アー君

突然の花婿のアー君のレビュー・感想・評価

突然の花婿(1952年製作の映画)
3.7
ダグラス・サークの一流のメロドラマを劇場で鑑賞する事ができて大変満足であったが、今回の奇想天外映画祭のプログラムの中ではカルト性はないに等しく、正統派の部類に入るとは思うが、一連のサークのドラマはR.W.ファスビンダーにとって師匠でもあり、教科書的な存在であるので、そのような意図が少なからず盛り込んでいるのであれば納得のいく選ではあるが。

リーを演じたパイパー・ローリーは「キャリー」の母親役ぐらいしか思い浮かばないが、若々しい演技をみる事ができた。

月並みなメロドラマであれば、2人だけの関係だけに焦点が行きがちではあるが、夫の人間関係、リーの母親や上司、イタズラ好きな子供などの親族や夫婦以外の登場人物が粒だっており個性的で、スラップスティックになる一歩手前の品格があり、この映画はコメディの要素を取り入れたバランス良く描いている。

そして展開は中弛みもなく無駄のない進行であり、これは編集力の良さだとは思う。

食事中に子供であるドノバンへの大人からによる足蹴りは、時代が時代とはいえずとも結構問題にならなかったのだろうか。まあ確かに自身も子供の頃はヤンチャをしてよく殴られたけど。

終わり方が唐突だったのでエッと思ったが、タイトルがそれを意図していたのならば、言い得て妙である。

「奇想天外映画祭2023〈Vol.5〉」
[K's cinema 18:20〜]
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