ヌーヴェル・ヴァーグ作品を語る時のアカデミックな視点やジャック・ドゥミ作品を語る時のオシャレでポップな視点でも本作を語ることはできない。私にとってはひたすら痛かった。
もちろんアヌーク・エーメの妖艶でありながら純情な感じも魅力的なのだが私にとっては会社に遅刻してクビになるボンクラ青年マルク・ミシェルが気になってしまい、アヌーク・エーメを愛するこの男の視点で本作を観るとかなり痛すぎる映画なのである。
だって街で昔好きだった幼馴染のアヌーク・エーメと偶然出会い彼女から「わーなんか、あたしドキドキしてる。胸触ってみて!」とか言われたり「あたしと寝たいの?」とか言われたら絶対ダメでしょ。この思わせぶりなアヌーク・エーメの態度は凄い。
まぁ真面目に語りますが、とにかく港町ナントが反則的なほど魅力に溢れている。撮影はラウル・クタール。
明るくて豪快なアメリカ人水兵や小生意気な少女セシルなど登場人物が皆どこかで偶然出会い知り合って別れる人間関係の面白さも巧みに描かれているのも見事。