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アラビアのロレンス/完全版のeのレビュー・感想・評価

4.4
異郷の砂漠に魅せられ、理想に燃えたイギリス軍士官ロレンスの冒険譚。

冒頭、主人公の死後に語られた人物評は、良いもの悪いものと相反するものでした。
全編を通して、人間、政治、自然などの両面性が描かれていたと思います。
勇気ある行動にも成果と残酷さがもたらされました。

戦況把握のため、王族への接触の任を受けた主人公はアラビアへ派遣されます。
およそ士官とは思えない奔放さで、単独行動の末に砂漠の民の信頼を勝ち取っていきました。
そんな主人公の変わりゆく姿を目の当たりにしたイギリス兵たちは目を丸くして驚きます。

物語の運びはとても簡潔で説明的とは感じませんでした。アラビアの地に迷い込んだかのよう。
アラブ反乱について復習し、ようやく舞台となった砂漠や街の位置関係や背景が理解できました。

スクリーンいっぱいに広がる砂漠の世界。
モウモウと砂煙が舞い、カラカラに乾いた世界では日差しは残酷で、ときに竜巻が巻き起こる厳しい環境です。
要所である井戸には厳格な掟があり、様々な部族が行き交い生死を賭した問題も起こります。
月に太陽に照らされる砂漠には何度も美しい時間が訪れました。
そんな余計な物が入り込めない厳しい砂漠世界の魅力を主人公は清潔さだと語ります。

サウジアラビア建国へと繋がる歴史と、遠くアラビアを旅する気分を存分に味えました。
神がかりとまで讃えられた男とラクダに揺られて。
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