菩薩さんの映画レビュー・感想・評価

菩薩

菩薩

ラジオ下神白―あのとき あのまちの音楽から いまここへ(2023年製作の映画)

-

小森はるか自身の個性が遺憾なく発揮されているかと言えば確かにそうは言い難いのかもしれないが、伴奏者達の伴走者となる事で自身をこの活動の中に組み込んでいくのが目的であったとしたらこれは大成功だと思う。個>>続きを読む

水深ゼロメートルから(2024年製作の映画)

1.0

なまじアルプススタンドが変に流行ったせいで本来通す必要もない企画が通ったと言うだけの話だと思うし、原作舞台もその自主制作映画版もYouTubeにフルであがってるのでそっちを観ればいいだけだと思う。私が>>続きを読む

グリーンバーグ/ベン・スティラー 人生は最悪だ!(2010年製作の映画)

3.5

精神疾患持ち40代無職自称弱者男性の解像度の高さにゲロが出そうになる、現在であれば彼の主戦場はTwitterになるだろうが。主たる感情が自己嫌悪でしかないので本当に死にたくなってしまうが、ところどころ>>続きを読む

チャイナ・ガール(1987年製作の映画)

4.0

おもろい、限りなくウエストサイドストーリー的な抗争の中で育まれていくロミオ&ジュリエット的な純愛。それぞれの陣営の中にも穏健派長老vs若手過激派の様に幾重にも対立軸が敷かれてい綺麗にシンメトリーに配置>>続きを読む

青春がいっぱい(1966年製作の映画)

3.7

おいおい青春がいっぱいだなと思ったらタイトルが『青春がいっぱい』だった、看板に偽り無しにも程がある。憎まれっ子は世に憚り悪戯っ子は神を見出す。なんとも軽妙に綴られていく3年間の友情と成長の軌跡(は大胆>>続きを読む

ラブレス(1981年製作の映画)

-

ハーレー、コルベット、コカコーラ、アメリカンダイナー…アメリカの表象みたいなもんが次々に出てくる割には最後までアメリカ映画らしくないと言うか、ジョン・ルーリーが音楽(?)をやっているのもあってかアンチ>>続きを読む

システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたい(2019年製作の映画)

3.5

トリュフォー→ピアラ→ドランと連なる大人は判っちゃくれんのですよ!の息吹を脈々と感じる。ただ作劇それ自体は期待させる→裏切るの反復であるし、児童福祉の限界を突きつけるだけの様な気がして受け止め方に戸惑>>続きを読む

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間(2023年製作の映画)

-

ふむ…。市民同士での略奪が始まったあたりでもう全部消えてしまえよ…と思ってしまったのも事実なのだが、あれこそが戦争のリアルであり、極限状態に置かれた人間の生の姿なのだろう、その対極に様々な死がある。良>>続きを読む

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命(2023年製作の映画)

3.5

神が創りし人間と人間を統べる為のシステムとしての政治と宗教、その脆弱さと矛盾。ユダヤ人を崇めつつもユダヤ人を忌み嫌い蔑む、口実以上に意味を持たないうえで口実に縋り権力にしがみつく。刷り込みと徹底した反>>続きを読む

ガールフレンド(1978年製作の映画)

3.5

ここじゃないどこかを目指すモラトリアムムービーではなく、既に失われてしまった理想郷への回帰をひたすら目指すシスターフッドムービー。早々に関係が破綻して以降はひたすらあーでもないこーでもないとジタバタし>>続きを読む

天使の復讐(1981年製作の映画)

4.4

安い!早い!美味い!みたいな、オモロい!分かりやすい!短い!でもう全部の映画これでいいじゃんってなるやつ。声無き声の復讐劇であると同時に行き過ぎたフェミニズム(それは最早フェミニズムではない…)に対す>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.3

見当違いと言われればそれまでだが人生のテーマをなるべく世界を平らにならすとしているせいかなんか「分かる…」って気分になってしまった。決して軽い気持ちで撮っているわけではないと思うが随分と軽快な作品に感>>続きを読む

乙女の星(1945年製作の映画)

4.4

すんばらしい。城の内部構造同様話もちと複雑なので是非その目でお確かめを!としか言えないが、ジャック・タチが幽霊役やってる時点で勝ちだし干渉は出来ても質量を持たないがゆえにそれ以上は見守るしか出来ない幽>>続きを読む

青春(2023年製作の映画)

3.5

『収容病棟』の様な環境で『苦い銭』の様な題材が展開され『死霊魂』みたいな背中が頻発する、ってことでめっちゃワン・ビン観てる〜って気分に浸れるが(って言うほど観てないが)ワン・ビンにしちゃいたってライト>>続きを読む

辰巳(2023年製作の映画)

4.5

すんばらしい。『ケンとカズ』のブラッシュアップどころの騒ぎではない、日本映画もここまでやれんだよとの意思表示だと思うし、ヤクザ映画が絶滅に瀕する今非常に重要な一本になるのでは。創り手の熱意がまざまざと>>続きを読む

都市とモードのビデオノート(1989年製作の映画)

-

非常に充実した作品になっていると思うし好きな相手を好きな様に撮る過程ではじめは乗り気でなかったヴェンダースのテンションがみるみる上がっていくのが手に取る様に分かる。互いにアーティストとして呼応する部分>>続きを読む

センセイ君主(2018年製作の映画)

3.9

現行朝ドラが大変に面白いので同脚本家と言う事で遂に重い腰を上げてみた。で結果から言うと、ふむ…確かに…となった。あくまでファンタジーとして、なおかつ遥かに守備範囲外から突然の参入でもありあくまで参考資>>続きを読む

愛していると伝えて(1977年製作の映画)

