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夜明けのすべてのeのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.4
とても穏やかな時間の流れのなか、切実な生き辛さが描かれていきました。
PMSとパニック障害を持つふたりの若い主人公たち。
もし自分だったら…の自問がたくさん浮かびます。

漂着するように入社した中小企業の栗田科学でふたりは出会います。
症状に悩み苦しみながらも、たがいの凸凹も冗談まじりに認め合えるようになっていきました。
彼らを取り巻く大人達は、上昇志向に欠けるようでいて、理解力も包容力もあるベテランばかり。居心地の良い平和な環境でしたが、とある過去を抱えていました。

栗田科学は科学教材などを扱う会社として、毎年の行事である移動型プラネタリウムを開催しています。
ふたりも与えられた役割の為に準備を始めると、その眠っていた過去と出会うことになりました。

手の届かない星空のように、ままならない状況に置かれた人々の姿。
身体の声をよく聞くこと、時には自然の声に耳を傾けることを忘れてはいけないですね。

世間の波に揉まれても誰かを案じることのできる人は、その人自身もまた何かを受け取ってきた人なのだろうなと感じます。
さりげない優しさの温かい余韻が残りました。
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