革芸之介

OL日記 牝猫の情事の革芸之介のレビュー・感想・評価

OL日記 牝猫の情事(1972年製作の映画)
3.9
面白すぎる。画面が刺激と過剰さに満ち溢れている。恋愛映画?サイコサスペンス?ホラー?ジャンル分け不可能な日本映画史上に残る怪作カルト映画。

中川梨絵が熱演を通り越して完全に暴走。ヤバい薬でもやってるんじゃないかって心配になるほどサイケデリックな演技。美人女優の中川梨絵だが狂えば狂うほどより美しさが際立つ。

序盤の自転車乗ってジグザグ走行で疾走するシーンの中川梨絵は可愛らしいのだが、家でプリン食べる時の中川の目は完全にヤバい人の目になってる。プリン食うだけでこんなに怖いシーンが撮れるんだなぁ。しかもこのシーンは自殺現場に投げ捨てられた花束のショットとカットバックさせるかなり狂っている場面です。

次長に紅茶渡すシーンも緊張感あり過ぎて驚愕した。もういかにも怪しすぎる中川梨絵の視線の演技。毒で青く染まる角砂糖のアップと水槽に浮かぶレモンとティーカップが怖すぎる。

緑の椅子、オレンジのぬいぐるみ、黄色のおしぼり。妙な色彩感覚溢れる室内。幻想と妄想が入り混じる不思議な空間。

中川と次長がセックスするシーンは崇高で威厳に満ち溢れた画面であり、カメラが徐々に後ろに下がった時の構図の厳格さに監督である加藤彰の才能を感じた。
革芸之介

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