24/2/14@UPLINK吉祥寺❹
目をとじて浮かべる記憶や想像。映画も「虚構」という意味では同じ類かもしれない。『ミツバチのささやき』で始まったキャリアを円環して閉じる集大成。
良くも悪くも「老監督の映画」だ。
『君たちはどう生きるか』にも同じ感触を持ったが、前者の監督が自らの老いに無自覚(あるいは向き合うことを回避)なのに対し、このヴィクトル・エリセは極めて自覚的であり、残酷なまでに向き合っている。
「老い」に残酷な回答を出している。
老いたものは無理して新しいモノを見る必要などない。「瞳をとじて」いなさい、とも受け取れるメッセージだが、最近の「元気すぎる老人たち」を気持ち悪いと感じてしまう自分には、我が意を得たりだったかな。
31年という空白の理由は何だろうか。
ラストシーンを見て感じたのは、エリセは映画の限界を感じていたのではないか。映画は人間の想像力や大切な記憶には及ばない(監督の過去作の登場人物も拠り所はそこだった)。まして奇蹟など起こせる訳がないと。そんな思いをこんな形で閉じてみせるとは、やはり凄い監督だ。
一番好きなシーンは、ネタバレになるのでコメント欄で。