高さ600mのテレビ塔に登ってとんでもない目に遭う話と聞いただけで興味津々になり、鑑賞した。結論としてはワンシチュエーションものとしてはまあまあの作品だった。
テレビ塔に登るまでの前振りが意外と長いの>>続きを読む
権力に抗う事の難しさや加害者としての権力の構造的な優位性、そしてそれらによって永久的に生活を侵食される事の恐ろしさを突きつけられた。劇中に現れる被害者たちは一見すると普通の生活を送っているように見える>>続きを読む
『ダイ・ハード』+『ホーム・アローン』の傑作だった。クリスマスの話を2月に上映するのは『ダイ・ハード』と同じであり、内容も主人公が事件に巻き込まれる点で共通している。その上『ホーム・アローン』的なトラ>>続きを読む
グロリアとポールの依存関係やグロリアの突発的な行動は人間の「病み」を感じさせた。それと同時に2人の若さがこういった関係性や行動をロマンティックに見せていたようにも思う。個人的にはポールの母親が非常に気>>続きを読む
メキシコの暗部をもっと残酷に見せて欲しかったという点で残念な作品だった。
ドキュメンタリーチックにシエロを追い続けるので作品内で起きる事はメキシコで起こる凄惨な事件のほんの一部であり、画面を見ているだ>>続きを読む
タイトルのインパクトと「ベルギーの闇三部作」と銘打った上映に興味を持ったので鑑賞したが、印象としてはそれほど強烈なインパクトを感じず、若干の凡庸さも感じた。
本作はヒッチコックの『北北西に進路を取れ』>>続きを読む
寓話的な作品でありながら人間を複数の観点から描いた作品だった。その中でも自分としては「自分と他者の関係性の在り方」という点を考えさせられた。
いきなりコルムから絶交を告げられたパードリックの戸惑いは>>続きを読む
手垢にまみれたタイムループものをメタ的に捉える事で新鮮さがあった。それに加えて人間ドラマとしても一定以上の水準があり、とても良い作品だった。
幾度となく聞いた「戦場のメリークリスマス」が冒頭から流れるのには圧倒された。それ以外の劇伴も魅力的だった。話としては戦時中の話であるが、大きなテーマは国特有のホモソーシャルな文化とトキシックマスキュリ>>続きを読む
人の命と尊厳を蔑ろにする作戦をこれ程までに当然のように決めてゆく有り様に人間の恐ろしさを感じた。本作は傍から見れば何かしらのビジネスの会議であり、互いのプライドや損益を慮る人々の姿はごく普通のものであ>>続きを読む
とち狂った男の始まりから顛末までをコミカルに描いた良作だった。特に画の見せ方は非常に印象的で、本作の白眉だった。
特に印象的なのは主人公がステラを初めて見かけた時の顔のアップである。今まで出てきた女>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
エンターテインメントの変遷を物語の横軸にし、ヨーヨーの変化を縦軸にした作品であるが、作品の構成自体もサイレント映画から現在のような映画の形式へと変化しており、メタ的な視線を含んだ作品だった。その特殊さ>>続きを読む
ピエール・エテックス作品を何作か観たら作品内のネタはお馴染みのものだったがそれでも主人公の上手くいかなさが可笑しく、ピエール・エテックスの動きや表情も面白さに寄与していた。
「ゴーン・ガール」や「レボリューショナリーロード」といったいわゆる「結婚怖い」系の作品であるが、上記の作品のような現実の結婚の厳しさを描く要素は薄く、コメディであると共にロマンティックな要素がある点で>>続きを読む
色んな事が上手く噛み合わずてんやわんやする主人公や周りの人々の様子がコミカルで面白かった。漫才的な会話での笑いではなく、シチュエーションやそれに対する行動で笑わせる点はとても映画的だった。
オムニバス形式の作品ではあるが「映画とは何か」という問に対する一種の正解であるように思う傑作だった。どの話も演出、演技、脚本、編集、カメラワークのどれを取っても作品の魅力に直結する要素であり、何一つ無>>続きを読む
序盤から小ネタ連発で笑いの連続だった。後半になると現代文明の批判とも取れる展開になり、現在の日本のキャンプブームにも繋がる話だった。あまり台詞が無く、60年近く前の作品でありながら、現代でも通じるテー>>続きを読む
脚本、演出、演技の全てにおいて高水準の良作だった。特に松本穂香は難しいバランスを見事に体現していたし、彼女の言動と雰囲気と部屋全てを総動員して独特のキャラクターを描いていた。
脚本に関してもサスペンス>>続きを読む
気取ったつもりが超ダサい時代遅れのタランティーノフォロー作品だった。とにかく恥ずかしげもなくタランティーノ風の演出や音楽が連発されるが尽くダサい上に脚本も破綻しているので2時間ちょっととは思えない程長>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
