青山祐介さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

青山祐介

青山祐介

映画(114)
ドラマ(0)
アニメ(0)

火刑台上のジャンヌ・ダルク(1954年製作の映画)

4.0

『異端、魔女、裏切者、神の敵、王の敵、民衆の敵、地獄の娼婦、黒魔術の虜、悪魔の手先、連れて行け!死を!殺せ!火あぶりに!…ジャンヌ!神の娘よ!進め!行け!』

○ロベルト・ロッセリーニ「火刑台
>>続きを読む

ジャンヌ・ダルク裁判(1962年製作の映画)

4.5

『俳優なし。配役なし。演出なし。…では何があるのか。人生のなかから掴み取ってきた〈モデル〉を使うこと、これだ。見せかけること(俳優)ではなく、在ること(モデル)』
「シネマトグラフ覚書」
ロベール
>>続きを読む

ノスタルジア(1983年製作の映画)

4.5

『この映画での私の基本的な課題とは、世界や自分とのあいだに深い不和を体験している人間、現実と望ましい調和とのあいだの均衡を見出だすことができない人間の内的状態…存在の全一性にたいするグローバルな憂愁に>>続きを読む

インド夜想曲(1988年製作の映画)

4.0

『これは、不眠の本であるだけでなく、旅の本である。不眠はこの本を書いた人間に属し、旅行は旅をした人間に属している。(これはまた現実の旅のガイドブックである。それが)…《影》の探求であるこの《夜想曲》に>>続きを読む

アーノルト・シェーンベルクの《映画の一場面のための伴奏音楽》入門(1972年製作の映画)

4.0

ジャン=マリー・ストローブ/ダニエル・ユイレ「アーノルト・シェーンベルクの《映画の一場面のための伴奏音楽》入門」1972年/ドイツ=フランス 16ミリ短編映画
(Einleitung zu Arno
>>続きを読む

アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち(2008年製作の映画)

4.0

アストル・ピアソラのタンゴの原点を知るために見た映画
― 古きタンゴの黄金時代(1940年代)とブエノスアイレスを知るために見た映画
― タンゴを通して、ブエノスアイレスを知るために見た映画 ―
>>続きを読む

犯罪河岸(1947年製作の映画)

3.5

『演劇と映画の結婚は、両者ともどもの根絶なしにはありえない』
ロベール・ブレッソン

アンリ=ジョルジュ・クルーゾー「犯罪河岸(Quai des Orfevre)」
フランス映画1947年
原作は
>>続きを読む

パプーシャの黒い瞳(2013年製作の映画)

4.2

『あてもなくさまようジプシーの時代は、はるか遠くに過ぎ去った。でも、わたしにはその姿が見える。ジプシーはかしこく、たくましく、水のように澄んでいる。
ほら聞こえるでしょ、さまよう人たちの声が。ジプシ
>>続きを読む

魔笛(1974年製作の映画)

4.5

『愛の力、愛による成就、これこそがこのオペラのアリアドネの赤い糸である…ここで、わたしたちは初めて”魔笛”の寓意と存在理由を、突然に思い出させられる。』
(イングマール・ベルイマン「演出ノート」より
>>続きを読む

汚れなき悪戯(1955年製作の映画)

4.0

イエスは言われた…『心を入れ替えて子供のようにならなければ、決して天の国に入ることはできない…わたしの名のためにこのような一人の子供を受け入れるものは、わたしを受け入れるのである…』マタイによる福音書>>続きを読む

魔の山(1981年製作の映画)

3.5

『ショーシャ夫人は美しい…(ハンス・ヴィスリング)』

トーマス・マンの「魔の山」の映画化は不可能だと思っていました。この映画作品は、3部構成によるテレビ映画で、上演時間は5時間半近くかかります。それ
>>続きを読む

影の列車(1997年製作の映画)

4.5

『シネマトグラフとは、運動状態にある映像と音響とを用いたエクリチュールである』
(ロベール・ブレッソン)
ホセ・ルイス・ゲリン「影の列車(Tren de Sombras)」
1997年 スペイン映画
>>続きを読む

