ひこくろさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ひこくろ

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ファイナル・アワーズ(2013年製作の映画)

4.3

もし、この状況になったとしたら、自分はどうするだろうと考えずにはいられない。

12時間後、確実に地球が滅亡し、全員が死ぬとわかっている未来。
自暴自棄になり自殺してしまう人もいれば、逆に他人を殺して
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正欲(2023年製作の映画)

4.1

どうにも捉えどころのない映画だなあ、という思いがした。

五人の登場人物の人生が群像劇のように別々に描かれるのだが、その共通点や接点がなかなか見出せない。
なんとなく、生きづらさのようなものかとも感じ
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駒田蒸留所へようこそ(2023年製作の映画)

4.4

仕事の意味ってことを深く考えさせられる良質なアニメだった。

琉生は、家族の絆であるウィスキー「独楽」を復活させるため、家業を継ぐ。
家を飛び出した兄は、いつか自分の酒を造ることを夢見、畑違いの他社の
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FUNAN フナン(2018年製作の映画)

4.5

これは地獄だ、と強く思った。

カンボジアの歴史に詳しくないので、クメール・ルージュという名前ぐらいしか知らなかったが、現実にこんなことが行われていたのかと愕然とした。
革命軍により、人々は一方的に土
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返校 言葉が消えた日(2019年製作の映画)

4.6

ホラー映画にこんなにもいろんなことを詰め込んだことに衝撃を受けたし、その完成度にも度肝を抜かれた。

台湾のホラーゲームの実写化映画らしく、基本の構造はあくまでもホラー。
現実が現実でないものに変質し
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殺人の疑惑(2013年製作の映画)

4.3

ミステリーとかサスペンスの面白さを存分に堪能させてもらった。

うだつのあがらない父親を慕ってやまない素直で美人の娘。
その関係は、誰から見ても微笑ましいし、うらやましいほどだ。
しかし、未解決事件の
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エクソシスト(1973年製作の映画)

4.5

これだけの有名な作品を恥ずかしながら初めて観ました。
いやあ、すごかった。

あらすじと有名なシーンは知っていたので、怪現象とかから始まるのかと思いきや、いきなりイラクの発掘現場から始まったのにまず驚
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夏へのトンネル、さよならの出口(2022年製作の映画)

4.4

ものすごくわかりやすい映画だなあ、というのが最初の印象だった。

ウラシマトンネルというSF的な舞台を用意し、互いに秘密を抱えた男女が出会い、挑んでいく。
トンネルの秘密を共有することで二人の仲は近づ
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.4

フランス映画ってのは、タイム・リープものですら、こんなにもおしゃれで愛らしくしてしまうのか、とひたすら感心した。
もちろん、監督のセリーヌ・シアマの実力ではあるのだが、やっぱりその根底には脈々と続くフ
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飛べない鳥と優しいキツネ(2018年製作の映画)

4.4

これは刺さる人にはとことんまで刺さる映画だろうなあ、と思った。

タイトルやパッケージのほんわかした雰囲気とは裏腹に、映画はえげつないほどに残酷だ。
学校では孤立しいじめられ、家では父親に暴力を振るわ
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.1

時代設定を終戦直後にする、というアイデアは文句なしに素晴らしかった。

これまでのゴジラ映画にあった「最新鋭の科学でゴジラを倒す」という方程式が成り立たず、「いまある力でどうにかしてゴジラに立ち向かう
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ドミノ(2023年製作の映画)

3.4

脳をフル回転させて真相を推理するのを楽しむ映画だと想像していたら、まったく逆で、むしろ頭を空っぽにしてたほうが楽しめそうな映画だったので驚いた。

催眠術で精神を再構築させ、それを現実と認識させるとい
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愛にイナズマ(2023年製作の映画)

4.5

(ごめんなさい。ちょっと長いです)

石井裕也の映画にはいつも根底に毒が流れている。
でも、ここまで攻撃的に怒りや苛立ちを前面に押し出したのは珍しい。

噓を吐くのが下手な花子は、自分の映画を撮るため
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新しき世界(2013年製作の映画)

4.6

ノワール映画ってまさにこういうのを言うんだよなあ、と思った。

ヤクザの跡目争いが話の中心なのだが、そこに絡む人間がみんなえげつないほど腹黒い。
どんな卑怯な手も使うし、残忍な手口も厭わない。腹芸もお
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BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

4.4

じつに骨太で痛快なピカレスク・ロマンだった。

この手の映画では男臭さが鍵になるので、女性が主人公というのは珍しい。
でも、舞台が大阪ということと、安藤サクラの力づくとも言えるほどのぐいぐい引っ張る演
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キリエのうた(2023年製作の映画)

4.5

岩井俊二はアイナ・ジ・エンドの歌声に惚れ込んだんだろうなあ。

元BiSHのアイナ・ジ・エンド(以下、アイナ)はもともと歌唱評価がとても高い。
ハスキーな声を絞り出すように歌い上げ、そこに圧倒的な感情
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オオカミの家(2018年製作の映画)

4.4

あまりに衝撃的で言葉を失ってしまった。

コマ撮りで制作されるストップアニメーションは、世の中にいくつもあるが、ここまでアニメーションの意味を考えさせられるものは、ちょっと観たことがない。
僕はこれま
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(2021年製作の映画)

