横山ミィ子さんの映画レビュー・感想・評価

横山ミィ子

横山ミィ子

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リンダはチキンがたべたい!(2023年製作の映画)

1.5

いくら母親の罪滅ぼしのためとはいえ、またいくら父親の思い出のためとはいえ、ストライキという人々の大事な期間くらい、我慢させられないものなのか(ストライキに迷惑をこうむる善良な市民、という構図にも見えた>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

昔聞いた話では、「うちの子は『となりのトトロ』が大好きで、何度も観るんですよ」という親御さんがいると、宮崎駿監督は「それじゃダメなんです、お子さんを本当の森で遊ばせてあげてください」と言ったとか。>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

地方から若者が上京し、東京で仲間を見つけ、ぶつかり合い困難を乗り越えながら成功し、次は世界を目指すーーこのスタンダードとも言えるストーリーに大きな力を与えているのは、なんといっても一流のジャズプレイヤ>>続きを読む

風立ちぬ(2013年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

とてもいい映画だった。庵野秀明氏の話し方も、優秀だけど不器用な二郎の雰囲気に合って、悪くなかった。

風は目には見えないものなので、風を表現するためのものが多く登場する。帽子、傘、髪の毛、草原、旗、工
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かもめ食堂(2005年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

「最初はガラガラだった食堂が最後にはお客さんで一杯に。そんな上手く行くわけない」と仰る向きも。それはそうだろう、これはファンタジーなのだから。ではなぜこの映画に魅了されるか、それはストーリーや展開だけ>>続きを読む

小犬をつれた貴婦人(1959年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

主人公の二人が出会うのはロシアの避暑地、ヤルタ。「ヤルタ会談」の場所として名前を聞いたくらいの知識だったが、ロシアによる侵略という酷い歴史を持つ土地であると、この映画をきっかけに知った。

ところでロ
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洲崎パラダイス 赤信号(1956年製作の映画)

2.0

蔦枝(つたえ)と義治(よしじ)という情けない男女が、終始他人の善意にすがりながら身勝手に生きていく話に思えた。他の登場人物たちも強さや成長がなかった。パラダイスと銘打たれた、特に女性にとっては救いのな>>続きを読む

精神0(2020年製作の映画)

4.5

名医として尊敬され患者さんから慕われる山本昌知医師は、引退し、認知症を患った彼の伴侶・芳子さんとともに歩むことを決めた。

ドキュメンタリーであるが、監督のインタビューや語りはほとんど(全く、だったか
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女優 原田ヒサ子(2019年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

善意と笑顔と家族愛、というと聞こえはいいかもしれないが、全体として「私的なホームビデオ」を見ているような印象。

認知症になってから、自分がもともと女優として生きてきた、と信じきってしまった母親(原田
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愛しきソナ(2009年製作の映画)

4.0

監督のヤン・ヨンヒ氏の、北朝鮮ピョンヤンで暮らす兄たちと、その姪っ子ソナとのドキュメンタリー。この映画でまず感じたのは「街が綺麗」「マンションの生活もひどくない」ということだ。人は協力し、工夫しながら>>続きを読む

こわれゆく女(1974年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます


『こわれゆく女』の原題は"A Woman Under The Influences"。under the influencesとは「何かの影響下にある」という意味だが、辞典を参照するとunder t
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ウイークエンド(1967年製作の映画)

1.0

初ゴダール。途中までは「なんやこの人々」と思いつつも楽しく観ていたが、文明化について(?)の長い長いセリフのあたりから、「この残虐で血生臭くて狂った出来事の数々は、宗主国が植民地でやってきたことのメタ>>続きを読む

ワース 命の値段(2019年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

「9・11」日本では「同時多発テロ」と銘打たれた事件の直後に、米国政府は遺族および被害者に賠償することを決定する。これは訴訟をさせないための「示談金」であったが、徐々に人の信頼を得ていくことになる。そ>>続きを読む

ジーサンズ はじめての強盗(2016年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

何となく見始めたがすぐに引き込まれた。さすがエンターテインメント大国アメリカのコメディ、面白かった。強盗という犯罪を逃げおおせてしまう、という点に疑問を持つことはもちろんそうなのだが、一方で、多くの労>>続きを読む

レナードの朝(1990年製作の映画)

4.5

ニューヨークの慢性神経病患者専門の病院に勤めるようになった医師セイヤーが、30年来難病に苦しむレナード、同じ症状の患者たちに新薬を投与し、それによって奇跡ともいえる効果が出始めるが・・・。実話に基づく>>続きを読む

バグダッド・カフェ 完全版(1987年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

アメリカの砂漠にあるカフェ兼ガソリンスタンド兼モーテル「バグダッド・カフェ」に、ひょんなきっかけで訪れたドイツ人女性・ジャスミンと、カフェのオーナーである女性・ブレンダ、そしてその周りの人たちの交流の>>続きを読む

ホッキョクグマすっごくひま(2021年製作の映画)

4.0

ああ、こういうのが観たかったという、町の食堂の定食のような(?)一品!気負わずにニコニコ楽しめるのは、なによりも言葉選びのセンスと洗練された絵力あってこそだろう。

幾多の北(2021年製作の映画)

