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怪物のeのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
4.3
猛暑日の鑑賞。はじめこそ客席からガサゴソと落ち着かない音が立っていましたが、物語も中盤に差し掛かる頃、完全に静まり返った劇場に誰もが固唾を呑んでいるのが感じられました。

発端はシングルマザーが小学生の息子に次々と現れる異変に見舞われたところからでした。
ミステリー仕立てで、様々な視点を通じて真相に近づいていきます。
その心理は触れそうなほど細やかに描かれ、透明度の高い映像は、生々しい臨場感をゾワゾワと伝えてくれました。

謎のビル火災、怪しい噂、疑心暗鬼。息子に現れた異変は様々な憶測を呼びマスコミを巻き込んで広がっていきます。
それぞれの思惑が渦巻くなか大型の嵐がやってきて。

真実は苦しいものかもしれない。怖いけど覗きたい。何度もそんな野次馬的欲求を掻き立てられました。
真実に近づく頃にはすっかりのめり込んでいました。
素晴らしかった。胸を締め付けられました。苦しかった。楽曲、切なかった。
眩しいくらいに美しい映像は劇場で観て良かったと思えました。

誰も知らない世界から見れば怪物は私たちですね。
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