4.2

とても不気味なストップアニメーションだった。

個人的な考えを言うと、ストップアニメーション(コマ撮り撮影のアニメーション)でその内容が作る苦労よりも面白いものってあまりないような気がしている。
たい
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沈黙の艦隊(2023年製作の映画)

4.3

致命的なたったひとつの欠点を除けば、とても面白い映画だった。

まず出だしの引き付け方が上手い。
日本の潜水艦「やまなみ」が沈没するのだが、その様子は他の潜水艦からは音としてしか捉えられない。
音でわ
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福田村事件(2023年製作の映画)

4.6

狂気によってごく普通の人までもが人間性を失っていく様子を描いた、とても怖い映画だった。

朝鮮人差別だけでなく、さまざまな問題について、映画は冒頭から強いメッセージを放ってくる。
戦争批判、貧富の差、
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名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊(2023年製作の映画)

4.5

このシリーズの最大の特長は、奇をてらったり茶化したりすることなく、王道のオーソドックスな物語を、丁寧かつ堂々と撮りあげてるところにあると思っている。
前作も前々作も、本当にストレートに話を紡いでいくの
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アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

4.3

絶賛したい気持ちとうーんと思う気持ちが混在してしまう、なんとも言いづらい映画だった。

出だしからしてかなり微妙。
というか、いろいろな説明がされないまま進むので、これは作り手だけがわかってる映画なの
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マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

4.5

よくこんなこと思いつくなあ、ということがてんこ盛りの抜群に面白いホラー映画だった。

ガブリエルという得体の知れない怪物が起こす連続殺人事件に、マディソンは巻き込まれていく。
なぜか、彼女は殺人の現場
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ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

4.6

これは驚いた。
パッケージやあらすじを見る限りでは、生きづらさを感じる男女が二人して「生きる道」を探すロードムービー。
みたいな感じなのだが、内容は完全に「人喰い」たちの物語。

現実にはあり得ないよ
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半狂乱(2021年製作の映画)

4.4

想いと勢いとテクニックを駆使して、やりたいことをやりきった映画なんだろうなあ、と思った。

基本的には冒頭から最後まで、めちゃくちゃなスプラッタで彩られている。
が、畳みかけるようなテンポ感と、緊張感
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リテイク(2023年製作の映画)

4.3

ものすごく自主制作映画っぽいことと、ものすごく一般映画っぽいことを、両立させている、とても面白い映画だった。

基本の話は高校生たちが夏休みに映画を撮ろうとするもので、ここに関してはオーソドックスな題
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ちょっと吐くね(2023年製作の映画)

3.4

題材はかなりシリアス。
食べたものを吐いてしまうというのは、相当に苦しいものだろう、と観ていても伝わってくる。
誰かと一緒に食べたものも吐く。
差し入れしてくれたものも食べたら吐く。
摂食障害には後ろ
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PLAN 75(2022年製作の映画)

4.6

ものすごいところを抉ってきたなあ、というのが第一印象だった。

75歳以上の人間が安楽死を選べる「PLAN75」のある世界は、悪意のある言い方をすれば「老人は死ね」と社会が望む世界だ。
もちろん、架空
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凱里ブルース(2015年製作の映画)

3.4

好みによって好き嫌いがはっきりと分かれそうな映画だなあと思った。

前半は特に何か説明されることもなく、延々と日常シーンが描かれる。
主人公のチェンが医師で、老女医とともに村の診療所で働いていること。
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ブラック校則(2019年製作の映画)

4.1

とにかく脚本が上手いのひと言に尽きる。

観る前までは、厳しい学校側に対して主人公をはじめ生徒たちが立ち向かう話か、理不尽な校則をコミカルに描いて見せる諷刺のような話だろう、と思っていた。
が、脚本は
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燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

4.3

静かで繊細なのに、芯はとても熱い、ラブストーリーかつ創作の物語だと思った。

中盤まではミステリー的な要素が非常に面白い。
孤島で暮らす姿を現わさない貴族の娘。
彼女の肖像画の顔の部分を塗りつぶしてし
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春に散る(2023年製作の映画)

4.5

とんでもなく熱いボクシング映画。でも、それだけじゃない。
人の生きざまをこれでもかってぐらいに見せつけてくる作品だった。

世界チャンピオンにもなれたかもしれない元ボクサーの広岡は、アメリカで事業に成
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ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

4.8

ものすごく挑戦的な形で、考えることの意味や厳しさを突きつけてくる映画だと感じた。

舞台は閉鎖的で宗教色の強いある田舎の村。
そこでは、女性たちが子どもの頃から毎晩のように薬で気絶されられレイプされて
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エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

3.8

それぞれの人物ではなく、人物同士の関係性が全体の雰囲気を生み出している、といった印象の群像劇だった。

財閥令嬢でわがままでワンマンな社長のモーリー。
誰からも好かれて信頼されているチチ。
チチの恋人
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ゴロン・バタン・キュ ー(2015年製作の映画)

4.3

明るさっていうのは、生きる力強さなんだよなあ、としみじみと思う。

ホームレスのあたるくんも佐々木さんも、世の中から見ればはみ出し者のダメ人間だ。
人生の落伍者と見る人だっているだろう。
でも、二人は
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巨人の惑星(2021年製作の映画)

4.1

ずいぶんと薄気味悪い映画だなあ、と感じた。

ホンダという男がとにかく気味悪い。
人から借りたマンガを読まずに返しもせず捨てる。
部屋のなかでもコートを着て、外にはほとんど出ない。
ユニットバスをシェ
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