青山祐介さんの映画レビュー・感想・評価

青山祐介

青山祐介

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チャーリング・クロス街84番地(1986年製作の映画)

4.5

『みなさん、私たちは間違っていたのです。人々がおたがいに意思を疎通することなんかできないと信じているのは、孤独と同様、妄想にすぎないのです』
ヘーレン・ハンフ「チャリング・クロス街84番地その後」リー
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奇跡の人(1962年製作の映画)

4.5

『この世のものは一瞬で消え去ってしまう。でも私たちは言葉という光を残せる。5000年昔の光も見える。感じたことのすべて、知識も分けられる。だから誰だって闇に住んではいない。言葉さえ分かれば世界をあげら>>続きを読む

ダ・ヴィンチ・コード(2006年製作の映画)

3.5

ロン・ハワード「ダ・ヴィンチ・コード(The Da Vinci Code)」2016年 アメリカ映画

『“地上での神の根源”“魔法の杯”、ナンセンスだわ。― 君は無神論者か?― 私は信じない。け
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パリはわれらのもの(1961年製作の映画)

3.8

『リヴェットはヌーヴェル・ヴァークの中で一番フランス的な作家だといえるであろう。……リヴェットはパリとその鄙びた街路の詩人なのだ。』ジル・ドゥルーズ

ジャック・リヴェット「パリはわれらのもの(P
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北ホテル(1938年製作の映画)

4.0

マルセル・カルネ「北ホテル(HOTEL DU NORD)」1938年 フランス

詩的レアリスム(Réalisme Poétique) ― ジャン・グレミヨン、ジュリアン・デュヴィヴィエ、ジャック
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世界の始まりへの旅(1997年製作の映画)

4.2

マノエル・ド・オリヴェイラ「世界の始まりへの旅(Viagem ao Princio do Mundo)」1977年 ポルトガル、フランス映画
『われわれは自分自身のなかを永遠に歩く人(旅人)なので、
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ゴッホ~最期の手紙~(2017年製作の映画)

4.0

ドロタ・コビエラ「ゴッホ~最期の手紙(Loving Vincent)」2017年、ポーランド/イギリス

 Your Loving Vincent. ―この映画は、フィンセント・ファン・ゴッホとい
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ざくろの色(1971年製作の映画)

4.5

セルゲイ・パラジャーノフ「ザクロの色(SAYAT NOVA –The Colour of Poemegranates)」
―Parajanov ‘s cut, 1969年 ソ連・アルメンフィルム、ア
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カフカの「城」(1997年製作の映画)

3.8

カフカ、プルースト、ジョイス ―『われわれは彼らを、創始者よりはむしろ完結者として考え、彼らから何事かを学びとることはできず、むしろ、模倣できるだけである。そしてそのような模倣の代価は、彼らの仕事のた>>続きを読む

アンティゴネ~ソポクレスの《アンティゴネ》のヘルダーリン訳のブレヒトによる改訂版1948年(1992年製作の映画)

4.0

『純粋な言語行為、本来的に映画的な言表や音声的イメージを引き出すことは、ジャン=マリー・ストロープとダニエル・ユイレの作品の第一の様相である。…それはテクストのある種の抵抗を前提とし、それだけにいっそ>>続きを読む

悪魔の陽の下に(1987年製作の映画)

4.5

『われ平安を汝らに遺す、わが平安を汝らに與ふ。わが與ふるは世の與ふる如くならず、なんぢら心を騒がすな、また懼るな。』ヨハネによる福音書14-27(文語訳)

モーリス・ピアラ「悪魔の陽の下に(SO
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女と男のいる舗道(1962年製作の映画)

4.3

『(アンナ・カリーナは)あとでカンカンに怒っていました。わざと醜く撮られたと、思ったからです…この映画をつくることによって、私が彼女にきわめて大きな打撃を与えたと思ったからです。そしてそれから、われわ>>続きを読む

ラルジャン(1983年製作の映画)

4.5

『シネマトグラフの真実は、演劇の真実とも小説の真実とも絵画の真実でもありえない。ロベール・ブレッソン「シネマトグラフ覚書」

ロベール・ブレッソン「ラルジャン(L’Argent)」1983年 フラ
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プリンセス・シシー(1955年製作の映画)

3.5

エルンスト・マリシュカ「シシィ(SISSI)」1955年 オーストリア、西ドイツ映画

≪永遠の女優、ロミー・シュナイダーに愛をこめて≫
『私はシシィなんかじゃない!』ロミー・シュナイダーの叫び
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奇跡(1954年製作の映画)

4.8

『いな、われわれには神はわからない。われわれキリスト教徒にも彼がなぜ沈黙しているか、なぜとっくに悪魔をしめ殺さなかったのか理解できない。…だからこそ神はわれらにイエスを与えたのである。…われわれは啓示>>続きを読む

夏の夜の夢(2014年製作の映画)

4.8

ジュリー・テイモア「夏の夜の夢(A Midsummer Night’s Dream)」2014年 アメリカ
良いことも悪いこともすべては夏の夜のようであった!
さあ、さあ、御見物の皆様方『な
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ストーカー(1979年製作の映画)

4.8

アンドレイ・タルコフスキー「ストーカー」1979年 モスフィルム ソ連映画
『映画によって、時間はどのような形式で刻み込まれるのか?…この形式を事実の形式と規定したい。…事実の形式と現象の中に刻み込
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マーラー 君に捧げるアダージョ(2010年製作の映画)

2.5

『もしそれが芸術なら、それはすべての人のためにあるのではない。そしてもしそれがすべての人のためのものなら、それは芸術ではない』…民の声は神の声ではなく『民の声は悪魔の声』である。(マーラーの秘蔵子弟子>>続きを読む

ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ(1990年製作の映画)

4.0

『<ドン・キホーテ>と<ハムレット>…この二つのタイプの中に人間の本性の根本的なしかも相反する二つの特徴が具現されている…(この)二元性の中に、あらゆる人間生活の根本法則を認めなければならない』ツルゲ>>続きを読む

ストリート・オブ・クロコダイル(1986年製作の映画)

4.0

『大鰐通りは現代のために、また大都会の腐敗のために、私たちの街が開いた租界であった』ブルーノ・シュルツ「大鰐通り」

スティーヴン・クエイ/ティモシー・クエイ「ストリート・オブ・クロコダイル」
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めぐり逢う朝(1991年製作の映画)

4.5

アラン・コルノー「めぐり逢う朝(Tous les Mating de Monde)」1991年 フランス
原作・脚本:パスカル・キニャール
出演:ジャン=ピエール・マリエール、ジェラール・ドパルデ
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砂時計(1973年製作の映画)

3.8

『たくさんだ、時間から手を引け、時間とは触れてはならぬもの、挑発してはならぬものなのだ!空間だけでは不足なのか?…だから、神かけて、時間に手出しをするのはやめてくれ!』ブルーノ・シュルツ「砂時計サナト>>続きを読む

マザー、サン(1997年製作の映画)

4.2

『(ソクーロフの描く)この世界は … 愛情の果て、極致であり、その向こうに本物の何か
が秘められている。…ある意味でこの親子は、あたかも一体化した存在となり、永遠の自
然という奇妙で美しい世界に没頭す
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(1951年製作の映画)

4.5

『私の映画作家としての形成に大きな影響を及ぼした要素の一つとして疑いなく水を挙げることができる。<水>抜きの映画など私には考えられない』
(ジャン・ルノワール自伝より)

ジャン・ルノワール「河
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巴里の空の下セーヌは流れる(1951年製作の映画)

3.0

『古いパリはもうないのだ(街の姿は変わってゆく、ああ!死すべき者の心よりも早く)…パリは変わってゆく』シャルル・ボードレール「悪の華 ― 白鳥」(ミシェル・ドゥギー「ピエタ ボードレール」鈴木和彦訳 >>続きを読む

枯葉 〜夜の門〜(1946年製作の映画)

3.5

『ああ!思い出しておくれ/ぼくたちが恋人だったしあわせな日々を、/あの頃 人生は今日よりもっと美しく/太陽はもっと輝いていた、/枯葉はシャベルで集められる(つもる うずたかく)―ほらね ぼくは忘れてい>>続きを読む

離愁(1973年製作の映画)

4.3

女優ロミー・シュナイダーは『生きながら皮を剥がれた人体標本である』共演回数が一番 多く、心をゆるしあった「偉大な俳優」ミシェル・ピコリの謎めいた言葉です。
(佐々木秀一著「ロミー 映画に愛された女
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ザ・デッド/「ダブリン市民」より(1987年製作の映画)

4.5

『雪が宇宙のなかをしんしんと降りそそぐのを、そして、すべての生者たちと死者たちの上に、最後のときが到来したかのように、しんしんと降りそそぐのを耳にしながら、彼の魂はゆっくりと意識を失っていった。』(ジ>>続きを読む

サクリファイス(1986年製作の映画)

4.5

『憐れみたまえ、わが神よ、したたり落つるわが涙のゆえに!/こを見たまえ、心も目も、汝の御前にいたく泣くなり。/憐れみたまえ、憐れみたまえ!』
J.S.バッハ≪マタイ受難曲Nr. 47 ARIE≫
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ファウスト(1994年製作の映画)

4.0

『この文明は危機に瀕している。…ファウスト神話はこの文明の鍵となる神話のひとつである。その解釈は無数にある。「ファウストの教え」は、私がこの映画をそう呼びたいように、そのような解釈的回帰のひとつとなる>>続きを読む

悪魔の美しさ(1950年製作の映画)

3.5

『(道化)…だからひとつふんばって、見事なお手並みを見せてもらいたいものですな、
空想の音楽を高く奏で、それにありったけの合唱隊をつけるのです、理性や感情や分別や情熱をね。でも忘れちゃいけませんぜ、<
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ファウスト(2011年製作の映画)

3.5

『ああ、おれは哲学も法学も医学も(顎間骨論も、植物変態論も、色彩論も、自然学も、黒魔術も、占星術も、錬金術も)いまいましいことには、役にもたたぬ神学まで、骨を折って、底の底まで研究した。そのあげくがこ>>続きを読む

黒水仙(1946年製作の映画)

4.0

〈裸の女神〉…あの山は『カンチェンジェンカ(偉大な雪の5つの宝庫)と云って、人々はそこに神が住むと考えています。誰も、あの山を征服することは出来ません。―神を慕って、気が狂うだけです。あの山には、山を>>続きを読む

永遠と一日(1998年製作の映画)

4.8

『また見つかったよ! 何がさ? 永遠。太陽にとろける海さ。』
アルチュール・ランボー〈地獄の季節〉鈴村和成訳2011年

テオ・アンゲロプロス「永遠と一日」ギリシャ=フランス=イタリア映画 199
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八月の鯨(1987年製作の映画)

4.2

『私たち、年をとったものにとっては、過ぎ去ったものの中にたたずむことは許されており、慰めにもなります。…(この映画)の背後には一つの命が花咲いているのです。かつてそれは甘美だったのです。』へルマン・ヘ>>続きを読む

裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

4.8

『主の名においてアーメン。ここに記載するところは、さきに我等の裁きにより断罪された
俗称 “乙女(la Pucelle)”なる女に対する信仰の審理の記録である。』
ジャンヌ・ダルク処刑裁判1431年
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