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アステロイド・シティのeのレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
3.9
砂漠の町、アステロイドシティへちょっと旅するような軽い気持ちでしたが、冒頭から入子構造の複雑な構成に面食らいました。
階層のテイストが違うので、一粒で二度美味しい作品でしたが、筋に付いていくのに頑張って疲れました。

「目覚めたければ眠れ」という啓蒙的で謎めいたキーワードと共に、分裂した物語には夢見心地を突き返されるような、混乱させられる場面が多くありました。
構造の境界線が不明瞭になるよう意図されたと思えるシーンもあり、さらに混乱を煽られます。

2つの物語は、ある死から始まり並走しながら極限状態へと進んでいきます。
天才と狂気、愛や出会い、おとぼけにナンセンスなど詰め込めるだけの要素を詰め込んだといった様相でした。

辺鄙な砂漠の地でさえ、キャッチーに染め上げられたビジュアルは類稀で、さながら個展を観ているようでした。
カントリー調の甘酸っぱい音楽が添えられ無類の世界観を彩ってくれます。

ロマンチックなシーンが非連続的な中で唐突に訪れました。その美しさにハッとしました。
とは言え、ややこしい作品でした。
複雑な味わいが魅力だったかと思うので、もう一度しっかり味わっておきたいです。
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