これは刺さる人にはめちゃくちゃ刺さる映画だろうなあ、と思った。
世界観の作り込みが、とにかくとんでもなくえげつない。
基本の話はハードボイルド風の大正っぽい冒険活劇なんだけど、わりと荒唐無稽な話なので物語自体は特に重要ではない。
それよりも、徹底的に凝られ尽した世界観と雰囲気こそがこの映画の肝だ。
一時間という長さとは思えないほどの尋常ではない情報量。
さらに明らかにされないのに、間違いなく「ある」と思わせられる設定の数々。
映画を観てると、物語に振り回されながらも、そういうものがひっきりなしに浴びせられる。
この感覚は、なかなか味わえるものではない。
逆を言えば、雰囲気と世界観が受け付けない人には、相当につまらない作品かもしれない、とも感じた。
ある意味で、ここにはそれしかないからだ。
でも、それは想像を超えるほどのすさまじさなので、やっぱり好きな人にはたまらないだろう。
世界観にこだわった映画というのは時々あるが、ここまで徹底して突き詰めたものは珍しい。
興味本位だけでも、観たくなる映画だと思う。
この世界観には、価値は十分にある。
