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ラヴ・ストリームスのeのレビュー・感想・評価

ラヴ・ストリームス(1983年製作の映画)
3.9
人との距離感に問題を抱えた姉弟にまつわるオフビートな作品でした。

ふたりは離れて暮らしていましたが、姉のサラは離婚を機に弟のロバート宅へ転がり込みます。
作家だというロバートの丘に建つ邸宅はとても立派で多くの女性を引き込んでいます。作品も女性絡みのもののよう。
いつもタバコかアルコールを口にし、含み笑いを浮かべた女たらしです。
タキシードを着込んで女性を探しに出掛けるような生活を送っています。

姉のサラは自身の離婚直後のゴタゴタの中、一人娘から同居を断られてしまいました。
彼女の愛が過剰過ぎたようです。奴隷になりたくないとまで言われてしまいます。
激しくショックを受けたサラは倒れ込んでしまいました。
そんな彼女は、愛は止まらない流れだと主張します。そして、何度もバランスが必要だと口にします。
それが家族が離れていってしまった原因のひとつでした。

愛情に執着し突き進んでしまうサラのフィルター越しに見る景色と、ロバートの渇いた世界が交差していきます。
ふたりの生活は、まともとは言いがたいものですが、不安定さを伴い問題に取り組む姿は可笑しくもあり、ハプニングも生まれました。

淡々としたシーンや感情の停滞があったりと見やすい作品ではありませんでしたが、見えない着地点を目指して生きる姿は、観客にとってリトマス試験のようでもありました。

レゲエやジャズの心地良い音楽に彩られながら、愛の息苦しさと普遍的とも思える孤独が描かれました。
ダメな大人もいるさと許してくれるような風変わりな物語でした。
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