4.0

日本でトップのアニメーターのお一人と尊敬する、山村浩二監督のアニメーション作品。明確なストーリーがあるわけではなく、詩とそれにまつわるイメージの映像で紡がれていく。「文学のヴィジュアル化」という言葉が>>続きを読む

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

5.0

2017年10月、ニューヨークタイムズ紙で報じられた記事ーハリウッドの大物、ハーヴェイ・ワインスタインによる性暴力と、その被害者の女性たちの名前。その記事が公開されるまでの、二名の女性記者ジョディ・カ>>続きを読む

ヘアー(1979年製作の映画)

4.0

オクラホマ出身のクロード・ブコウスキーが、従軍の前に寄ったニューヨークで、ジョージ・バーガーをはじめとするヒッピーのグループと友達になり、その行動に巻き込まれていく話。

名曲「アクエリアス」そして「
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.0

主人公の桜木花道が属する湘北(しょうほく)高校と、超強豪・山王(さんのう)工業高校とのインターハイでの対戦を軸に、同時進行で湘北のメンバー、宮城リョータのこれまでを描く物語。

まずは、私自身が原作『
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戦場記者(2022年製作の映画)

4.0

TBSロンドン支局の記者として、須賀川拓氏が各国の地域に出向き、見たもの・聞いたものと、その仕事に対する思いを綴るドキュメンタリー映画。

「戦場記者」とあるが、英語のサブタイトルはA Conflic
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マイスモールランド(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

いくつかのレビューで「考えさせられた」「知るきっかけになった」という声が出ていたのは救い。私が日本の入国管理局の実態や、不法滞在とされるの外国人の状況について知ったのは、スリランカ人女性ウィシュマ・サ>>続きを読む

月夜の傘(1955年製作の映画)

4.5

ロマンティックなタイトル、ピアノやハーモニカで時おり奏でられるクラシックの名曲。名優たちの笑顔に彩られ、牧歌的でのどかに見えるが、描かれるのは強者の論理に振り回される人々、プライバシーのなさなど、田舎>>続きを読む

震える舌(1980年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

(2022/11/26追記)
破傷風にかかった子供、その家族の看病と疲労、病院スタッフの闘いの日々。

子供が「普段の食事ができない」というところから始まる。病院で診察を受けても、しつけによる心因性の
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夢みる小学校(2021年製作の映画)

2.0

私は、子供もいないし、教育関係者でもない。だからわからないことも多くあるだろうが、非常に疑問の残るところも多かった。

メインとして描かれる「きのくに子どもの村学園」では、週の授業のほとんどが体験学習
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プリンセス・ダイアナ(2022年製作の映画)

4.0

ドキュメンタリー作品を観た時、「おお、そうだったのか」と学ぶことは多かったが、「やっぱりそうだったのか」と認識を新たにした作品はこれが初めてだろうか。「やっぱり」というのはチャールズ皇太子(現国王)が>>続きを読む

とら男(2021年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

役者の「目」が好きだ。優れた役者の目は、ときにセリフなしにこちらを射すくめる。心の中に入り込んでくる。この映画の場合、その目は演技ではなく、刑事としての経験からもたらされたものだった。

公式サイトの
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拝啓天皇陛下様(1963年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

「みんなのシネマレビュー」というレビューサイト(jtnews.jp)を眺めていたら、あろえりーなさんという方が、「この作品の良いなと思うところは、戦争というものを主軸にして描いてるのでなく、あくまでも>>続きを読む

スミス都へ行く(1939年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

邦題にある「都」はワシントンD.C.であり、アメリカの政治の中心地である。子どもたちの熱烈な勧めを受けて、政治のお作法も知らずに上院議員に指名された青年ジェフ・スミスと、お金大好きじいさん議員たちの応>>続きを読む

魂のまなざし(2020年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

フィンランドは遠い国、通貨ひとつ馴染みがない。現地の人々には当然のことかもしれないが、見ていてよくわからない点はところどころあった。それでもこれはストーリーを追う映画ではなく、ヘレン・シャルフベックと>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.0

よくも悪くも、アメリカ・アズ・ナンバーワンの意識を感じざるを得ない映画作品。「ならず者国家」の軍として、マーヴェリックたちが撃墜した戦闘機のパイロットにも家族があり人生がある。かつてはそれが日本の少年>>続きを読む

父ありき(1942年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

まず、セリフがよく聞き取れないのだが、松竹のデジタルリマスター版(サムネイルのもの)には字幕がついている。英語のセリフなどと違って、言った言葉をそのまま字にしているため、読むのに懸命になるが、活用でき>>続きを読む

群衆(1941年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

(以下5/6に書いたものですが、のちに『群衆』という邦訳に疑問を持った結果、正反対の印象になりました。「note」にも書いてますhttps://note.com/mikoyokoyama/n/ncc0>>続きを読む

ノーザン・ソウル(2014年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

タイトルの『ノーザン・ソウル』(Northern Soul)は、本作の舞台であった1970年代のイギリスの若者が憧れた、アメリカ北部のソウルミュージックを指すという。そのサウンドや歌詞に魅了され、若者>>続きを読む

世宗大王 星を追う者たち(2019年製作の映画)

4.0

(「映画ランド」にも同じ内容の投稿をしています)


サブタイトルの「星を追う」とは、自国独自の暦を作ろうとする試みを表す。その当時韓国は明国の暦を使っていたとのこと。暦は単なる時間的基準ではなく、ロ
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