ひこくろさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ひこくろ

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ボーダーライン(2015年製作の映画)

4.6

ものすごくスリリングで、痺れるくらいにシビアな映画だった。

トラックで民家に突っ込み、いきなり銃撃戦を繰り広げ、家の壁の中に大量の惨殺死体を発見する、という冒頭からもうすごい。
でも、こんなのは序の
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Seventh Code(2013年製作の映画)

2.7

なんだ、これ。
思い付きとイメージだけで作られたのか、と思うぐらいに酷い。

小学生ぐらいの男の子が喜んで想像しそうな内容なのは、まだいい。
そういうぶっ飛んだ拙い設定でも、面白い作品はいくらでもある
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SKIN/スキン(2019年製作の映画)

4.5

何かを敵だと妄信する人間の恐ろしさをまざまざと感じた。

全身にタトゥーを入れたレイシスト幹部のブライオンは、白人以外の人間に対して容赦なく暴力を振るう。
白人以外は敵だと信じている彼にとって、それは
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真島ミヤビ(2021年製作の映画)

4.2

物語の種みたいな映画だった。

15分弱の短い作品のなかに、面白くなりそうな要素がこれでもかと詰め込まれている。
出逢うのは後悔を抱えた青年と、同じく後悔している中学生の少女。
二人は互いを恋した相手
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裸足のギボン(2006年製作の映画)

3.5

障害者を扱ったコメディタッチの作品というのは、どうにも居心地悪くて苦手だ。
これはもうどうしようもないくらい個人的な感覚なんだと思う。
点数が低いのはそういう理由からで、作品の良し悪しとはあまり関係が
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真木栗ノ穴(2007年製作の映画)

4.1

西島秀俊によって成り立っている映画だと強く感じた。

書けない小説家が、アパートの壁に開いた穴から隣人のセックスを覗き、それを小説にしていく。
という、まるで江戸川乱歩作品のような変態的な趣向。
さら
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つぐみ(1990年製作の映画)

4.2

吉本ばななが一大ブームになっていた時代に、デビューしたての美少女、牧瀬里穂が主演する。
言ってみれば、流行にとことん乗った作品なのに、そんなことを微塵も感じさせないほど、映画の作りは丁寧だ。
地味に展
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.0

よくこんな映画作ったなあ、というのが率直な感想だった。

乱暴な言い方をすれば、さまざまなSF映画やアクション映画のパロディに、ユーモアと諷刺でたっぷりと味付けをしたような感じ。
ただ、パロディと言っ
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ブリング・ミー・ホーム 尋ね人(2018年製作の映画)

4.4

どうしようもないやりきれなさが心に残って離れない。

人はこんなにも残忍になれるのか。
世の中はこんなにも悪意に満ち満ちているのか。
出てくる人の大半は、人でなしとでも言いたくなるような人間ばかりだ。
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蛋ヶ岳学会事件(2020年製作の映画)

4.3

20分にも満たない作品のなかに、こんなにも薄気味悪さとか怖さとかを詰め込めるんだ、と驚いた。

鶏卵に自分の精子を流し込み孵化を試みる、という実験自体がすでに気味が悪い。
しかも、それをボロアパートの
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七つの大罪クラブ 生贄になった少女たち(2020年製作の映画)

4.2

田舎の閉塞感と、宗教の秘密性、それに少女特有の不安定さが絡みあって、独特な味を醸し出しているホラー映画だった。

色欲、嫉妬、暴食、怠惰、強欲、憤怒、傲慢という聖書の七つの大罪に例えられる少女たちは、
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ある街の記憶(2020年製作の映画)

4.0

これはずるい。反則だ。

ちょっと可愛い感じの女の子がフィルムカメラを提げて立っている。
こっちを見ているようにも見えるけれど、わからない。彼女は無表情だ。
アップから、引きになり、全身が映る。彼女は
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陸軍中野学校(1966年製作の映画)

4.3

第二次世界大戦の戦時下を舞台にした、和製のミッション・インポッシブルだと思った。

いきなりスカウトされた次郎は、その場で家族も恋人も捨て、将来も棒に振り、スパイになれと命じられる。
軍隊の命令だから
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事件(1978年製作の映画)

4.4

いやあ、日本にこんなに面白い法廷ミステリー映画があったなんて知らなかった。

被害者は若い女性、ハツ子。犯人はハツ子の妹のヨシ子と同棲している宏。
動機もあり、自供もしていて、すべてが明らかに見える殺
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創造的進化(2019年製作の映画)

2.8

何か崇高なテーマを描いているようにも見えるけれど、意味はまったくわからない。
アニメーションとしては滑らかだけど、特に目を見張るような出来でもない。
残酷な言い方をしてしまえば、ひとりよがり以外の何物
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殺人鬼を飼う女(2019年製作の映画)

4.1

ホラーとしては全然怖くないし微妙だと思うけれど、映画としては面白いなあと感じた。

この映画の魅力は、多重人格だということを明かした上で、それぞれの人格を違う役者に演じさせた、という一点に尽きる。
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V.I.P. 修羅の獣たち(2017年製作の映画)

4.5

骨太で男臭くて熱い社会派ミステリーで、文句なしに面白かった。

犯人逮捕のためなら違法捜査さえ平気で行なう強引なチェ刑事。
自らの未来をかけて組織のために奔走する国家情報院のパク・ジェヒョク。
二人は
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運命は踊る(2017年製作の映画)

4.4

こんな形で戦争を描いてみせることができるんだ、と驚いた。

映画のなかには戦場シーンはまったくない。
三つの物語が描かれるが、どれも戦争とはほとんど無関係に見える日常シーンだ。
しかし、そこにも戦争は
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殺人漫画(2013年製作の映画)

