ひこくろさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ひこくろ

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クラッシュ(1996年製作の映画)

4.1

100パーセント変態成分で作られているような映画だった。

登場する人物はみな、交通事故に興奮し欲情してしまう人たちばかり。
なので、映画の九割以上は、セックスシーンか交通事故シーンが占める。
ただ、
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ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

4.0

(原作未読、アニメは見ていた派の感想です)

漫画・アニメの実写化は、ある一定の方向に答えを見出したのかな、と感じる映画だった。

元となる作品がある場合、とかく再現性ばかりが注目されがちだ。
特に漫
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円の網(2017年製作の映画)

4.2

雰囲気で見せる、というのはこういう映画のことを言うんだろうなあと思った。

描かれるのは日常のなかのありふれた出来事で、台詞もとても少ない。
特に何でもないと言えば何でもないシーンの連続だ。
が、そこ
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パラレル 多次元世界(2018年製作の映画)

4.3

いやあ、面白いSF映画だった。

パラレルワールドに行かれる鏡を見つけた素人四人の話なのだが、そのノリが最初は完全に学生ノリ。
別の世界の自分の財布を盗み出し豪遊してみたり、札束を集めて爆発させてみた
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.3

とんでもなく奇妙な人間賛歌の映画だった。

話は思いきりざっくり言ってしまえば、寓話的に描かれた女フランケンシュタインの話といった感じ。
胎児の脳を移植された女性ベラが、様々な経験を通して、人間を知っ
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リアリティ(2023年製作の映画)

4.2

FBIが実際に捜査の際に録音したデータをテキスト起こしし、そのまま台詞として使ってみせた異色作。

現実の会話を使えばリアルだろうと思いがちだが、じつは現実の会話と映画とはそんなに相性が良くない。
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傷物語-こよみヴァンプ-(2024年製作の映画)

3.4

一気に観られる、ということ以外に何もメリットのない映画だと感じた。

基本的には元々の三部作をそのままつなげたような作り。
ただ、三部作自体、時系列順に並んでいるので、話としての違和感はない。
問題な
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セイント・モード/狂信(2019年製作の映画)

4.3

信仰にまつわる、とても奇妙でグロテスクで残酷な映画だった。

主人公のモード(ケイティ)は神の存在を心から信じている。
が、彼女の信仰は聖人のようなものではない。
彼女が信仰にすがるのは、たとえようも
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コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

4.2

ずいぶんと切り口の変わったディザスター映画だなあ、と思った。

巨大地震が起こり、街は壊滅。
救助が来る気配すらないなか、唯一残った高層マンション「ファングンアパート」を舞台に物語は始まる。

ライフ
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こちら放送室よりトム少佐へ(2020年製作の映画)

4.3

こんなにも気持ちのいいアイデアと出会ったのは、いったいどれくらいぶりだろう。

顔も見たことのない相手と、テープの録音を通して、やり取りをする。
しかも、それはただの会話ではなく、ラジオドラマになって
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いさなとり(2015年製作の映画)

4.0

原風景のイメージを凝縮した結晶のような映画だと思った。

田舎町に住む中学生ユウタを中心に、そこに住む人々の暮らしが淡々と描かれる。
そこでは、特別なことはほとんど何も起こらず、その淡々としたぶりは本
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獣道(2017年製作の映画)

3.2

要所要所に惹かれるところはあるものの、いくつかの悪い部分がそれを台無しにしてしまっている印象を受けた。

大きく分けて欠点は三つ。
ひとつは、冒頭から繰り広げられる極端にデフォルメされた描写。
わざと
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アルカディア(2017年製作の映画)

4.6

何も起こらないということがこんなにも不気味なことってあるだろうか。
幼少期に弟を連れてカルト教団から脱げたしたジャスティンは、弟のアーロンが教団の生活する「アルカディア」に惹かれるのを極端に恐れている
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見えざる手のある風景(2023年製作の映画)

4.5

ものすごくヘンテコなのに、ある意味とことんまでSF的な、めちゃくちゃ面白い映画だった。

舞台はエイリアンによって支配された世界。
ただ、反抗しようとする人はいないし、人類とエイリアンは敵対もしていな
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山河の子(2018年製作の映画)

4.3

日本映画大学学生の卒業制作ということだが、そんなこと忘れてしまうくらいドキュメンタリー映画として素晴らしかった。

中国・甘粛省の農村にある唯一の小学校にスポットを当て、そこに通う子どもたちの生活を追
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モラトリアム・カットアップ(2015年製作の映画)

3.9

久しぶりに自主制作らしい自主制作映画を観たなあって気分になった。

ごく私的な物語がいかにも手作りといった感じの映像で収められていく。
PFF(ぴあフィルムフェスティバル)が始まった当時の1980年代
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ブラッド・パンチ タイムループの呪い(2014年製作の映画)

4.2

いろんな要素が奇妙なバランスで吊りあっている不思議な魅力のある映画だった。

タイトル、パッケージ、あらすじを見る限りは、かなりつまらない映画なように思える。
が、なかなかどうして、これが意外にもとて
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アンテベラム(2020年製作の映画)

4.2

問題は多々あるけれど、ミステリーの核の部分はとても面白かった。

南北戦争の時代と思われる社会で黒人差別に苦しめられるエデン。
現代で差別問題を扱い、多くの支持を得ている幸せなヴェロニカ。
見た目がそ
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ドライブイン蒲生(2014年製作の映画)

