タイトルからして重そうで、ずっと難しそうだと思っていました。
クラシックやバレエに親しみが無く、退屈しそうで劇場でなければ鑑賞しないままだったかもしれません。
1936年から描かれる半世紀を駆け抜けるような185分。スクリーンで観れて感謝です。
踊るモスクワから、喧騒のパリ、ニューヨーク、激動のベルリンへと舞台を変えて4つの家族の並行する物語は、第二次世界大戦へと突入し、その爪痕までが描かれました。
いくつもの記憶に残るシーン。音楽をきっかけ転換する場面。喜びや喪失が次々押し寄せて、感傷に浸る暇が無いほどの展開でした。
ラヴェルのボレロという曲が、世界一長いクレッシェンドと呼ばれ、実験的で狂気性を持ったとても特殊な曲だということを、後から知りました。
祖国の反逆者となったダンサーによって踊られたボレロの躍動は、身震いするほどに研ぎ澄まされたものを感じました。
業も美しさも、壮大で一度では味わい切れないほどのダイナミックな群像劇。
フランス映画の宝石に酔いしれました。
少し残念だったのは、同じ役者さんが度々出てきたこと。似ているレベルではない違う人物で現れるので違和感を感じてしまいました。