3.3

映画の作りが、魅力的な題材を台無しにしているホラーだと思った。

漫画に描かれた通りの殺人事件が起こる。
明らかに殺されているのに、自殺の跡しか見つからない。
亡霊による殺人現場を目の当たりにした刑事
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ベル・エポックでもう一度(2019年製作の映画)

4.4

あまりの脚本の素晴らしさに思わず唸ってしまった。

疑似的にタイム・トラベルを体験できるサービスを、老人の主人公ヴィクトルが受けるのがメインの話。
が、同時に、そのサービスを提供する裏方たちの物語も進
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ドライヴ(2011年製作の映画)

4.4

(作品間違えてレビューしてたので、こちらに移しました。ぬまつさん、ご指摘ありがとうございました)

世の中にはひたすら格好いい映画というのが存在する。
これは、間違いなくそういうなかに名を連ねる一本だ
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SKIN 短編(2018年製作の映画)

4.3

あまりにも胸糞悪いのに、でも、強烈な印象を残す短編映画だった。

主人公のジェフは、見ていて嫌になるような人間だ。
他人の迷惑など顧みず、自分の好き勝手をやって生きている。
自由人と言えばそうだが、そ
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私はたぶん絶対にかわいい(2022年製作の映画)

4.1

ずいぶんと挑戦的な短編映画だった。

登場人物は車を運転する女と助手席の男の二人だけ。
カメラは後部座席に固定されていて、二人の顔すら見えない。
全編15分、ただ会話とラジオから流れる音が聞こえるのを
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百万円と苦虫女(2008年製作の映画)

4.5

終始、クスクス、ニヤニヤと笑ってしまうのに、どこか心の底がぽわっと温かくなり、最後にはガツーンとやられる。
とてもおかしくて可愛らしくて、力強い映画だと思った。

タイトルからは想像できないような出だ
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一文字拳 序章 -最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い-(2018年製作の映画)

3.3

80年代のアクションヒーローものに対する異常とも言えるほどのこだわりは見事だった。
水曜ロードショーをパロディ化したオープニングから、途中に入るCM、メイキング映像を流すエンディング。
と、とにかくが
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ネオ桃太郎(2014年製作の映画)

3.4

これは映画なのかなあ、というのが正直な感想だった。

要素としてはものすごく面白い。
大学の映画サークルの面々が映画を撮る話というのがまずいい。
さらに、監督や役者、スタッフに温度差があって、上手く噛
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左様なら今晩は(2022年製作の映画)

3.2

丁寧に作られたアイドル映画だなあ、と思った。

記憶のない幽霊の女の子と気弱な男の子が、図らずも同居することになって。
という話なんだけど、映画はそれを全然急いで描こうとしない。
出てきてすぐに名前を
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魔女と呼ばれた少女(2012年製作の映画)

4.7

過酷、という言葉では到底足りないような現実の重さに震えが走る思いがした。

冒頭から残酷な現実は顔を出す。
わずか12歳の女の子が銃を渡され、目の前の両親を殺せと迫られるのだ。
断れば、代わりに鉈で痛
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マリといた夏(2002年製作の映画)

4.0

韓国のアニメ業界に疎いので、これが普通なのかどうかはわからない。
ただ、明らかに日本のアニメ作品とは違った質の映画だな、とは感じた。

フルCGで描かれる世界は、イラスト調のキャラクターデザインでもっ
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オーディション(2000年製作の映画)

4.3

いろんな意味で全編気持ち悪さに満ち溢れた映画だった。

まず、人間のゲスさが相当に気持ち悪い。
再婚相手を映画のオーディションにかこつけて選ぶのもゲスければ、気に入った子にだけ夢中になって話しかける様
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悪名(1961年製作の映画)

4.1

なるほど、これは和製のピカレスク・ロマン(悪漢小説)だ。

この手のものは話の筋よりも、人物がいかに魅力的かが重要になる。
その点、度胸があり、肝も太く、義理堅い主人公の朝吉は、魅力十分。
キリっとし
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画家と泥棒(2020年製作の映画)

4.4

芸術の意味を考えさせらる、とても奇妙なドキュメンタリー映画だった。

絵を盗まれた画家が、盗んだ泥棒に絵のモデルになってほしいと頼む。
という話自体がまず、とても不可解というか、不思議。
しかも、映画
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少年の君(2019年製作の映画)

4.7

中国(香港)青春映画の真髄を見たような思いがした。

思春期の少年少女たちはさまざまな思いを抱えている。
不安、焦り、苛立ち、怒り、葛藤、やさしさ、自己嫌悪、差別、闇、揺れ、迷い…。
それは簡単には言
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コロンバス(2017年製作の映画)

4.2

ものすごくセンスのいい映画だなあ、と思った。

映像も物語も会話も、ほとんど何も説明しようとしない。
でもそれは、必要な説明が省かれているというより、不必要な説明はしないという感じに見える。
何も説明
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海と毒薬(1986年製作の映画)

4.7

怖ろしい、としか言葉が出てこない。

患者を人として見ようとしない医者たちの姿がまず恐ろしい。
出世に役立つと思えば懇切丁寧に対応し、見込みがないと判断すればぞんざいに扱う。
人として見ていないから、
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スティール・コールド・ウインター(2013年製作の映画)

4.0

これは、韓国版の中学生日記だなと思った。

高校生たちの心情を描いていくというのではなく、何が起こったかをドラマチックかつストレートに描いていく。
その描き方はあまりにも直球過ぎるので、観ていて気恥し
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