4.0

愛されるより愛したいマジでなドパルデューは不倫相手の為にたいそうな山小屋までこさえて後はもう彼女を寝とって結婚して人生を完成させるだけだと息巻くが、肝心の相手はたいして乗ってこないし関係がバレた旦那は>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

4.5

あまりの素晴らしさにエンドロール入った瞬間に静かに小さく拍手をかましてしまった。大林版のラストがどうかしているので若干エクソシスト展開を期待してしまったのも事実だが、こんなにも美しい終わり方ってあって>>続きを読む

ラ・カリファ(1970年製作の映画)

1.5

ここでの上映時間が112分となっているしそう表記されているサイトもあったりするが、今回の上映時間は91分、どっちが正しいか分からんがこれ短縮版なんじゃないの?ってくらい編集が荒い。労働者側のトップと経>>続きを読む

東京画(1985年製作の映画)

-

代々木公園の竹の子族をミヤシタパークのTikTokerに置き換えればネオTokyo画が撮れる。消失したイメージの探訪、ただ『PERFECT DAYS』で指向したのもそこなのかもしれないが、タモリ倶楽部>>続きを読む

偽れる装い(1945年製作の映画)

4.1

童貞にゃよく分からんNTR未遂もので猛烈にめんどくさく高度な恋愛の駆け引きをしてらっしゃる。流石に主人公の人格が破綻し過ぎていてなんやねんお前死んでしまえと思うが、なんなら冒頭からちゃんと死んでいてな>>続きを読む

リンダはチキンがたべたい!(2023年製作の映画)

3.2

いかにもアニメ版『地下鉄のザジ』を指向してそうなスラップスティック。流石ギロチンと革命の国らしい暴力的かつ強引な進め方だが、基本的なストーリーがたいして面白くない。本作最大の魅力はその絵と色彩なのだろ>>続きを読む

No.10(2021年製作の映画)

1.0

しょーもな。こう言うネタバレ厳禁それ自体が仕掛けになってしまう様な作品をただそれだけで有り難がる時期はとうに過ぎたしそんなに暇でもない。こう言うクソみたいな作品の為にFilmarksは早急に⭐︎0採点>>続きを読む

夢の涯てまでも  ディレクターズカット版(1991年製作の映画)

-

物語の枠組み内である事が明示され続ける割にはそれはひたすら後景化され、結局は人々を如何に移動させ続けるかに付随するものとして物語が存在しているだけの様に思えるし、重要なのはイメージであって景色であった>>続きを読む

ことの次第(1981年製作の映画)

3.9

絶望と停滞を打破する為の旅がもたらす唐突な死、そうして生まれ完結する物語。主張は全て台詞で発せられているし、態度もラストシーンで体現されている、と言うわけでこれと言って言及することもない。当たり前に画>>続きを読む

アイアンクロー(2023年製作の映画)

3.5

5年ほど前から人生のテーマを「男性性から降りる」に定め余生を送っている身としては正直なんの興味も持てない話だったがたぶん結構良い映画だった。改めてA24がここまで頑なに家族を呪いとして描き続けるのは何>>続きを読む

プリシラ(2023年製作の映画)

3.0

あくまでマリー・アントワネットの変奏として。監督名が伏せられていたとしても余裕でソフィア・コッポラやろって分かるくらい署名性に溢れているし、プリンセスストーリーの否定と言う点では現代的かもしれないが、>>続きを読む

さすらい(1975年製作の映画)

4.5

おトイレ映画の前にヴェンダースが便出ぁすである事を決定付けた脱糞映画、と誰一人書かずにいられる忍耐力に感服する。即興的に何が起きると言う話でもなくただ瞬間的に人生が交錯した男と男の話。変わらずにいる為>>続きを読む

まわり道(1974年製作の映画)

3.8

旅は道連れ世は情けと言いつつも人情も慈悲もなく虚無のみがある。全てが無為に帰し未遂に終わる中で自殺志願者だけは少しばかり生きながらえた人生にあまりにも呆気なく終止符をうつ。何に導かれるでもなく当然発生>>続きを読む

こぼれる(2011年製作の映画)

-

こっわ…マジで人肉パイ包みの完成映画かと思った。あまりにもグロい嫉妬心と復讐心、これはこの尺で終わるのがベスト。

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

3.6

初恋の思い出は叶わぬからこそ美しく、人生はもしもが無いからこそもどかしい。きっと猛烈に美しいお話なのであろう事はなんとなく理解出来た、が、童貞である私にはどうしたって理解出来ないお話でもあって絶望した>>続きを読む

つるかめのように(2009年製作の映画)

-

『Every Day』の習作として。愛する人の突然の喪失とそれでも継続していく日常。随分と無骨な卵焼き。記憶装置としてのカメラ。

緋文字(1972年製作の映画)

1.5

堕落論みたいなもんだと取ればいいのかもしれんがマジでめっちゃつまんなくてビビった。編集途中で死んだ?200分を90分にまとめたダイジェスト版みたいなぶち切り方、んでずっと変な音楽鳴ってる、どうした?沖>>続きを読む

ゴールキーパーの不安(1971年製作の映画)

3.8

決定的な負け試合なのにいつまで経ってもホイッスルがならずアディショナルタイムが継続していく。時代的に言えば延長であろうとさっさと一点決めてくれれば試合が終わるのだからさっさと決めてくれとなかば呆れ気味>>続きを読む

成功したオタク(2021年製作の映画)

3.0

事件の概要も韓国芸能界を取り巻く闇も無知なのでアレですが、なんでこんな同時多発的に性加害事件が起きているのですか…?ってまぁ日本だと単純に揉み消されてるだけかもしれんし、徴兵制がある韓国ではそれだけ男>>続きを読む

>|