革芸之介さんの映画レビュー・感想・評価

革芸之介

革芸之介

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ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)

3.9

個人的なことで大変申し訳ないのですが私もリアルに耳鳴りの症状があるのだがベイビーと違い難聴もあるのでイヤホンで音楽聴くと耳鳴りが5倍ぐらい悪化して、めまいや頭痛もくる。なのでいろいろ言いたいこともある>>続きを読む

パターソン(2016年製作の映画)

4.8

今年観た新作映画第1位。年間ベスト。大傑作。もうずっとこの映画のことばかり考えている。

マッチ箱、カップケーキ、車庫のレンガ造りの建物、みんなポップアートみたい。日常を描く表現も多彩だ。毎朝ベッドで
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天使の入江(1963年製作の映画)

4.0

ジャンヌ・モローが福本伸行の漫画の世界に迷い込んじゃったようなギャンブル狂想曲。「カイジ」に登場する名言吐きまくり悪役オヤジみたいな特濃エキスをジャンヌ・モローに注入したら、とんでもない恐ろしい悪女が>>続きを読む

5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)

4.0

本作はただのオシャレガールズ映画ではない。タイトルやポスターから放たれるオシャレ光線炸裂なサブカル映画ではなく根底には癌や戦争や死など暗い影が見え隠れするのだ。冒頭の有名なカラーのタロット占いシーン、>>続きを読む

ローラ(1961年製作の映画)

3.9

ヌーヴェル・ヴァーグ作品を語る時のアカデミックな視点やジャック・ドゥミ作品を語る時のオシャレでポップな視点でも本作を語ることはできない。私にとってはひたすら痛かった。

もちろんアヌーク・エーメの妖艶
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夏の娘たち~ひめごと~(2017年製作の映画)

4.3

傑作だった。西山真来の心情の変化を説明的なセリフや心理描写で表現しない潔さ。人物の行動と不意打ちみたいなカット繋ぎの唐突な画面展開が素晴らしい。

地方の町で複雑な血縁を持つ家族の物語は昔も今も文学で
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台北ストーリー(1985年製作の映画)

4.7

冒頭、空き家の室内シーンのショットが全て完璧過ぎて恐ろしい。開いたドア越しの部屋の奥に人物を立たせるショットや洗面所の鏡に映るショットなど構図の威力が強烈。最後の空きオフィスの不気味な感じも凄い。最初>>続きを読む

ランバート・アンド・スタンプ(2015年製作の映画)

3.7

The Whoは偉大なロックバンドでありリスペクトしているが、私が好きなアルバムは「My Generation」「A Quick One」「The Who Sell Out」だけで、名盤扱いされている>>続きを読む

ミニー&モスコウィッツ(1971年製作の映画)

4.3

これは「駐車場」の映画だ。駐車場で始まり、駐車場で働き、ジーナ・ローランズとシーモア・カッセルは駐車場で出会い、駐車場で変なオッサンと殴り合いをしたり、駐車場で素敵なダンスシーンがあり、突如、シーモア>>続きを読む

悶絶!!どんでん返し(1977年製作の映画)

3.9

性の革命、大逆転、反転、全てが転換する脳内も性器も。チンピラにケツを犯された鶴岡修が性を乗り越え女性としての自分に目覚めてしまうセックスレボリューション。

神代作品のレビューでは毎回言及しているが、
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マッドボンバー(1972年製作の映画)

3.9

70年代アメリカの犯罪アクション/ミステリーって独特の殺伐とした匂いと空気感が漂ってるんだよなぁ。本作もB級犯罪映画だが意外と地味なんだけど、まるでドン・シーゲルやリチャード・フライシャーの作品を思い>>続きを読む

家族の肖像(1974年製作の映画)

4.0

老教授のバート・ランカスターおじちゃんなんだけど、かわいいなぁ。すいません、名優にかわいいなんて言ったら失礼かもしれないけど、これは褒め言葉です。

教授を演じるバート・ランカスターが醸し出す「童貞感
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OL日記 牝猫の情事(1972年製作の映画)

