横山ミィ子

バグダッド・カフェ 完全版の横山ミィ子のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

アメリカの砂漠にあるカフェ兼ガソリンスタンド兼モーテル「バグダッド・カフェ」に、ひょんなきっかけで訪れたドイツ人女性・ジャスミンと、カフェのオーナーである女性・ブレンダ、そしてその周りの人たちの交流の物語。

あとから解説を読んでわかる部分も多かった(言葉でなく、エピソードによる表現が多いのでわかりにくい)ことも多いのだが、寄る辺(よるべ)ない人たちが集い、その遊び道具とか趣味とかでつながっていくのが心地いい。どうしてここに来たとか、身の上とか旅行の理由とか、お互い干渉することなく、単に気が合ってつながっていく、という交流は、私が理想とする表現でもあった。それでいて、たった一言で、相手の境遇にも思いを致すことができるのだ。あれだけジャスミンを目の敵にしていたブレンダ。そんな二人がひととき別れるのはとても切なかったが、彼女らが再会したことはとてもほっとしたし、花の中でおしゃべりをするシーンはとても美しかった。

名曲「Calling You」が何度も流れ、いっそうこちらの気持ちが引き寄せられていく。これに特に理由はないというか、あ、これまで聞いてきたこの曲はこの映画のものだったんだ、とわかったに過ぎないが、場面場面での心情と上手くリンクしているのだろう。久しぶりに、「ああ、素敵な映画を観た」という甘い余韻にひたっている。
横山ミィ子

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