アー君さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

神の道化師、フランチェスコ デジタル・リマスター版(1950年製作の映画)

3.5

複数のエピソードで分かれた聖フランチェスコの半自伝的な物語であるが、脚本の共作として、フェデリコ・フェリーニが携わっていたのでもう少しトリッキーな映像世界を予想していたが、イニシアティブは監督であるロ>>続きを読む

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

3.9

今までのギャスパー・ノエの作品といえば、スキャンダラスで面白半分に話題性を意識した印象はあるが、今回は「サスペリア」で著名な監督であるダリオ・アルジェントを主演に使う大胆さはあったが、テーマを「老後」>>続きを読む

きっと ここが帰る場所(2011年製作の映画)

3.4

題名はトーキング・ヘッズのThis Must Be the Placeから引用しており、またデヴィッド・バーン自身も音楽とゲスト的な本人役として主演を兼ねている。しかし本人役として出演したライブの容貌>>続きを読む

JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】(2021年製作の映画)

3.3

皆さま無沙汰しております。久しぶりの更新で緊張をしておりますが、体調不良やプライベート等でなかなか映画を見る機会がございませんでした。体調を考慮しながらダラダラやって行ければと思います。(せめて区切り>>続きを読む

竜二(1983年製作の映画)

4.0

だいぶ昔に陣内孝則が出演した「ちょうちん」は見た事はあったが、脚本家として意識はしていなかったが、作品として記憶には残っていた。

「竜二」は拳銃を使った派手な抗争によるタマ(魂の隠語)の取り合いが起
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.5

待ちに待った「ゴーン・ガール」以来のフィンチャー映画である。(配信のみの「マンク」は未見のため)脚本は「セブン」のアンドリュー・ケヴィン・ウォーカー、製作がPLAN Bであれば、矢も盾もたまらず映画館>>続きを読む

ウイークエンド(1967年製作の映画)

4.6


「二度といっしょに仕事をしたくないわ。」

ー ミレーユ・ダルクのゴダールについて

「勝手にしやがれ」ミシェルとパトリシア、「気狂いピエロ」フェルディナンとマリアンヌ。そして今回の「ウイークエンド
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ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)(2022年製作の映画)

3.4

ヌーヴェル・ヴァーグ(新しい波)とゴダールがイコールで結びつくほどの仏映画界の第一人者である。すべての作品を知りつくすほどのマニアという訳ではなく、「気狂いピエロ」「勝手にしやがれ」等の有名どころぐら>>続きを読む

アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)

4.2

「ゾンビ」でお馴染みのジョージ・A・ロメロによる珍しい社会派映画である。諸事情でお蔵入りされていたが、偶然フィルムが見つかったらしく、マスタリングによるデジタル補正をおこない上映をした。資料を見るとル>>続きを読む

中国女(1967年製作の映画)

3.6

「毛沢東語録」を引用しながら討論に明け暮れる男女たち、公開時は1967年、中国では文化大革命の真っ只中、世界はベトナム戦争の泥沼化や学生運動が盛んな時期であり、ゴダールなりの視点であの時代の若者らが理>>続きを読む

PIGGY ピギー(2022年製作の映画)

3.6

公開前から話題になっていたのと、本編の元となったショートフイルムがゴヤ賞などを受賞していたので、気になっていた作品である。

肥満体型のキャラクターが差別の対象になるフィクションはあるようでなかったか
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恐怖の足跡(1962年製作の映画)

3.5

運良く事故で生き残った女性が、その後の幻覚に惑わせられるだけの話ではあるが、全体的な構成は荒削りなところは否めないが、上映時間は70分ほどの短いながらも見せ場は要所要所は押さえており、鑑賞後はジャンル>>続きを読む

ロバート・アルトマンのイメージズ(1972年製作の映画)

3.5

幻視に悩まされるキャサリン役のスザンナ・ヨークは、自身が書いた童話「ユニコーンを探して」の朗読しており、この世界が架空の物語であることを暗に示しているのだろう。

幻覚状態に囚われた彼女の前に幾度も現
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デニス・ホッパー/アメリカン・ドリーマー(1971年製作の映画)

3.3

デニス・ホッパーといえばアメリカン・ニューシネマの代表作である「イージー・ライダー」だろうが、過去にジェームズ・ディーンと共演し、コッポラの「地獄の黙示録」のラリった報道カメラマンやリンチ「ブルーベル>>続きを読む

リュシアン 赤い小人(1998年製作の映画)

4.0

このような隠れた名作が劇場で鑑賞できるから「奇想天外映画祭」 のラインナップは毎年の楽しみである。

原作小説のミシェル・トゥルニェ「赤い小人」は未読である。

先天的にハンディキャップを持った主人公
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デコーダー(1984年製作の映画)

3.5

かなりマニアックな作品ではあるが、ニュー・ジャーマン・シネマが気になっていたので、このような機会で劇場鑑賞できることが嬉しく喜ばしいことであった。

ストーリーは複雑で分かりにくいところはあった。作為
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突然の花婿(1952年製作の映画)

3.7

ダグラス・サークの一流のメロドラマを劇場で鑑賞する事ができて大変満足であったが、今回の奇想天外映画祭のプログラムの中ではカルト性はないに等しく、正統派の部類に入るとは思うが、一連のサークのドラマはR.>>続きを読む

ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

4.6

「巨大展覧会での展示、非展示の主題とは何か?」の女性インタビュアーの問いに対して、

「もしも何らかの物体を美術館に置いたなら、その物体はアートになるのか?」

「もし君のバッグをそこ(美術館)へ置い
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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.5