3.9

面白すぎる。画面が刺激と過剰さに満ち溢れている。恋愛映画?サイコサスペンス?ホラー?ジャンル分け不可能な日本映画史上に残る怪作カルト映画。

中川梨絵が熱演を通り越して完全に暴走。ヤバい薬でもやってる
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情事(1960年製作の映画)

3.7

「はぁ・・・。」ため息をつきながら壁に寄りかかる気怠い感じの表情させたらモニカ・ヴィッティは世界一だよなぁ。でも本作では少しテンション高めです。最初の登場シーンから笑顔だし、歌ったり、黒髪のカツラかぶ>>続きを読む

結婚のすべて(1958年製作の映画)

3.9

技巧を駆使した活劇監督岡本喜八のデビュー作。同時期の市川崑や中平康の作品にも通じる軽快でテクニカルなラブコメで面白かった。

ヒロインは雪村いづみだが申し訳ありません、私は姉役の新珠三千代を推します。
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赤い砂漠(1964年製作の映画)

4.5

炎を噴き出す工場のロングショットからキャメラはパンをして工場の前に立ちつくす人々を映し、次のカットで緑色のコートを着たモニカ・ヴィッティが画面奥から手前に歩いてくる。このモニカ・ヴィッティの登場シーン>>続きを読む

ミューズ・アカデミー(2015年製作の映画)

4.3

やっぱりホセ・ルイス・ゲリン最高。私の好きな現役の映画監督の中でもベスト3に入ります。

本作はいろいろ難解だという噂だったので見る前は緊張してたけど、コメディじゃん。しかも艶笑喜劇。笑った。お上品な
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人魚伝説(1984年製作の映画)

4.8

俺の体内の血管すべてが張り裂けて全身の毛穴から大量に血が噴き出しそうになるぐらい大興奮の傑作。

古今東西、「夫を謀殺された妻が復讐のために巨悪にたった一人で戦いを挑む」って感じの映画は山ほどあるが、
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山<モンテ>(2016年製作の映画)

3.9

熱い。情熱的なナデリ映画大爆発。でも画面は曇天、陽が当たらないので薄暗く、灰色のイメージが画面を覆う。

山の崖の下の荒野にたたずむ家の描写や、斜面で荷車引く様子など画面作りも素晴らしいのだが、なんと
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恋物語(2015年製作の映画)

4.2

甘酸っぱさと苦みが絶妙にブレンドされた女性の同性愛映画。俺みたいなボンクラの汚れたハートも洗浄されるぐらい胸にキュンキュン響いたのである。恥ずかしいけど。

女性の同性愛映画なので本作を観る前は「キャ
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よみがえりの樹(2016年製作の映画)

4.3

中国のチャン・ハンイ監督による初の長編映画なのだが新人とは思えない完成度の高さに驚愕した。ちなみにジャ・ジャンクーのプロデュース作品

撮影スタイルがロングショットの長回しがメインで、人物同士の会話シ
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少女ムシェット(1967年製作の映画)

4.0

少女が、こんなにも不幸になっていいのか?もう本当に恐ろしい。非情で冷徹な視線で人物を見つめ虚飾を排除する、いつものロベール・ブレッソンスタイル。

相変わらず「手」のアップや動作で何事も表現してしまう
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アリス(1988年製作の映画)

4.2

幻覚剤が入った注射器を頭にぶっ刺されてトリップ状態で観る幻想的な悪夢。しかし甘美でポップで摩訶不思議なグロテスクファンタジー。本作に対する、不気味、気色悪い、気持ち悪いという言葉も全部褒め言葉になって>>続きを読む

華岡青洲の妻(1967年製作の映画)

3.8

最初の葬式の場面での若尾文子が高峰秀子を見つめる視線は憧れと尊敬の眼差しでもあるが、少し同性愛的な視線にも感じられ、家族が皆、お辞儀をしているのに若尾だけ高峰を見つめ、その視線に気づいた高峰が若尾を見>>続きを読む

