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MEN 同じ顔の男たちのtkykのレビュー・感想・評価

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
4.4
前後半で異なる恐怖を展開しており、終盤は想像以上の気持ち悪さが観れたのは良かった。
前半は深い森とだだっ広い野原に不穏な空気や不気味な裸体がひっそりと佇む事が恐怖になっていたが、後半は家の中で前述のような気持ち悪い造形が繰り広げられる事が恐怖になっており、場所と現れる恐怖にコントラストがあった。前後半でそのコントラストを維持したままに場所と恐怖の対象が変わっている展開によって、終盤のカタルシスが強烈だった。

テーマとしてはフェミニズムと創世記が絡まっていることが庭のリンゴや終盤の気持ち悪い場面から示唆される。恥ずかしながら創世記がどんなものかは「アダムとイブがリンゴを食べて追放された」程度しか知らないのでこれを機にググッてみると創世記に書かれた内容と本作の展開の繋がりが明瞭になった。監督が創世記やそれに影響された社会通念についてどう考えているかは分からないが、自分個人としては本作は創世記がもたらしたマスキュリニティが有害なものである事を示しているようにみえた。

終盤の理屈がない超越的な展開が気持ち悪い場面を若干神秘的にしており、主人公同様自分も淡々と受け入れられたし、この部分が本作の1番良い点だった。
色んな観点から考えられる作品だと思う。
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