アー君

JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】のアー君のレビュー・感想・評価

3.3
皆さま無沙汰しております。久しぶりの更新で緊張をしておりますが、体調不良やプライベート等でなかなか映画を見る機会がございませんでした。体調を考慮しながらダラダラやって行ければと思います。(せめて区切りの良い1000回ぐらいは鑑賞を続けられればですが。)

【↓以下はネタバレ↓】














それなりに見応えのある内容であった。鑑賞者の年齢層はやはり比較的お年を召した方が多かったかなという感じ。半世紀前の事件なので致し方ないが、可能であれば若い世代にも観てもらいたい映画である。

90年代に撮った「JFK」はオリヴァー・ストーンの思い入れと主観性が強かったのか、話題性のみでフィクションに近い話ではあったが、今回の作品はドキュメンタリーに重きを置いた点では評価は高いだろう。姉妹編としてこの映画を見たが、事件当時のストーンの年齢は10代後半で青春真っ只中。肌感覚という言い方は変かもしれないが、あの時代に生きていたからこその国家権力(アメリカ)に対しての問題提起を描きたい気持ちは理解できる。

発砲時におけるビルに勤務していた職員の食い違う行動や、検死官の証言など報告から整合性がとれない矛盾点もあり、当時の公式発表には何らかの政治が動いているのはあからさまであった。そしてトーマス・ヴァレという男の存在は確かに興味深い情報だとは思う。この映画では直接的には断言していないが、オズワルド以外の犯人という見方も推測はできる。

ケネディ大統領の時代はキューバ危機の軋轢でCIAや軍部にとっては目の上のタンコブでしかなかった。それ以外にもあまりにも敵が多すぎた。オズワルド移送後のジャック・ルビーの登場にしても偶然が偶然を重ねてしまったため複雑にしてしまうのも原因だろう。

この事件は確かに知ってはいたが、図書館に通い詰めて資料を集めているわけではないので、プロの方からみれば素っ頓狂な私見にはなってしまうが、オズワルドにはケネディに私怨がないというのが陰謀説を大きくしているようだが、大統領と共に乗車していたジョン・コナリー知事とオズワルドとは何か揉めていたという話はある筋からの情報があり、仮説としてコナリーが暗殺目的という事実であれば、この事件の真相は誤射から生まれた、アメリカ歴史の恥部として世界から失笑を買うだけだろう。

映画全体としての構成が粗く、相変わらずの〝ストーン節〟は健在だったので、ドキュメンタリーだからこそ要点を抑えてストーリーテリングに重点を置いて欲しかった。ナレーションを担当したウーピー・ゴールドヴァーグやドナルド・サザーランドが勿体無い使い方になっている感が否めないところは少なからずあった。

[新宿武蔵野館 10:30〜]
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