ひこくろ

フォーエバー・パージのひこくろのレビュー・感想・評価

フォーエバー・パージ(2021年製作の映画)
4.1
(ドラマ以外の映画はすべて観ているうえでの感想になります)

このシリーズの面白さの核は、二つあるんじゃないかと個人的には勝手に思っている。
ひとつは、パージという殺人が許される混乱の日をどう生き残れるのかというサバイバル的な面白さ。
もうひとつは、パージを通して浮かび上がってきてしまう社会的な問題の興味深さだ。

で、今回の映画。
社会問題の面では、移民問題と貧富の差を扱っている。
都会ではなく田舎町を舞台にしたことで、この面はより際立っていて、ああ、これはとてもパージらしいなあ、と思わされた。

一方で、サバイバル的な面白さに関しては、いろいろと思うところがあった。
前半の普通のパージが終わる辺りまではとてもいい。「息を潜めてなんとしてでも生き残る」という雰囲気に満ちているからだ。
が、後半、無限パージに入ってからは、この雰囲気ががらりと変わってしまう。

一応、国境が閉まるまでにたどり着けば助かる、という時間制限はあるものの、当然ながら、その時間がくれば終わるというのとは意味合いが異なってくる。
逃げて、隠れて、対処しながら待っていても、助かる見込みはないからだ。
加えて、国境を目指す際に、次々と相手側を殺していってしまうのがさらに気になる。
なんというか、生き延びると言うよりも、敵をバンバン殺してゴールを目指す、みたいになってしまっているのだ。

感覚的には、ほとんどゾンビ映画でも見ているような感じだ。
全然悪い映画じゃないし、むしろ面白い部類だと思う。
ただ、ラストも含めて、よくあるタイプの面白い映画なのは否めない。
「パージも普通の大作になってしまったか」というのが、正直な想いだった。
これまで続編が出るたびに楽しみにしてたけど、次はあってももう観ないかもしれない。
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