横山ミィ子

トップガン マーヴェリックの横山ミィ子のレビュー・感想・評価

4.0
よくも悪くも、アメリカ・アズ・ナンバーワンの意識を感じざるを得ない映画作品。「ならず者国家」の軍として、マーヴェリックたちが撃墜した戦闘機のパイロットにも家族があり人生がある。かつてはそれが日本の少年兵でもあったのだ。そこが一切顧みられることなく、テレビゲームの敵のように撃ち落とされていく、観ていてとても無邪気には楽しめず、苦い思いであった。

とはいえ、である。私は一作目を観ていなかったので、劇場に観に行く前日にiPadで観たが、オープニングの映像、クレジットの文字のフォントから、色合いや空気感まで、1986年公開の一作目と本作がほぼ重なった。マーヴェリックと部下となる隊員たちとの出会い方、音楽の使い方、ビーチでのボール遊びのシーンなど、一作目でのときめきを再び味わえるしかけが満載。続編でありながら、ジョセフ・コシンスキー監督、そして制作にも関わったというトム・クルーズによる、トニー・スコット監督へのオマージュ作品とも言えるのではないだろうか。ぜひ、一作目は未見という方は、本作の前にご覧になることをお勧めしたい。

本作の目玉は何と言っても「戦闘機の操縦シーンが実写」という点だが、こういう破格の撮影ができるのもアメリカならではの技術力だろう。世界一の映画制作力を持つアメリカの、圧倒的なクオリティにはお見事のひと言である。
横山ミィ子

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