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To Leslie トゥ・レスリーのeのレビュー・感想・評価

To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)
4.1
人はみんな不器用。

息抜きや気晴らし。飲酒のきっかけや理由はどこにでもあります。
落ち込んだ時もまずお酒が手を差し出してきます。
アルコールは楽しいものだという宣伝も毎日目にしますね。
依存するには財力も体力も時間も必要。
精神的な疾患とも言われますが、個人化や孤立が進むほど陥りやすい環境が作られてしまうと思います。
PB商品などはすごく安価で驚きます。

冒頭、アルバムをめくるようにいくつかの古ぼけた写真が主人公レスリーの過去を語りました。
幼少期から一人息子の母となり、宝くじで大金を手にすることになるまででした。その中には顔にアザができたものも。夫は人生から消えたようです。
大金が底を付くまで酒を飲み尽くしてしまった彼女はアパートを追い出されます。
そんな成れの果てから物語は始まりました。

アルコールに溺れることで何が起こり得るのかが描かれていきます。
嘘をつき、悪態をつき、信頼を壊して回ります。そして愛想を尽かされ見放されます。
やがて再起のきっかけが訪れます。
拗ねてしまった彼女がどこに辿り着くのか見守っていくことになりました。

問題や課題は時間が経つほど複雑化してしまう。なんとかなっている内は目を伏せておきたいものですよね。
降りかかる身の危険や、嘘やスリップがいつ訪れるか、終始ハラハラし通しでした。

忘れてはいけないのは、本当に傷ついているのは周囲の人々だということ。彼女に対する冷ややかな目も期待の裏返しだと思います。

もっと息の詰まる作品かと思っていましたが、レスリーの持つ天真爛漫さと弱さと強さ。周囲の人々の優しさと葛藤に打たれ、あっという間の2時間でした。

高額当選羨ましい!
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