喜劇 特出しヒモ天国(1975年製作の映画)

4.5

本気で泣いた。大笑いする気満々で観たけど泣けるんだよなぁ。松竹出身で喜劇の名手、森崎東がなんと東映で撮ったレアな異色作。東映の猥雑なエロスのパワーと松竹流の人情喜劇の奇跡的なマッシュアップ。


冒頭
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濡れた欲情 特出し21人(1974年製作の映画)

4.1

もう何度も言ってるけど、やっぱり神代辰巳は天才。

相変わらずの音楽が素晴らしい。演歌、民謡、歌謡曲、猥歌、オールジャンルミックス。CLUB クマシロの和物レアグルーヴ劇場。神代映画の演歌や民謡って凄
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木と市長と文化会館/または七つの偶然(1992年製作の映画)

4.0

エリック・ロメールの熟練した技が光るフランス流の喜劇。

田舎の市長が文化会館建設を計画するが、そこに文化会館建設の反対を表明する環境保護派の小学校教師や政治雑誌の女性ジャーナリストがからみ、ロメール
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レネットとミラベル/四つの冒険(1986年製作の映画)

4.0

エリック・ロメール作品の中でも実は本作を好きな人は、かなり多いのではないだろうか。そんな愛すべき可愛い名作。

ちょっとシュールな絵を描いてる不思議系女子のレネットと美人で都会的な洗練されてるミラベル
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ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

4.0

以前、フェルナンド・アラバールの「死よ、万歳」を見てた時オープニングがローラン・トポールの残酷でシュールなイラストがタイトルバックに使われていて、それ以来ずっとローラン・トポールのことが気になっていた>>続きを読む

トリコロール/赤の愛(1994年製作の映画)

3.9

没後20年ということなので最近キェシロフスキ作品を見まくっている。たしか没後10年の時は渋谷の映画館で特集上映してたような気がするけど、没後20年の今年は、どこかで特集上映してるのかなぁ?

本作のイ
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トリコロール/白の愛(1994年製作の映画)

3.9

昔はキェシロフスキって苦手だったんですよ。「映像は綺麗だけど、なんかオシャレ欧州恋愛映画みたいな雰囲気が、なんかなぁ・・・・・」ってな感じで。

しかしその後、私自身の映画の見方も変化し、照明や光を意
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女の都(1980年製作の映画)

4.0

フェリーニは、やっぱり変態過ぎて最高。そしてマルチェロ・マストロヤンニもスケベ過ぎて最高。

フェリーニの欲望、妄想、願望、悪夢、深層心理をそのまま画面に描くエロス百科事典でありスケベワンダーランドで
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ふたりのベロニカ(1991年製作の映画)

4.3

キェシロフスキ監督独特の色彩感覚が冴えわたる幻想的な画面空間。

結局、映画って「照明」なんだなぁ。光を駆使して画を造形する。本作は「黄緑」っぽい照明が特徴的。屋内のシーンで窓の外が黄緑になってたり、
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SAINT LAURENT/サンローラン(2014年製作の映画)

4.1

躍動する「色彩」の映画。ベルトラン・ボネロの映画は初めて見たけど、かなり自分の「美学」を持っている監督だと思う。

「色彩」を演出するなんて言ったら、かなり大袈裟な表現になっちゃうけど、監督だけでなく
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アンジェリカの微笑み(2010年製作の映画)

4.5

アンジェリカも美しいのだが、本作最大の見所はドウロ河沿いの「街」そのものが魅力的であること。しかも死の世界に誘う妖気を放っている。雨が降る夜の街から始まり、頻繁に河と街と丘のロングショットが挿入される>>続きを読む

やさしい女(1969年製作の映画)

4.3

最初から驚愕のシーンが連発。家政婦が部屋に入り、ベランダのテーブルが倒れ、揺れるロッキンチェア。そして浮遊しながら落下するストールの不穏な美しさ。もう最初からカット割りが素晴らしい。

ブレッソン作品
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