革芸之介

人魚伝説の革芸之介のレビュー・感想・評価

人魚伝説(1984年製作の映画)
4.8
俺の体内の血管すべてが張り裂けて全身の毛穴から大量に血が噴き出しそうになるぐらい大興奮の傑作。

古今東西、「夫を謀殺された妻が復讐のために巨悪にたった一人で戦いを挑む」って感じの映画は山ほどあるが、本作はその中でも世界最高峰。

「青」「白」「赤」本作を彩る華麗な色彩。まずは海の映画なので「青」の色彩が目に飛び込んでくる。タイトルバックの潜水シーンから綺麗な青色で地上から降り注ぐ光の加減で青からエメラルドグリーンにも見える水中シーンの美しさ。

白都真理の海女装束の「白」も印象深い色彩だ。その後警察に追われる白都真理は清水健太郎が持ってきた「灰色」の服に着替える。濡れ場で見せる裸体の「肌色」の尋常ではない美しさ。そしてその肌が血で「赤」く染まる。

そう、一番の注目は「赤」。とにかく画面が「赤」でそまる。刺客を返り討ちにした時の返り血の赤。部屋の壁、床も赤く染まる。終盤の大虐殺シーンで海女装束の「白」が「赤」に染まる色彩の交差。

そして魅力的な白都真理の躍動感。この肉体の躍動が画面を活性化する。原発誘致関係者皆殺しのシーンはもう伝説や神話のレベルで凄い。演じる白都真理も演出する池田敏春監督も映画の魔の狂気に憑りつかれてしまったのではないかと心配してしまうぐらい過激だ。特に陸地と展望塔を結ぶ橋の上での大量殺人は橋の直線を徹底的に有効活用し、ひたすら白都真理の反復運動で橋の上の直線を往復する。鮮血に彩られた赤い白都真理の反復運動が感動を呼び起こす。

本作のプロデューサーは、池田監督の盟友である根岸吉太郎。根岸はいつも「池田は天才だ」って何度も言ってたそうです。白鳥あかねさんの本に書いてあった。
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