パレルモ・シューティング(2008年製作の映画)

4.2

『皆、撃たれて死んでも血が出ない。この矢にはまるで実体がない』―『そうね、これは15世紀の絵画よ、画家はパレルモの出身、名前は不明だけど隅に自画像が』―『筆を持っている男か? イカしている、カメラ目線>>続きを読む

魔術師(1958年製作の映画)

4.0

『第一次力動精神医学は哲学、文学をはじめ芸術にも大きな影響を及ぼしている。この科学には三つの主潮が交互に出現していて、順にいえば、動物磁気、霊魂説、最後に催眠術と多重人格の教説である。』…『プロテスタ>>続きを読む

モーゼとアロン(1975年製作の映画)

4.5

『<モーゼとアロン>はシェーンベルクのもっとも恐るべき仕事と言えるだろう。信念と疑念についての奥深い調停の作業であり、その言語の困難さはテーマの困難さに匹敵する』
アレックス・ロス「ザ・レスト・イズ・
>>続きを読む

天井桟敷の人々(1945年製作の映画)

5.0

『本当のパリは、もちろん、黒い、泥だらけの、くさい、街路が狭くせせこましい都市で… 袋小路や行き止まりや得体の知れぬ路地や、悪魔の家に通じる迷路がたくさんある…』
(ポール=エルネスト・ド・ラティエ「
>>続きを読む

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.5

『幸福と愛情は、苦しくつらい絶望に過ぎない。そんなときに、人にわかってもらってどうなるというのだ?この苦しみは、一人で苦しめばそれで十分だ。… 堕ちた天使は悪辣な悪魔になる … だが、そんな神と人間の>>続きを読む

エクソダス:神と王(2014年製作の映画)

2.6

『神はモーセに言われた、「わたしは有って有る者」。また言われた、「イスラエルの人々にこう言いなさい、「わたしは有る」という方が、わたしをあなたがたのところへつかわされました、と』旧約聖書 出エジプト記>>続きを読む

リスボン物語(1995年製作の映画)

4.0

― 私は自分自身の旅人
そよ風の中に音楽を聞く
私のさまよえる魂も
ひとつの旅の音楽 ― フェルナンド・ペソア

「リスボン物語(Lisbon Story)」を観ていると、さまざまな視点から、また沢山
>>続きを読む

冬の光(1962年製作の映画)

4.0

『ベルイマンの映画のいくつかは ― 現代の精神状況についての生半可な教訓がつめこまれているにもかかわらず ― 監督自身のもったいぶった意図をみごとにこえて勝ち誇っている。「冬の光」と「沈黙」において、>>続きを読む

リスボンに誘われて(2012年製作の映画)

4.0

『我々が、我々のなかにあるもののほんの一部分を生きることしかできないのなら ― 残りはどうなるのだろうか?』アマデウ・デ・プラド

原作:パスカル・メルシェ「リスボンへの夜行列車(Nachtzug n
>>続きを読む

(1974年製作の映画)

4.5

『映画 ― これは偉大で高度な芸術である。私が映画をどのように評価しているのか、と尋ねられるなら、私はそれを≪音楽≫と≪詩≫のあいだに置く』アンドレイ・タルコフスキー

音楽と詩のあいだに置かれたタル
>>続きを読む

かくも長き不在(1960年製作の映画)

4.0

『みごとな企画、演出、ヴァリ、ウィルソンの名演が≪かくも長き不在≫を成功させたものだが、さらに、その重厚さと美しさは、マルグリット・デュラスの功績によるところが大きい』クロード・モーリアック(フィガロ>>続きを読む

ナサリン(1958年製作の映画)

4.5

『ナサリンはわたしにとてもよく似ている … 』(ルイス・ブニュエル)
自己韜晦の映画作家、ルイス・ブニュエルの「きわめて個人的な作品」であり、「ナサリン」を理解することが、ルイス・ブニュエル読解の鍵を
>>続きを読む

