没後20年ということなので最近キェシロフスキ作品を見まくっている。たしか没後10年の時は渋谷の映画館で特集上映してたような気がするけど、没後20年の今年は、どこかで特集上映してるのかなぁ?
本作のイレーヌ・ジャコブはファッションモデル役。とにかく横顔が美しくて綺麗だ。さらにガムを膨らませる顔が、とてつもなく可愛い。「ふたりのベロニカ」では芸術品のような乳房を披露し、他にもアンゲロプロスの「エレニの帰郷」での熟練の演技も良かった。
トリコロール3部作の3作目。序盤から「電話」の映画として進む。しかし「電話」は登場人物達に不幸をもたらす装置として本作の中では機能する。
・遠距離恋愛中の恋人と「電話」で会話するイレーヌ・ジャコブだが、破局を予感させる。
・近所の若い法学生も「電話」で恋人と甘い会話を交わすが、この後このカップルにも悲劇が待ち受ける。
・さらに、大物ジャン=ルイ・トランティニャンが過去に心の傷を負った偏屈な元判事役として登場。近所の住民の「電話」での会話を盗聴しまくる変な人。
こんな感じで「電話」を通したコミュニケーションで進行するが、イレーヌ・ジャコブが訪れるジャン=ルイ・トランティニャンの家のシーンの室内の薄暗い照明が素晴らしい。キェシロフスキ作品に共通しているのは光、照明の美しさ。
さらにやはり色彩。本作はもちろんタイトル通り「赤」。服、壁、車、「赤」「赤」「赤」の連続。
ボーリング場のシーンのカメラワークも面白い。イレーヌ・ジャコブが投球した瞬間、カメラがボーリング場を横移動して、最後になぜかグラスが映されるシュールな場面。
最高なのはイレーヌ・ジャコブをモデルにした「赤」の背景の広告看板。この広告の写真はインパクト強い。この写真が結局本作のイメージを決定づけている。