つかれぐまさんの映画レビュー・感想・評価

つかれぐま

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猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)

4.0

24/5/15@吉祥寺オデヲン❺

前3部作の英雄シーザーに敬意を払いつつ、そのレガシーを最大限に活用した数世代先の物語という理想的続編。次はいっそこの100年後を!スターウォーズもこれが良かったのに
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情婦(1957年製作の映画)

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旧い白黒作品なのに、4.2という高スコア。なるほどこれは、後進がリメイクを尻込みする完成度の高さ。2時間以内にまとまっている名人芸に👏

遺産目当ての未亡人殺害の容疑者・レナード。なぜか検察側の証人に
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トワイライトゾーン/超次元の体験(1983年製作の映画)

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家族が寝静まった夜、さくっと楽しめたオムニバス4話。劇場公開作だが、オリジナルがテレビシリーズのためか、ビスタサイズの画作りはテレビ視聴向け。80年代らしさが詰まっていて懐かしい。こういう楽しい企画が>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

24/5/9@ルシネマ渋谷宮下❼

これまで都市生活者を点描してきた濱口監督が、一転して山間集落を舞台に。自然と共存・・その「白々しさ」を突きつけられた思いだが、その矛先は都会の人間にだけ向けられたも
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ゴジラ(1954年製作の映画)

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ゴジラのモノクロ版がなぜか連続配信されているが、こちらは元祖。重厚な映像が、暗いテーマとあいまって計算外の神話性をまとう。

考察界で有名なゴジラ英霊論
ー今回それを意識して視聴したが、なるほどもっと
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野良犬(1949年製作の映画)

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『ゴジラ-1.0』を観て連想した一本。戦後の焼け跡をこれほど生々しくキャプチャーした作品はない。
数十年ぶりに観たが各シーンをしっかり覚えていた。本作をリファーした多くのハリウッド作品が度々リマインド
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がんばれ!ベアーズ(1976年製作の映画)

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【こどもの日に】
少年野球チームの話ではあるが、決して勝利の喜びや、チームワーク・友情の大切さといった、ありふれたテーマのための作品ではない。むしろそういう「少年ジャンプ原理主義」が苦手な人にこそ響く
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ペーパー・ムーン(1973年製作の映画)

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なんて可愛らしい映画。
孤児アディと(父親なのかもしれない)詐欺師の珍道中。どんどん成長していく少女の変化を演じ分けるテータム・オニールの天才子役ぶり。

冒頭こそ詐欺師モーゼの視点だが、すぐに映画は
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回路(2000年製作の映画)

-

眠かった。
大半が暗闇の映画なので劇場鑑賞向きではあるが、わざわざ足を運ぶ価値があるかは微妙。インターネットが何者か?分かっていなかった時代の作品なので、今観るとちょっとね。

説明できないものの怖さ
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CURE キュア(1997年製作の映画)

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日常に潜む(隣り合わせの)非日常。このテーマは黒沢清が第一人者だな。今や日韓のエース、濱口竜介とポンジュノもその影響が大きかったと語り、後者は本作を『殺人の追憶』の参考にしたそうだ。

仮タイトルは「
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マッドマックス2(1981年製作の映画)

-

暴走族に狙われる製油所。
孤高の主人公マックスは成り行きで製油所の人々に加勢することになるが・・。物語の構造は「ひとり七人の侍」。あ、一応ジャイロキャプテンもいるか。

前作がとても苦手だ。
マックス
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猿の惑星(1968年製作の映画)

-

【猿は猿を殺さない】

子供の頃に観た本作はSF映画だったが、今観ると政治映画だった。アメリカ人=白人、そして人類の愚行録。

主人公テイラーは不時着した惑星を彷徨いの果てに、猿に捉えられる。このシー
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インディ・ジョーンズ/最後の聖戦(1989年製作の映画)

4.0

24/4/25@イオン多摩❹
午前十時の映画祭

スピルバーグ初「父と息子」ものであり、西部劇、アラビアのロレンス、そして007という先達へ捧げるオマージュ。夕陽へ向かって走るラストシーンの地平線。
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.5

24/4/16@ルシネ渋谷宮下❼

監督の実人生が下敷きらしいが、夫のアーサーはともかく、ヘソンは架空のキャラクターじゃないかな。本当の話なら、それを世界中に公開するのは相当気恥ずかしいはずで、架空だ
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隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)

-

敗軍の将が世継ぎの姫と再興の為の軍資金を同盟国へ届けるべく、大胆にも敵中突破を試みる。「老ジェダイがレーア姫とR2D2を反乱軍に届ける」という世界一有名な冒険譚の元ネタだ。

アクション、コメディ、ド
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レイダース/失われたアーク《聖櫃》(1981年製作の映画)

4.5

24/4/10@イオン多摩❹
#午前十時の映画祭

不死身のジョーンズ「博士」は、軍人でもスパイでもなければ、超人血清を打ったわけでもない。その強さの原動力は、考古学への探求心と諦めない心。

スピル
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続・夕陽のガンマン/地獄の決斗(1966年製作の映画)

