革芸之介

ファンタスティック・プラネットの革芸之介のレビュー・感想・評価

4.0
以前、フェルナンド・アラバールの「死よ、万歳」を見てた時オープニングがローラン・トポールの残酷でシュールなイラストがタイトルバックに使われていて、それ以来ずっとローラン・トポールのことが気になっていた。

本作もやはり衝撃のグロテスクでダークでブラックユーモアもあるカルトな奇形アニメの傑作。

なんか危険なドラッグを体内に注入してサイケデリックな状態で作画したような摩訶不思議な世界。

ドラーグ族によって人間(本作ではオム族という種族)はペットにされたり、虫けらのように踏みつぶされるのだが、私はドラーグ族よりも人間の恐ろしさを本作で感じた。とにかく顔の表情が怖い。顔の陰影を表す黒い線の作画が70年代ガロの漫画に出てくる人物たちのようなアングラ感たっぷり。時々見せる「ドヤ顔」も気持ち悪い。

風景や植物や生物がビートルズのサイケアニメ「イエローサブマリン」やモンティ・パイソン時代のテリー・ギリアムのアニメのようなグロテスク感満載なんだけど、想像力が溢れているポップな造形で素晴らしい。

音楽もプログレサイケでジャジーな電子音が中毒性たっぷり。サントラ欲しくなる怪音楽。

日本やアメリカのアニメとはまた違う魅力を欧州(本作の製作はフランスとチェコ)のアニメは持っている。
革芸之介

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