旅路の果て(1939年製作の映画)

4.8

ルイ・ジューヴェの存在を抜きにしては語ることのできない映画 … 「女だけの都(1935年)」の生臭司祭、「フロウ氏の犯罪(1936年)」の怪盗、「犯罪河岸(1947年)」と「恋路(1951年)」の刑事>>続きを読む

大運河(グランカナル)(1956年製作の映画)

3.5

『……モダン・ジャズ・カルテットとの演奏による音楽、フランソワーズ・アルヌールの二心ある女、アルマン・ティラールの神秘めいた、そして輝かしい撮影、これみな比類なきものだ』(クロード・ブリュレ/パリ・プ>>続きを読む

野いちご(1957年製作の映画)

4.8

『人間が夢の最も深いところで出会う対象は、自己の死である……すべての場合において死は夢の絶対的な意味である』(ミシェル・フーコー)

新宿アート・シアターで「野いちご」を観たのは、1962年(昭和37
>>続きを読む

第七の封印(1956年製作の映画)

4.5

『第七の封印を解き給いければ、凡そ半時のあひだ天静かなりき、われ神の前に立てる七人の御使いを見たり、彼らは七つのラッパを與へられたり』ヨハネ黙示録

イングマール・ベルイマン「第七の封印(Det Sj
>>続きを読む

クリスマス・キャロル(1938年製作の映画)

3.0

今日はクリスマスです。子供のように、素直な感謝と祈りを捧げたいと思います。
『クリスマスおめでとう。神よ、私たちをお恵みください。
みんな一人一人を!』
チャールズ・ディケンズ「クリスマス・キャロル」
>>続きを読む

イニスフリー(1990年製作の映画)

4.5

『さあ、立って行こう、イニスフリーの島へ行こう、
あそこなら心もいくらかは安らぐのか。安らぎは
ゆっくりと
朝の帳(とばり)からこおろぎが鳴くところに滴り落ちる。』
W・B・イエイツ≪湖の島イニスフリ
>>続きを読む

バックコーラスの歌姫たち(2013年製作の映画)

4.0

『人間には共に奏でる才能があるの…(それは)神の贈り物よ。あなたが持つ才能は?(それは)あなたよ。』
(教会博士メイブル・ジョン)
私は映画のこの言葉によって、ゴスペルの精神(こころ)に深く触れること
>>続きを読む

シラノ・ド・ベルジュラック(全五篇)(1922年製作の映画)

-

未見の映画のレビューをするのもおかしなものですが、あえてチェックしたいと思います。なにしろ無声のシラノですから、どんな舞台になるのか、興味はつきません。それに、フランス語のシラノ、英語のシラノ、日本語>>続きを読む

審判(1963年製作の映画)

4.0

『この訴訟の対象、それどころかこの想像を絶した書物(映画)の本来の主人公は…』(ヴィリー・ハース1930年)

原題は≪訴訟―Der Prozeß、Le Procés、The Trial≫、原作も映画
>>続きを読む

大いなる沈黙へ ーグランド・シャルトルーズ修道院(2005年製作の映画)

4.5

『見よ、その時主が通り過ぎて行かれた。主の前には非常に激しい風が起こり、山を裂き、岩を砕いた。しかし、主はおられなかった。風の後に地震が起こった。しかし、主はおられなかった。地震の後に火が起こった。し>>続きを読む

サン・スーシの女(1982年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

『リナとエルザという二つの役において、ロミー・シュナイダーは最美の演技を … 最も悲痛な演技を達成した。まるで神経が露出したようなロミー、リナとエルザは一つの存在でしかない』<ユマニテ>誌

原題は、
>>続きを読む

神々と男たち(2010年製作の映画)

4.5

『わたしは言いました「あなたがたは神々だ。そして皆、いと高き者の子である。しかし、あなたがたは人間のように死ぬであろう。また、あなたがた君侯は、万人のように倒れるであろう」と』詩篇第82篇
 物語は詩
>>続きを読む