つかれぐまさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

つかれぐま

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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.5

24/2/21@UPLINK吉祥寺❷

闇の中でこそ見えるもの🦉
生きていくには見て見ぬ振りをしなければならない。そんな社会派テーマにできそうな話だが、決してそれらを前景化させず「みんな大好き」ジャン
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生きる(1952年製作の映画)

-

あらすじを読む限りでは、正直古臭い印象が否めない。
ところが見事な4幕構成で、黒澤明はこの話をただの美談に終わらせない。最終4幕目の構成の妙。これが本作を傑作たらしめているので、初見の方は途中眠くても
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.0

24/2/14@UPLINK吉祥寺❹

目をとじて浮かべる記憶や想像。映画も「虚構」という意味では同じ類かもしれない。『ミツバチのささやき』で始まったキャリアを円環して閉じる集大成。

良くも悪くも「
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エル・スール(1982年製作の映画)

-

【父と娘の蜜月、その終り】

スペインの政治的分断を創作のエンジンにしつつ、決してそれを前景化させることなく、あくまで一家族の物語として映画を綴る。『ミツバチのささやき』から通じるビクトル・エリセの作
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.5

24/2/1@新宿ピカデリー❽
4/18@WHITE CINE QUINTO

ベラの眼に映る「この世界」

主観視点の映画ではないが「ベラに見えている」世界がどんどん変わっていく、その映像表現が素晴
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ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)

3.0

24/1/30@ルシネマ渋谷宮下❼

ポール・シュレイダーは映画評論家としての著作内で、商業映画とアート映画(映画祭や美術館向け)を隔てる要素について言及。ちょうどその境目ギリギリに立っているのがタル
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ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!(2023年製作の映画)

-

タートルズには暑苦しいマッチョなイメージを持っていたが、本作は程よいチューニング。原題が"Teenage・・"で始まる本作は良きティーンエイジ映画であり、良きニューヨーク映画。

「ティーンエイジ感」
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

-

スコセッシの大作の影で、
盟友ポール・シュレイダーも「アメリカの自省」を渋い渋い佳作に。

映画後半まで気付かなかったのだが、主人公の行動原理は「赦しを得ること」だったのだろう。ラスベガスのカジノに行
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.5

24/1/24@UPLINK吉祥寺❹

ヤクザ経験者がよく「人たらしの極意」を語っているが、本作の綾野剛を観るとさもありなん。もの凄い「色気」で、これは人の心を掴むだろうなと説得力十分。

真面目な父
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レッド・ロケット(2021年製作の映画)

-

史上最低レベルのダメ男の話で、この主人公が好きになる観客はいないだろう。
だがこの映画、それでも不思議に面白い。共感しなくとも面白い映画はできることを証明し、むしろ「正しさ」では決して到達できない境地
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インファナル・アフェア(2002年製作の映画)

-

タイトル:無限道!

なんてカッコいい。
漢字は世界最高の文字だな。

本作のハリウッドリメイク『ディパーテッド』に比べて、展開がまあ早い早い。雑さはあるが、テンポの良さを優先したのだろう。これはこれ
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オアシス 4K レストア(2002年製作の映画)

4.5

24/1/16@下高井戸シネマ

今世紀に入って韓国映画が傑作を連発しているのは、欧米や日本が作らないような題材を意欲的に取り上げる「後発国の戦略」が奏功しているからだろう。2002年W杯の熱狂の裏で
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RUN/ラン(2020年製作の映画)

-

【ジャンル映画の矜持】

アメリカ映画お馴染みの「子離れできない親の話」を悠然と越えていった。トニ・コレットに負けない凄い形相の毒母と(現実に)車椅子ユーザーの娘。この二人芝居で密室劇を持たせる力量。
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レザボア・ドッグス デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

4.0

24/1/10@Wシネクイント

【誰がエディを撃ったのか】

情と理。映画はどちらで観るのが正解か?そんな問題提起を仕掛けてくるタランティーノのデビュー作。

集められた6人の男たち。
雇い主のジョ
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Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

-

異食症という心の病をホラー仕立てにしたジャンル映画かな?と想像していたが、もっと普遍的な「自立」についての話だった。

画鋲を吞み込んだりするのは、観客(特に男性)に主人公と同じ「痛み」をわからせるた
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Pearl パール(2022年製作の映画)

-

『X』の前日譚。
キルカウントとスラッシャー度は抑えめで「A24らしさ」をより前面に出したアートホラーの趣。自分はこちらのほうが好きだ。

『X』から引き続き「映画についての映画」でありながら、映画(
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

-

道具立てに凝ってはいるが、要するに「家族の誰かが死ぬことになり、その決定権が父親に委ねられる」という悪夢。普通なら、母親が犠牲になるか、いっそ全員で自決するかだが・・・なんとも胸糞な結末だ。

この一
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ダウン・バイ・ロー(1986年製作の映画)

-

獄中で出会ったザックとジャック。ドラッグとアルコール中毒の二人は、禁断症状が出始めケンカが絶えない。そこにもう一人陽気なイタリア人(ほぼ英語できない)が加わって・・。ロベルト・ベニーニが演じたこの男が>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

4.0

23/12/27@UPLINK吉祥寺❶

嬉しい公開拡大でいそいそと観に行くも、翌日から高熱にうなされレビューが遅れた。まさか哭倉村の呪い・・。

今年の日本映画は時勢を反映してか、太平洋戦争前後を描
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お早よう(1959年製作の映画)

-

小津安二郎のカラー2作目。
戦争や家制度の残滓を捉えた白黒時代とは変わり、カラーと凝りに凝った構図で描かれるのは新しい時代の息吹。

登場するのは3世代。
小津と同年代の笠智衆、杉村春子たち。無邪気な
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市子(2023年製作の映画)

4.0

23/12/20@UPLINK吉祥寺❶

No time to cry.