4.2

惹かれる理由がわからないのに、なぜか妙に気になって見入ってしまう映画というのがたまにある。
この作品はそんな映画の代表格だと感じた。

描かれるのは蒲生家の現代と過去。
現代では、子連れで出戻った姉が
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ほかげ(2023年製作の映画)

4.5

戦争が人々に遺すものの重さに胸が潰れる思いがした。

人々は戦争によって日常を奪われるだけでなく、心にトラウマも植え付けられる。
それはトラウマという言葉で語っては生温いぐらいに大きく重い。

女は、
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虐待の証明/ミス・ペク(2018年製作の映画)

4.6

(ちょっと長いです)

ものすごくつらくてきつくて重かった。

主人公のペクは母親に虐待されていた過去を持ち、それがゆえに大人になっても情緒不安定でいる。
人のやさしさを受け入れられないし、自分は幸せ
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大阪物語(1999年製作の映画)

4.0

どう捉えていいのかわからない、とても不思議な映画だった。

冒頭、若菜がカメラに向かって話しかけてくるところから違和感ははじまる。
これは誰に向けた物語なのか。観客はどの立ち位置にいればいいのか。
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青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない(2023年製作の映画)

4.4

(原作未読。アニメシリーズは全部見ているうえでの感想です)

これまでの「青春ブタ野郎」シリーズは、わりとエピソードが独立している感じで、どの話から見ても、それだけ見ても楽しめるような作りになっていた
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SR サイタマノラッパー(2008年製作の映画)

4.5

ものすごくおかしいのに、痛くて苦しくてたまらなくもある、いい青春映画だった。

華やかで尖っているように見えるラッパーも、多くの実情はこんな感じなのかもしれない。
演奏を離れれば、マイティーは実家の農
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女子カメラ(2012年製作の映画)

4.1

吉祥寺を舞台にした、カメラ女子四人が主役の映画。
しかも、主役の一人は当時AKB48の一員だった光宗薫。

はじまるやいなやおしゃれな感じとハートフルな感じが満載で「ああ、これはこういう映画なのか」と
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偽りのないhappy end(2020年製作の映画)

4.4

たぶん世の中の評価はかなり低いと予想できるけど、個人的にはすごく好きな映画だった。

話は行方不明になった妹のユウを探すエイミと、同じ境遇にいながら妹が死体で見つかってしまったヒヨリが、事件の真相を追
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(2023年製作の映画)

4.2

北野武は根っからのエンターテイナーなんだなあ、とこの作品を観て思った。

今回の重点は「笑い」にあったんだと感じる。
それも、単純な笑いの要素ではなく、笑いの本質のようなものだ。

戦国時代は現代と違
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

4.0

ゲゲゲの鬼太郎ってこんなにも怪しげな作品だったっけ、と思うほど不気味で恐ろしい印象を受けた。

秘密を持つ田舎の名家の当主が亡くなり跡目争いが始まるのだが、村特有の閉塞感と怪しげな相続人たちといった様
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デート・ウィズ・ドリュー(2004年製作の映画)

4.3

本気と情熱だけで作られてしまった異色で痛快なドキュメンタリー映画だった。

クイズの賞金1100ドルと、30日間レンタルしたカメラ。
ブライアンにあるのはこの二つだけ。
だが、彼は憧れのドリュー・バリ
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俺俺(2013年製作の映画)

4.0

こういう、いろんなところに仕込んだ小ネタを見つけて楽しむような映画は、基本的には大の苦手なんだけど、これは面白かった。

根本のストーリーとなっているアイデアがとにかく秀逸。
性格は異なるが見た目も考
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永い言い訳(2016年製作の映画)

4.5

この感覚、痛いほどよくわかる。

親しい人を亡くした時、心に大きな欠落感があるのに、それが感情に結びつかない。
悲しい気持ちも湧かないし、涙も流せない。
その人がもういないという事実に打ちのめされてい
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傀儡(2017年製作の映画)

4.5

自主制作映画って概念がぶっ飛んでしまう映画だった。

冒頭からしてすでに自主制作らしさが微塵もない。
大作志向の骨太なストーリーに、堂々とした画作りに演出、演技。
相当にお金がかかってるんだろうなあ、
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Journey to the 母性の目覚め(2021年製作の映画)

4.0

女性にしか撮れない映画だなあ、と感じた。

出産に関する様々な考えを、性知識、結婚観、生物学的見地、倫理観などなど、それこそあらゆる方向から探って、母親になることの意味を問いかける。
頷ける考えもあれ
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川と自転車(2018年製作の映画)

3.4

ものすごく人を選ぶ映画だと感じた。

熟年カップルと若い男女がそれぞれ河原に行き、何をするでもなく時を過ごす。
その様子が、音楽も台詞もなく、ただ延々と引きの画面で映し出される。
説明らしきものは一切
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バンド(2021年製作の映画)

4.2

たぶん色調を相当いじっている映像が妙に印象に残る映画だった。

アニメーション作品などではよくあるが、実写系の自主制作作品で、ここまで映像を加工しているのはあまり見かけない。
それだけに、インパクトは
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アンネ・フランクと旅する日記(2021年製作の映画)

4.4

秀逸なアイデアと上質なアニメーションでもって実現した、これ以上ないと言えるほどの「アンネの日記」の映像化作品だった。

アンネが日記を書く相手として想像したイマジナリーフレンドのキティーが現代に現われ
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