4.5

24/4/8@新宿ピカデリー❷
4K復元版(2024):178分

「人間には二種類あってな」

マカロニウエスタン代表作、セルジオレオーネ最高傑作、そしてタランティーノのオールタイムベスト。

タイ
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.0

24/4/2@イオン調布:IMAX

自らの所業を「神話化」しようとするオッペンハイマーは高次元の中二病。それ、美化以外の何物でもないから、という冷ややかな眼差しは何処へ。

主人公オッペンハイマーの
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ブルーベルベット(1986年製作の映画)

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序盤30分間「耳を拾う」他は何も起こらない。これは変態的な撮り方だけで何か起こる(or既に起こっている)不穏さを演出する挑戦かなと想像した。例えれば怪獣の出ない怪獣映画か。さすがに何も起こらないという>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

5.0

24/3/19@イオン調布:IMAX

Long Live CINEMAS

前作は通常スクリーンで観て後悔したので、今回は全編IMAX画角を堪能。どうやら『スターウォーズ』『ロードオブザリング』に続
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

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アカデミー脚色賞に納得。
白人が期待する「黒人エンタメ」は、白人の免罪符と優越感のために作られている・・これが実に腑に落ちて胸がすく思い。意識高い"WOKE"な皆さまの行動原理ってまさにこれじゃん。こ
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セッション(2014年製作の映画)

5.0

24/3/11@イオン調布❾

不穏を煽る編集テンポ。漆黒のスタジオ。そこに君臨する悪魔・フレッチャーが登場。僅かに開始10分で早々に狂気の世界への扉が開く。

編集テンポにまずやられた
予定調和より
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テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)

4.0

24/3/6@UPLINK吉祥寺❷

【逃げない二人の潔さ】

かつてアメリカ映画の王道だった西部劇とニューシネマ。これをイギリス人監督の視点で蘇らせるのだが、主人公は女性二人。

『テルマ&ルイーズ
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きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

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『夜明けのすべて』で三宅唱監督に全幅の信頼を寄せたので、未見だった本作を遅まきながら。美しい夜の街で遊んで遊んで(たまにバイト)という、若い男女3人のモラトリアム。

原作の概要を調べてみて驚いたのが
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.0

24/3/1@UPLINK吉祥寺❸

「苦しみはもう現実で十分というか、わざわざお金を払って時間を使ってまで『こんな苦しみが世間にはあります』で終わるものはいち観客としてはあんまり見たくない。その先の
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.5

24/2/28@UPLINK吉祥寺❸

ある不審死を「解剖」して客観的事実を見つけようとしたが、浮き上がったのは主観的考察のみという話。夫婦や親子という当事者の主観100%の領域に他人が土足で踏み込ん
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ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)

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「墜落ではない着水だ」

旅客機のエンジンが故障。
管制塔は空港へ戻ることを指示するも、機長のとっさの判断で川に不時着水した実話ベース

本来なら乗客乗員の命が物語の軸になるところだが、あまりに有名な
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蜘蛛巣城(1957年製作の映画)

-

その器ではない人が
その位置についた悲劇

霧のかかるシーンが多いせいか、どこかぼやっとしたイメージを持っていた本作だが、リマスター版を観て驚く。凄く綺麗でシャープになっているじゃないか。台詞の聞き取
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.5

24/2/21@UPLINK吉祥寺❷

闇の中でこそ見えるもの🦉
生きていくには見て見ぬ振りをしなければならない。そんな社会派テーマにできそうな話だが、決してそれらを前景化させず「みんな大好き」ジャン
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生きる(1952年製作の映画)

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あらすじを読む限りでは、正直古臭い印象が否めない。
ところが見事な4幕構成で、黒澤明はこの話をただの美談に終わらせない。最終4幕目の構成の妙。これが本作を傑作たらしめているので、初見の方は途中眠くても
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.0

24/2/14@UPLINK吉祥寺❹

目をとじて浮かべる記憶や想像。映画も「虚構」という意味では同じ類かもしれない。『ミツバチのささやき』で始まったキャリアを円環して閉じる集大成。

良くも悪くも「
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エル・スール(1982年製作の映画)

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【父と娘の蜜月、その終り】

スペインの政治的分断を創作のエンジンにしつつ、決してそれを前景化させることなく、あくまで一家族の物語として映画を綴る。『ミツバチのささやき』から通じるビクトル・エリセの作
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.5

24/2/1@新宿ピカデリー❽
4/18@WHITE CINE QUINTO

ベラの眼に映る「この世界」

主観視点の映画ではないが「ベラに見えている」世界がどんどん変わっていく、その映像表現が素晴
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ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)

3.0

24/1/30@ルシネマ渋谷宮下❼

ポール・シュレイダーは映画評論家としての著作内で、商業映画とアート映画(映画祭や美術館向け)を隔てる要素について言及。ちょうどその境目ギリギリに立っているのがタル
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ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!(2023年製作の映画)

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タートルズには暑苦しいマッチョなイメージを持っていたが、本作は程よいチューニング。原題が"Teenage・・"で始まる本作は良きティーンエイジ映画であり、良きニューヨーク映画。

「ティーンエイジ感」
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

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スコセッシの大作の影で、
盟友ポール・シュレイダーも「アメリカの自省」を渋い渋い佳作に。

映画後半まで気付かなかったのだが、主人公の行動原理は「赦しを得ること」だったのだろう。ラスベガスのカジノに行
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