革芸之介

結婚のすべての革芸之介のレビュー・感想・評価

結婚のすべて(1958年製作の映画)
3.9
技巧を駆使した活劇監督岡本喜八のデビュー作。同時期の市川崑や中平康の作品にも通じる軽快でテクニカルなラブコメで面白かった。

ヒロインは雪村いづみだが申し訳ありません、私は姉役の新珠三千代を推します。まぁ新珠三千代はどの作品も素晴らしいのだけど本作は貞淑な人妻役。家の前で学生同士がキスしているのを目撃した新珠さんのドキッとした表情がキュートだなぁ。それと三橋達也とバーで酒飲んでるシーンの「・・・酔っぱらっちゃったのかしら」って両手で頬をさわりながら、ほろ酔い加減の笑顔も新珠さん素晴らしいです!

他の女優陣では、ほんの少しなのだが団令子も出演していてチョイ役なのにインパクト強すぎる。だっていきなり踊ってステップをふみながら登場するからね。しかもずっと勝ち誇ったドヤ顔。濃い団令子の顔面強度。当時の東宝は女優陣の層が厚い。

岡本喜八のデビュー作なので後の作品みたいな演出も少し出てくる。似た言葉や似た動作を次のカットに繋ぐ編集や(雪村いづみのセリフ「お二階でございます」の次のカットでカフェの店員の「お二階へどうぞ」のシーンが続き、上原謙が傘を渡す動作の次のカットで別の人間が原稿を三橋達也に渡すカットが続く似た動作の反復)、雪村いづみと仲代達矢の会話シーンの顔面アップ高速切り返しなど。

まぁ結局、新珠三千代と上原謙の夫婦が再び愛を取り戻して幸せになってくれたのが感動的。
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