴らし。飲酒のきっかけや理由はどこにでもあります。
落ち込んだ時もまずお酒が手を差し出してきます。
アルコールは楽しいものだという宣伝も毎日目にしますね。
依存するには>>続きを読む
コントラバスのような低音が鳴り続け劇場に不穏で閉塞的な空気が流れます。
重厚な雰囲気に包まれたまま熟年夫婦の日常が描かれました。
妻のミナは病に冒されており、夫のハリムは秘密を抱えています。
寡黙で>>続きを読む
思ってたよりコンパクトでコミカルな空中散歩でした。
男達は賭け事に夢中。ビールを追いかけ回したり、浮気をしたり、恋をしたりとワイワイやっています。
内戦下で制作されたとのことで、そこかしこで銃声、>>続きを読む
不自由な環境から逃れようともがく兄の物語でした。
祖母と幼い弟と暮らす青年ファルー。刑務所へ違法な差し入れをする運び屋の手伝いをしています。
弟はデブチンのあだ名が付くほどの食いしん坊。言う事をなか>>続きを読む
異郷の砂漠に魅せられ、理想に燃えたイギリス軍士官ロレンスの冒険譚。
冒頭、主人公の死後に語られた人物評は、良いもの悪いものと相反するものでした。
全編を通して、人間、政治、自然などの両面性が描かれて>>続きを読む
万国共通、親子で観たらきっと気まずい。
大きなヘッドホンから流れるドリーミングな音楽が喚起するイメージの世界に浸っている文化系の女の子が主人公。
成人ですが見た目は子供。実家暮らしの未熟な大学生。>>続きを読む
救助するのは文化財です。
劇場も燃えるほどのリアリティ。火災現場の目撃者となりました。
大聖堂は徐々に煙と炎に包まれていき、死を予感させる高温の中、消防士達は国家予算より高価なキリストのいばらの冠を>>続きを読む
デタラメで乱暴な犯罪映画。
チンピラたちは令嬢を巻き込み強盗を企てています。
主人公たちは刹那的です。モノクロのパリの街で手を叩き、踊り、走り、愛を語りました。
観客をもてあそぶように割り込むナレー>>続きを読む