ニューヨーク・タイムズの2人の女性記者は映画プロデューサーであるハーヴェイ・ワインスタインによる複数の性被害をスクープして告発した話は、アラン・J・パクラが撮った「大統領の陰謀」のウォーター・ゲート事>>続きを読む

キリング・オブ・ケネス・チェンバレン(2020年製作の映画)

4.5

前情報は珍しくモーガン・フリーマンが製作総指揮というだけではあったが、ポスターヴィジュアルにも何か引っ掛かるものがあり、とりあえず劇場に足を運んだが、今年封切りされた映画の中でも五本の指に入るぐらいの>>続きを読む

サイコXX(1970年製作の映画)

3.2

邦題はヒッチコックの名作をそのまま冠してあるが、原題は「how awful about allan(アランのスキャンダル)」であり、似ても似つかぬ題名である。

確かに主役のアンソニー・パーキンスをは
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ミナリ(2020年製作の映画)

3.2

Amazonプライムで気にはかけていたが、タイミングが合わずやっとこさ観る事ができた。

ストーリーとしては地味な感じで人によって好き嫌い極端に分かれる作品である。少しクセのある祖母くらいしか面白味が
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AIR/エア(2023年製作の映画)

3.6

子供の頃はスポーツシューズが流行り出した時代ではあったが、高額だったので学校の上履きにマジックインキでNIKEのウイングロゴやadidasの三本線を書いたりしていたが、なぜか見破られて皆から笑われて苦>>続きを読む

タブロイド紙が映したドリアン・グレイ(1984年製作の映画)

3.5

今回で「ベルリン三部作」すべてを鑑賞した事となったが、今回の作品が個人的には難解であり、ニュー・ジャーマン・シネマの一派からみれば、ファスビンダーとは一味違う作品であった。

主人公のドリアン・グレイ
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フリーク・オルランド(1981年製作の映画)

3.6

ヴァージニア・ウルフ「オーランド」をオッティンガーなりの解釈で派手に映像化しているが、章ごとに分かれていても、肝心の構成が素っ頓狂のオンパレードだから意識しても仕方ないかな。(というか私はできなかった>>続きを読む

アル中女の肖像(1979年製作の映画)

3.8

日本公開が待ち遠しかったウルリケ・オッティンガー「ベルリン三部作」。この代表作を劇場で鑑賞できたのが何よりも嬉しい事である。

連作ではなく、ひとつひとつが独立した映画ではあるが、何らかの繋がりがある
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クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.8

全体的な内容としては実存主義を映像で実践しており、またアンチ・ユートピアにおける肉感的かつ被虐的な描写も多数あったが、作家として感覚のない痛みでしか自分を確かめられないことに同情から愛情へと気移りしそ>>続きを読む

イノセンツ(2021年製作の映画)

3.7

エスキル・フォクトは監督というよりも、主にヨアキム・トリアーの脚本に携わっている印象があるが、どのような内容なのかは気にしていたが、先週は名画座が主だったので、公開から少し経ったがなんとか劇場で観に行>>続きを読む

乱暴者(1952年製作の映画)

3.4

今まで見た作品からすれば、地味な内容ではあったが、用心棒の周辺に起きる男女間の問題が焦点になったためか、この映画が言わんとしていることである、居住における貸借トラブルをもう少し詰めて欲しかったがのが本>>続きを読む

スサーナ(1950年製作の映画)

4.0

珍しいブニュエルのファム・ファタール(悪女)。メキシコ時代のノワール全盛期だとは思うが、先取りしている感じもあった。スサーナを演じたロシーナ・キンターナは強かな悪女の典型を上手に演じていた。

とは言
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アフター・アワーズ(1985年製作の映画)

3.5

大作志向があるスコセッシらしからぬ不条理な小作品ではあった。オープニング・クレジットはワルツのような旋律でキューブリックを彷彿させており、中身は小気味良い展開であり、丁寧にまとめていたと思う。

例え
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エル(1952年製作の映画)

4.5

原作のメルセデス・ピントの小説は未読。ブニュエルが彼女の物語を映画用に脚色をしており、女性視点ならではの病んだ人間の異様さを描いている。また監督は今まで撮った中で主人公の分身であると公言しており、個人>>続きを読む

のんき大将(1949年製作の映画)

4.3

画家ダリと共作して話題になった「アンダルシアの犬」で有名な映画監督ルイス・ブニュエルの初期作品が上映。このような機会はあまりないので、可能な限り観に行ければと思う。

昨年鑑賞した「昇天峠」は佳作では
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マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

4.7

この作品で上映中であるファスビンダー傑作選3作を全て鑑賞することができた。視聴する順番は何も考えずに適当だったが、この順序が良いのではないかと思う。そして大好評につき都内での上映期間が延長とのこと。現>>続きを読む

A2 完全版(2015年製作の映画)

3.2

前回は荒木氏を中心に動いたドキュメンタリーではあったが、群像劇までとは言わないが、本作はもう少し引いて信者以外の人物にもスポットを当てて撮っている感じはあった。

一部の地域で住民と打ち解けあい、教団
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「A」(1998年製作の映画)

3.2

前から気になっていたドキュメンタリーではあったが、クリップをしていただけでタイミングが合わず観ることを保留していたが、Amazonのサブスクで配信をしていることを知り鑑賞する。

95年に起きた事件か
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