さすがヴィンス・ギリガンと思う演出力で伝説的なドラマシリーズの続きを1本の映画に収めている佳作だった。
アーロン・ポールのジェシーは月日を経てもそのままだったが、トッドを演じるジェシー・プレモンスの>>続きを読む
「ラ・ブーム」の続編としても1本の作品としても完成度が高い作品だった。本作でも前作に続いてヴィックや彼女の両親の恋愛模様が展開され、プペットの魅力も炸裂していたが、ソフィ・マルソー同様にヴィック自身も>>続きを読む
ソフィ・マルソーの若々しさを堪能する作品かと思っていたがひいおばあちゃんのプペットのキャラのインパクトに魅了された。当然ソフィ・マルソーやその他の面々のお洒落さも堪能できた。
内容はいかにもフランス>>続きを読む
作品のテーマや絵のクオリティは非常に良かったが、良くも悪くも、大衆向けと感じられる部分に品の無さがあった。
何よりも気になったのはこれでもかと言わんばかりにスポンサー企業のロゴが現れていた部分である>>続きを読む
自分はスラムダンクに関しては全くの門外漢で「湘北」「山王」「諦めたらそこで試合終了ですよ」ぐらいしか知らないレベルなので逆に何の事前知識もなしに観てみたらどうだろうという興味で観たが、結果としてとんで>>続きを読む
主人公の心情は余白を残しながら、視覚的には非常に情報量が多い作品だった。そのため観客は視覚的情報から心情を推察する事が必要だが、それを可能にしているのは岸井ゆきのを筆頭にした各演者の好演であり、彼女以>>続きを読む
前後半で異なる恐怖を展開しており、終盤は想像以上の気持ち悪さが観れたのは良かった。
前半は深い森とだだっ広い野原に不穏な空気や不気味な裸体がひっそりと佇む事が恐怖になっていたが、後半は家の中で前述のよ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
三浦透子は非常に良かったが後半はありきたりな話になっていたのが残念だった。
劇中の登場人物に物語上の役割がないといけないとは思わないが、元AV女優やゲイを出す必要性が感じられず、それが後半の展開のあ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
結論としては自分の予想や期待を上回るものがほとんど無い作品だった。伝えようとしているメッセージも安直だったので感心できなかった。
中盤の指を切り落とす場面やスタッフの1人がいきなり自殺する場面は良かっ>>続きを読む
延々とアンヌを捉える視点が本作にスリリングさを与えていた。どうすることもできないアンヌの立場がただ画面を見ることしかできない観客の立場と重なり、外から彼女を眺めるというよりは彼女と一緒にライドしている>>続きを読む
アメコミ映画として何も考えずに楽しめるちょうど良い作品だった。話は大雑把であるがそれぞれのキャラクターの個性はしっかりと立っていたので話の方向性を見失う事が無かった。特にホークマンとブラックアダムの違>>続きを読む
圧倒的なエンタメぶりに非常に胃もたれした。初めてインド映画を観たのでその独特さに気圧された。外連味が強い場面や奇想天外なアクションが連発するので3時間ずっと楽しめた。特にアクションは「そうはならんやろ>>続きを読む
淡々とした静かな作品だったが、あらゆる面で間違いが無く、最後まで惹き込まれる作品だった。
社会派ミステリーとして一本の筋が通っているのでそれぞれのキャラクターがきちんと立っていた。
その中でも妻夫木>>続きを読む
シュリがネイモアとタロカンを巡る場面やタロカンとワカンダの戦闘場面はとても良かったが、内容はかなり首を捻らざるを得ない作品だった。
前作の最後にティチャラがワカンダも世界の一員として貢献する事を宣言>>続きを読む
今泉力哉監督の、複雑な人間の心理と関係性を描くという側面が職人芸の域まで到達したと思わせる作品だった。
妻に浮気されたのに悲しくない主人公という極端な人物を通して「好き」という感情の複雑さを浮き上がら>>続きを読む
それぞれの登場人物の目線の微妙な違いが非常に印象的だった。おそらく舞台はフランスの田舎なのであろうが、田舎特有の閉塞感や差別意識を人の視線から感じさせるのは非常に映画的だった。特に黒人や同性愛者に対す>>続きを読む
ワンショットで撮影した以外に特筆すべき点がない作品だった。
長回しワンショット自体もそれほど効果的とは思えなかった。映画の半分程は車内を映すので画面の代わり映えのなさに退屈した。視点が移る際にカットを>>続きを読む