アー君

デニス・ホッパー/アメリカン・ドリーマーのアー君のレビュー・感想・評価

3.3
デニス・ホッパーといえばアメリカン・ニューシネマの代表作である「イージー・ライダー」だろうが、過去にジェームズ・ディーンと共演し、コッポラの「地獄の黙示録」のラリった報道カメラマンやリンチ「ブルーベルベット」布地に執着し、やはり麻薬に溺れる無頼漢が似合うアウトサイダー役が記憶に残る。

公開時期(1971年)はベトナム戦争の泥沼化や、ニクソンショックによる経済不安からなのか、退廃的な世界観が描かれている印象。

監督した「ラストムービー」は観てはいないが、本作はドキュメンタリーでありながら、デニス・ホッパーが自身を演じているという異色作。普段の自分を素で撮ったところでクソ面白くないのは理解できる。部屋にリキテンシュタイン絵画が飾っており、理解不能な哲学的な言葉を吐き出し、複数の女性とのバスルームでの乱行。そして相変わらずマリファナは必需品。たまに見せるナイーブなところは演技ではなく本当の表情だろう。街で急に全裸になる奇行もどこかパフォーマンスとして受け入れたい。

このような撮り方はどこかで見たなと思ったが、「容疑者、ホアキン・フェニックス」を思い出した。こちらがオリジナルだが、少なからず影響はあったのだろう。

俳優だけではない、監督、アーティストとしてのマルチな悪童タレントとは彼自身のことである。

セミプロレベルで写真を撮っていたのは知ってはいたが、どこかのバーで撮った男女がThe Smiths「The Very Best of The Smiths」にホッパーの作品であったのは、この映画で知る事となる。

「奇想天外映画祭2023〈Vol.5〉」
[K's cinema 15:50〜]
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