日本映画の感動作とは異なる文法。ポン・ジュノら韓国映画のそれに近いかも。気がづけば思わぬ別ジャンルに連れて行かれ「どういう気
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ナポレオン(2023年製作の映画)

3.5

23/12/13@TOHO新宿❼

「英雄」を笑え。

波乱にとんだナポレオンの生涯をほぼ全て見せてくれた。合戦シーンも多く、シネスコ映えする大サービス。そんな惜しげない大作なのに、なぜか物足りない不
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善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)

-

冷戦期の東ドイツ。
秘密警察の主人公が、反体制派の劇作家と女優のカップルを盗聴する。彼らの暮らしを聴き続ける内に、冷酷無比と思われた主人公の心が溶けていく。

正しいと信じ続けた「こちら」ではなく「あ
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ほつれる(2023年製作の映画)

-

ほぼ全シーンに主演の門脇麦がいながら、彼女の内面には決して入っていかない不思議な作品だった。欧州映画のような手触り。

それでも彼女と世界の関わり方を演出で見せていく。冒頭のグランピングは「お手軽な」
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ツィゴイネルワイゼン 4K デジタル完全修復版(1980年製作の映画)

4.0

23/12/1@ユーロスペース❶

時が止まった静かな劇場で
珍しいスタンダード画角。
異世界から生還したような不思議な感覚。昨夜は悪夢にうなされた「初めての鈴木清順」

中砂という無頼漢は、結局「文
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ビフォア・ミッドナイト(2013年製作の映画)

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【〇〇があれば大丈夫】

やはりと言うべきか、既に結婚25年の自分には 3作中最も本作が刺さった。公式コピーの「本物の愛にたどり着く」という感じじゃないけど、なぜか救われた思いに。

自分事で恥ずかし
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ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)

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【30代は混沌の中】

ジェシーはあの夜のことを本に書き、わざわざフランスで取材を受ける。そしてセリーヌも本を読み、彼に逢いに行く。両者が願った計画的再会だが、9年の歳月がこの話を単純にはしてくれない
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ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(1995年製作の映画)

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【20代は無限大∞】

切ない「刹那」。
若いっていいなと心から。
監督のリンクレイターと俳優二人の年齢差は10才。この年齢差が本作を程よくチューニングしている。青臭く哲学を語る若者を、暖かく見守る視
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アメリ デジタルリマスター版(2001年製作の映画)

4.5

23/11/20@イオン多摩❺

【幸せになる】

その資格があるアメリ。
彼女が幸せになるこの話は、観る者も幸せにしてくれる。私達にもその資格があれば。

観終わって幸せな気分に浸れる映画だ。それは
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男と女(1966年製作の映画)

4.0

23/11/20@イオン多摩❹
#午前十時の映画祭

凛とした冬の空気感。
フランシス・レイのスコア。
アヌーク・エーメの美しさ。
モネのような構図が続くアート映画。

奇蹟的に本作と『アメリ』を同一
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運動靴と赤い金魚(1997年製作の映画)

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🇮🇷イラン映画。
タイトルの「運動靴」はすぐに出てくるが、なかなか出てこないのが「赤い金魚」。ラストシーンを記憶に残してくれる素晴らしい邦題だ。

子供が細い路地を全力疾走する姿が印象的だ。劇中主人公
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ファーゴ(1996年製作の映画)

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ちょっとした出来心が、雪だるまのように大きくなっていき、やがて取り返しのつかないことに・・。誰もが身に覚えのある負の連鎖だが、その最悪のケースを飄々とした語り口で進めていく。

なんとも掴みどころのな
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HACHI 約束の犬(2009年製作の映画)

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それほど犬好きではないが、これを映画館で観ていたらきっと号泣したろう。
「犬好きへ媚びるショット」を排し「犬の視点」を表現した、本当のワンコ🐕愛。

冒頭、主人公の孫である少年がハチのことを語る。だか
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過去のない男(2002年製作の映画)

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Life as a dog

暴漢に襲われ記憶と財産を失った中年男。彼の人生が強制的に再起動される話だ。人生をやり直したいと願う時期に観るのがいい。そして最高のワンコ🐕映画(監督の愛犬だって)。
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.5

23/11/8@TOHO渋谷❸

『シン・ゴジラ』の後という貧乏くじ(メタ台詞が数回)にもめげない山崎監督。ゴジラと神木君の怖さは堪能したので「面白かった」と素直に言いたいが、擁護できない点も。惜しい
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ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

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ありえない展開の話に驚き、トンデモなオチに「んなわケッ!」と笑い、最後になぜかホッコリする。このお約束がシャマラン映画のお楽しみなのだが、今回は期待外れ。ジョーダン・ピール『アス』との類似感もあり、残>>続きを読む