ひこくろさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

ひこくろ

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タイム・クライム(2013年製作の映画)

4.2

エグいなどという言葉では足りないほどの、あまりに残酷な伏線回収の数々に思わず唸ってしまった。

24時間後の同じ場所にしかいけないタイム・トラベル。
しかも、未来に滞在できるのは15分のみ。
という悪
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共犯(2013年製作の映画)

4.4

死を通じてさまざまな秘密が明かされていく、とてもやりきれないミステリーだった。

前半は、「スタンド・バイ・ミー」を彷彿とさせる。
ひとりの女の子の死の真相を探っていくことで、三人の友情がどんどん深ま
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パップス(1999年製作の映画)

4.0

まるで本当に起こった事件をリアルタイムで見ているかのような感覚になった。

銀行強盗を起こす主人公のスティービーとロッキーはまだ13歳。
警察側も手が出せず、人質になった人たちもどこか二人を侮っている
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高瀬舟(1988年製作の映画)

4.1

(原作は森鷗外の有名な作品ですが、読んだことはないのでその前提で)

なんとも不思議な感じの時代劇映画だと思った。

派手な殺陣があるわけでもなく、登場人物もほぼ四人と極端に少ない。
舞台は川を下る船
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ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.5

こんなにも強く「音」を意識させられるとは思っていなかったので、まずそこに驚いた。
BGMなどは一切なし、たぶんあえて整音もできるかぎりなしでやっている。
だから、映画にはノイズや雑音も含めて、日常の中
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主戦場(2018年製作の映画)

4.5

ものすごく刺激的で勉強にもなる。そして何より、いろんなことを嫌でも考えさせられるドキュメンタリー映画だった。

扱われているのは慰安婦問題で、その実態に迫っていくのはもちろんだが、映画はそこに留まらな
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ルクス・エテルナ 永遠の光(2019年製作の映画)

4.6

いったい僕は何を観たんだろう。その思いしか湧かない。

映画撮影の内幕もののように作品ははじまる。
女優のシャルロット・ゲンズブールと監督を務めるベアトリス・ダルは、撮影される火炙りについてとりとめの
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帝都大戦(1989年製作の映画)

4.0

意外と言ったらとても失礼だけど、これは面白かった。

壮大すぎる話をあまりにざっくりとまとめすぎて、結果、嶋田久作演じる加藤の印象だけが強く残ってしまった前作に対し、原作から離れて、話や登場人物をきっ
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京城学校 消えた少女たち(2015年製作の映画)

4.2

うーん、って思わず唸りたくなるぐらい、とらえどころのない映画だった。

病気の少女だけが暮らす全寮制の学校。
やけに規律に厳しい教師たち。
日本名を付けられ片言の日本語で会話する女生徒。
誰もが何かを
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ラストサマーウォーズ(2022年製作の映画)

4.1

映画製作のワクワク感に満ち溢れた、とても愛らしい映画だった。

出だしの雰囲気がわりと「地方都市主導の低予算映画」や「学校教育で流される優等生的映画」っぽかったので、正直かなり不安になったが、人集めの
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ソウルメイト/七月と安生(2016年製作の映画)

4.7

伏線や対比、物語の構図など、非常に凝った仕掛けを用いながら、圧倒的なまでに情感溢れる世界を描き切った、すごい映画だと思った。

自由奔放で何をしでかすかわからないが屈折もしている安生【アンシェン】。
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.5

(かなりの長文です。すみません、今回ばかりは許してください)

宮崎駿って人はこれまでずっと一貫して「自分のやりたいこと」をアニメでやってきたんだな、とあらためて思わされるような映画だった。

たぶん
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.2

アニメーションっていうのはこんなにも自由なものなんだ、ということを心から感じさせてくれる映画だった。

基本は3DCGアニメなんだけど、とてもそうは見えない。
リアルとか、セル画っぽいというのではなく
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青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない(2023年製作の映画)

4.4

(原作未読。テレビアニメと前の映画は観ている前提での感想です)

思春期症候群という名の怪現象に振り回されながらそれを乗り越えていく、というこれまでの物語のパターンとは異なり、この映画では怪現象の要素
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M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

4.0

「機械の反乱」というSFでは王道のテーマを、見せ方と現代性でもって上手く料理した映画だなあと思った。

AIの造形が無表情な美少女というのがまずいい。
ミーガンが表情を変えずに、人間を殺していく様子は
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怪物(2023年製作の映画)

4.8

圧倒された、というひと言しかなかった。

とにかく徹頭徹尾、人間が恐ろしい。
シングルマザーの早織の視点で描かれる最初のパートでは、母親の苦悩が描かれる。
大切に思っているはずの息子のことがわからない
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ガール・イン・ザ・ベースメント(2021年製作の映画)

4.6

映画「ルーム」の元となったフリッツル事件を描いているのだが、これがとんでもなく胸糞悪い。
サラを監禁する父親ドンの異常さは吐気を催すほどだ。

ドンの異常さの本質は、自分を絶対的に正しいと信じていると
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フォーエバー・パージ(2021年製作の映画)

4.1

(ドラマ以外の映画はすべて観ているうえでの感想になります)

このシリーズの面白さの核は、二つあるんじゃないかと個人的には勝手に思っている。
ひとつは、パージという殺人が許される混乱の日をどう生き残れ
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10 クローバーフィールド・レーン(2016年製作の映画)

