横山ミィ子

ジーサンズ はじめての強盗の横山ミィ子のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

何となく見始めたがすぐに引き込まれた。さすがエンターテインメント大国アメリカのコメディ、面白かった。強盗という犯罪を逃げおおせてしまう、という点に疑問を持つことはもちろんそうなのだが、一方で、多くの労働者の年金を払わずに企業がその責を逃れてしまうことが通ってしまう、それもひとつの非道徳、悪事のはず。それに対するファンタジーでのやり返しと考えるなら悪くはないだろう。家族に頻繁に会うことや、食べたい時に好きなパイを食べることや、病気に苦しむ友達を支えることーそんなささやかなことすら、叶わない人が多い方が、現実なのだから。

モーガン・フリーマンをはじめとする名優たちの演技は、本当に面白くかっこよかった。原題のGoing In Styleは、「流行に乗る、堂々と行く」などの意味合いらしく、作中のサックスやエンディング曲、シナトラなどのマスクから連想されるジャズの雰囲気と相まって、クールさを目指そうとしているのは明らかなのに、邦題の「ジーサンズ」には失望ばかり。『三匹のおっさん』人気にあやかろうとしたのか知らないが、作品への敬意を欠いているだろう。日本の配給側には「It is a culture's duty to take care of its elderly.(高齢者を大事にすることは文化的義務だ)」という作中のセリフ、ひいては作品のメッセージを重く受け止めてもらいたい。そのマイナスあってのスコアである。
横山ミィ子

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