ひこくろ

一文字拳 序章 -最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い-のひこくろのレビュー・感想・評価

3.3
80年代のアクションヒーローものに対する異常とも言えるほどのこだわりは見事だった。
水曜ロードショーをパロディ化したオープニングから、途中に入るCM、メイキング映像を流すエンディング。
と、とにかくがっつりと80年代をパロディ、というか、再現していく。

ユウタを主人公とする話の内容も、まさに80年代のノリなので、こういうのが好きな人にはたまらないだろう。
また、アクションが自主制作映画とは思えないほど素晴らしく、アクションシーンだけでも十分に見せる。
下手なCG作品よりも、圧倒的に上質だと思った。

ただ、シラハタを主人公とする側の話とのバランスが悪く、どうもしっくりとこない。
マンガ家を目指しているが芽が出ないシラハタの話は、言ってみれば、かなり現代的だ。
これをメインに入れたのは、彼の描いているマンガをユウタの話とダブらせたかったのと、現代的な要素を入れることで、80年代世界に異化効果、ギャップを生み出して面白みを産もうとしたためだろう。
が、話が進むにつれて、シラハタの話自体がどんどん80年代に寄ってしまうので、その効果はほとんどない。
逆に、ちょっとだけ現代的な話が妙に浮いてしまって、なんかぎこちない感じがした。

あと、個人的に80年代のアクションヒーローものが好きではないので、この評価。
その手の映画が好きな人は、きっと気に入ると思う
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