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ケイコ 目を澄ませてのtkykのレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
4.0
主人公の心情は余白を残しながら、視覚的には非常に情報量が多い作品だった。そのため観客は視覚的情報から心情を推察する事が必要だが、それを可能にしているのは岸井ゆきのを筆頭にした各演者の好演であり、彼女以外では成り立たないのではとさえ思った。それほどに岸井ゆきのの振る舞いと表情は豊かだった。
視覚的にはミット打ちの動きがとても見応えがあった。非常に息のあったミット打ちのリズム感に心地良さがあったし、岸井ゆきのがそれを実際にやっていることに対する凄さも感じた。
前述のように主人公の心情は余白があるもののラストはある人物と出くわす事がその後の主人公の行動に決定的な影響を与えていた。一見すればなんて事ない会話でありながら、それが読み取れる点に非常に映画的なカタルシスを感じ、見事なラストだった。
物語自体はよくあるような内容だが本作から受け取った「映画を観た」という実感は他の作品ではあまり持ち得ない類のものだった。

[参考]
アトロクの放課後ポッドキャストで放送作家の高橋洋二さんが本作を評していたが非常に興味深く、賛同できる内容だったので是非聴いてもらいたい。

https://open.spotify.com/episode/0ab3BjritaUZ29teR34vDw?si=cMl2qVkTR3a1xfIK9bjfIg&context=spotify%3Ashow%3A3Xvbka6gUb0Sxsf4Iiu8qJ
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