革芸之介

天使の入江の革芸之介のレビュー・感想・評価

天使の入江(1963年製作の映画)
4.0
ジャンヌ・モローが福本伸行の漫画の世界に迷い込んじゃったようなギャンブル狂想曲。「カイジ」に登場する名言吐きまくり悪役オヤジみたいな特濃エキスをジャンヌ・モローに注入したら、とんでもない恐ろしい悪女ができあがってしまった。しかしこの悪女は男を惑わす美貌も兼ね備えているので危険すぎる。

本作のジャンヌ・モローを観てると、私の少年時代、故郷北区赤羽の商店街でスナックを経営していた謎の美人ママさんが昼間からタバコを吸いながらゲームセンターでメダルゲームを熱心にやっていた光景をふと思い出してしまった。

ルーレットがひたすら回り続けて変な心地よさを感じるし、人物たちの、お金やチップの交換、受け渡し、賭ける時に投げる動作が素晴らしくて映画のリズム感がいい。そしてジャック・ドゥミ映画のボンクラ青年は面白い。イケメンなんだけど精神的な童貞感を漂わせ、やさしいけど急にキレてジャンヌ・モローをぶん殴るし、ダメな男だなぁと思いながら、「まぁ、人生頑張れや!」って声かけたくなりました。
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