4.5

ものすごく面白い仕掛けの映画だった。

タイトルで堂々と「クローバーフィールド」と謳っているので、前作を観ている人はそういう話なんだろうと見当が付く。
が、登場人物たちはみんな現在何が起こっているのか
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THE WITCH/魔女 —増殖—(2022年製作の映画)

4.4

全力の本気で大人向けの特撮映画を作ってるなぁ、という前作と同じ感想を抱いた。

改造人間だったり、秘密組織だったり、と出てくる要素は、仮面ライダーなどの日本の特撮ドラマにかなり近い。
さらに今回は主人
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ぶあいそうな手紙(2019年製作の映画)

4.4

老いるということの意味をとても深く考えさせられる映画だった。

人は老いるとだんだんと臆病になっていく。
新しい物や新しい関係性を拒絶し、自分の殻にこもっていく。
自分のルールが絶対になり、頑なにそれ
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カット/オフ(2018年製作の映画)

4.5

これ、めちゃくちゃ面白かった。

謎の見せ方とシチュエーションの設定がとにかく絶品。
冒頭の、謎の男に怯える若い女性が逃げている途中で死体を見つけてしまう、というシーンで、まずこれはなんなんだと思わさ
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銀河鉄道の父(2023年製作の映画)

3.4

役者の存在感をこれでもかと見せつけられたような感覚を受けた。

思い込みが激しく、やりたいことがコロコロと変わってしまう宮沢賢治。
賢治に振り回され、彼の生き方を否定しながらも、最後には背中を押してい
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ライトハウス(2019年製作の映画)

4.7

狂気が際限なく加速していく、ものすごく怖ろしい映画だった。

モノクロの映像に、ほぼ正方形に近い画面サイズ。
登場人物はほぼ二人のみ。
その二人が、何も語らずに灯台にやってくる冒頭のシーンからして、ま
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.5

毎週のようにクラブに繰り出しては、泥酔した振りをするキャシー。
当然、持ち帰ろうとする男が現われ、彼女はそのまま着いていく。
が、いざ男が事に及ぼうとすると、彼女は豹変し、男を痛罵して帰っていく。
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野球少女(2019年製作の映画)

4.4

プロに女性が入れない世界で、ひとりの女の子がプロを目指す。
という、ある意味、ベタベタなスポ根もの。が、それが魅力的に輝くのは、この映画が現実の残酷さをこれでもかと描いているからだ。

やりたいことを
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ルーム(2015年製作の映画)

4.7

三部構成と言ってもいい作りになっていて、そのどれもがまったく違った魅力に満ち溢れていて、素晴らしかった。

天窓しか外を見ることのできない狭い部屋で、生活を送る母親と四歳のジャック。
外には出られず、
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ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

4.5

怖さの質が徐々に変わっていくのにぞくぞくとさせられる不条理SFホラーだった。

最初の怖さは、理不尽な暴力によるものだ。
理由も何もわからないまま、突然、家に押し入ってくる四人の男女。
その様子には何
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少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録(1999年製作の映画)

4.6

(テレビシリーズは見ました)

人間の想像力ってこんなところまでたどり着くんだ、と圧倒されるアニメ映画だった。

登場人物と基本的構造はテレビと同じ。
なのに、性格や設定、関係性などがまるで異なるとこ
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グリッドマン ユニバース(2023年製作の映画)

4.0

(テレビの「グリッドマン」と「ダイナゼノン」は見ています)

舐めてかかるととんでもなく痛い目をみるアニメ映画だと思った。

土台はグリッドマンの世界で、そこにダイナゼノンの世界が混じってくる、という
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ガールズ&パンツァー 劇場版(2015年製作の映画)

4.5

(テレビシリーズは見ているうえでの感想です)

DVDで観た時にはいまひとつな印象を受けたが、あらためて観直してみたら圧巻の出来だった。

冒頭の戦車戦から強烈に引き込まれる。
劇場版と銘打っているだ
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北斎漫画(1981年製作の映画)

3.4

役者の演技は素晴らしかったが、映画としてはどうかなあと感じた。

才気溢れる天才として扱われることの多い北斎を、うだつの上がらない凡人として描いたのは面白かったし、お栄という娘を全面に押し出しているの
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.5

新しいことをしたいという強い意志は感じる映画だった。

映像ではカット割りの多さが特に目に付く。
日常シーンでも次々とカットが割られ、ものすごいスピードで画面が切り替わる。
さらに、戦闘シーンになると
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いつかギラギラする日(1992年製作の映画)

4.1

深作欣二が好き勝手し放題した映画だと思った。

物語とかは正直、どうでもよく、とにかく強烈な悪人たちがド派手に金の奪い合いをするのが見どころ。
ストレートで暴力的な怖さを見せるショーケン。
若さを暴発
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受難(2013年製作の映画)

4.2

ものすごくヘンテコな、それでいて大真面目な映画だった。

テーマは愛とセックス。
当然、性描写も裸のシーンも大量に出てくる。
なのに、それが少しもいやらしくない。
映画がとことんまで大真面目だからだ。
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ラブゲームは終わらない(1988年製作の映画)

3.4

超ハイテンポなドタバタコメディだった。

「10分に1回濡れ場があれば、あとは何をやってもいい」という日活ロマンポルノらしく、大量のベッドシーンが出てくる。
が、それが作り手の見せたいものではないのは
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