革芸之介さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

革芸之介

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バルタザールどこへ行く(1964年製作の映画)

4.5

バルタザールが、冒頭の斜面を小走りで下るショットが牧歌的で爽やかなのだが、もうこの後から悲しく苦しく、人間もロバのバルタザールも不幸に向かって進んでいく。

成長したバルタザールは、おっさん達に鞭で叩
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発禁本「美人乱舞」より 責める!(1977年製作の映画)

4.0

美しい。すべてのカットが、じっくりと丁寧に撮られている。熟練の職人が精魂を込めて丹念に作った工芸品のような作品。

現代のテレビ局や広告代理店は大金使ってるくせに、雑な作りのいい加減な映画ばかり作って
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アンダーグラウンド(1995年製作の映画)

4.6

やっぱり傑作だなぁ。DVDでしか見たことなかったので、恵比寿まで行ってガーデンシネマのクストリッツァ監督特集で見てきました。

本作のブラスバンドの音楽、動物の鳴き声、爆撃の音などは映画館の音響で味わ
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真夜中の妖精(1973年製作の映画)

3.6

バーのママ、大山節子に売春をさせられている白痴の山科ゆりは売春相手の客を「おとうちゃん!」っていつも呼んでいるマジカル不思議ちゃんな女の子。ある日この売春バーに凶悪犯、風間杜夫が現れる。本作の風間は金>>続きを読む

真昼の不思議な物体(2000年製作の映画)

4.3

「言葉」と「思考」のロードムービー。

場面が転換しながら、多くの人々から語られる不思議な物語。ドキュメンタリーの体裁をとりながら、徹底的に「虚構」とは何かを問い続ける様は紛れもなくフィクションとして
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世紀の光(2006年製作の映画)

4.7

とんでもない傑作。

すべてのシーンや画面が映画としての面白さに満ちている。完璧な構図と色彩の画面設計。音響処理も素晴らしい。

本作は難解な部分も確かにあるとは思うが、理解しようとは考えずにこの豊饒
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ガザを飛ぶブタ(2010年製作の映画)

4.0

ユーロスペースのイスラム映画祭2015で鑑賞。

パレスチナとイスラエルの争い。世界中で数多くの戦争、紛争、領土争い、宗教、民族問題が起こっているが、やはりパレスチナとイスラエルの両国の争いはその中で
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人生タクシー(2015年製作の映画)

4.6

ジャファル・パナヒの生き様はカッコいい。世界中からリスペクトされるイラン映画界の巨匠ながら、反体制的な言動のため逮捕されたり、イラン政府の監視下におかれ国外への出国を許されない立場にあり本作もベルリン>>続きを読む

ヴィザージュ(2009年製作の映画)

4.0

ツァイ・ミンリャンはどうしてこんなに凄まじい強度を持つ「画」を撮ることができるのだろうか。もう映画の悪魔とかに憑りつかれているとしか思えない驚異的な場面の数々。

本作「ヴィザージュ」は2009年ごろ
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クレージーホース(1973年製作の映画)

3.9

ホドロフスキーのお友達のフェルナンド・アラバール大先生の映画作品は本当にぶっ飛んでます。本作DVDパッケージには「ホドロフスキーに大きな影響を与えた~」とか「エル・トポやホーリーマウンテンのDNAここ>>続きを読む

黒い雌鶏(2015年製作の映画)

3.2

ネパールの文化、歴史、政治体制などについて、とても勉強になる映画だった。この監督はロングショットの撮り方など才能はあると思うが、映画の運動性には乏しく、生真面目な画面設計が目立ち、これからもっと頑張っ>>続きを読む

クズとブスとゲス(2014年製作の映画)

3.9

2015年の東京フィルメックス・コンペティション作品。

監督は奥田庸介。私は未見だが前作「東京プレイボーイクラブ」で商業映画デビュー済み。しかし本作は自主映画に近い形態らしい。監督の実のお兄さんがプ
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宵待草(1974年製作の映画)

4.0

監督は神代辰巳、しかも音楽は細野晴臣、さらに脚本は長谷川和彦。凄い豪華メンバー。1974年の日活映画だがロマンポルノ扱いでなく一般向け映画。1974年の神代といえば東宝で「青春の蹉跌」も撮っていて、こ>>続きを読む

黒薔薇昇天(1975年製作の映画)

3.9

大島渚と今村昌平をリスペクトし、芸術を志すブルーフィルムの監督役を岸田森が情熱的に怪演。

天才・神代辰巳の作品に名優(怪優?)岸田森が出演したのだから当然のごとく凄まじい映画です。

脚本も神代です
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濡れた欲情 ひらけ!チューリップ(1975年製作の映画)

4.1

天才・神代辰巳の映画作品を何種類かに分類してみると「恋人たちは濡れた」や「赫い髪の女」などの文学的で気怠い青春映画の傑作があり、「女地獄・森は濡れた」や「やくざ観音・情女仁義」などの血が乱れ飛ぶバイオ>>続きを読む

武闘拳 猛虎激殺!(1976年製作の映画)

3.7

ラピュタ阿佐ヶ谷のレイトショーで観た東映怪作空手武闘映画。タイトルも最高。倉田保昭が凶暴な虎と戦う。本当です。

オープニング、字幕で「メキシコ」って出ますが、全然メキシコには見えなくて、まぁオープン
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岸辺の旅(2015年製作の映画)

4.3

やっぱり黒沢清は最高だぁ。素晴らしい。しかし実は本作鑑賞前に多少の不安はあった。最近の黒沢清作品「Seventh Code」「リアル 完全なる首長竜の日」などにあまり乗れなくて、昔の「CURE キュア>>続きを読む

ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール(2014年製作の映画)

3.9

もし私が高校生だったら、本作は100点満点の大好きな作品だぁ~って叫んでいたかもしれない。90年代後半から2000年代前半の渋谷のシネマライズで公開されていたオシャレな映画のような雰囲気を漂わせていま>>続きを読む

コードネーム U.N.C.L.E.(2014年製作の映画)

3.5

私にとってガイ・リッチーといえば「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」だったり「スナッチ」などの小粋でスタイリッシュな犯罪群像劇のイメージ強い。本作もオシャレでスタイリッシュな部分はある>>続きを読む

死よ、万歳(1971年製作の映画)

4.1

凄い映画を観てしまった。ホドロフスキーに大きな影響を与えたという本作の監督フェルナンド・アラバール。劇作家としても有名で名作戯曲「戦場のピクニック」の作者でもある。さらにはホドロフスキーの映画「ファン>>続きを読む

狂乱の大地(1967年製作の映画)

4.0

ブラジル映画界の至宝にしてブラジル版ヌーヴェルバーグ「シネマ・ノーヴォ」を代表する映画監督グラウベル・ローシャのアヴァンギャルド社会派政治ドラマ。

主人公のジャーナリストであり詩人のパウロは保守派の
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