菩薩さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

アイアンクロー(2023年製作の映画)

3.5

5年ほど前から人生のテーマを「男性性から降りる」に定め余生を送っている身としては正直なんの興味も持てない話だったがたぶん結構良い映画だった。改めてA24がここまで頑なに家族を呪いとして描き続けるのは何>>続きを読む

プリシラ(2023年製作の映画)

3.0

あくまでマリー・アントワネットの変奏として。監督名が伏せられていたとしても余裕でソフィア・コッポラやろって分かるくらい署名性に溢れているし、プリンセスストーリーの否定と言う点では現代的かもしれないが、>>続きを読む

さすらい(1975年製作の映画)

4.5

おトイレ映画の前にヴェンダースが便出ぁすである事を決定付けた脱糞映画、と誰一人書かずにいられる忍耐力に感服する。即興的に何が起きると言う話でもなくただ瞬間的に人生が交錯した男と男の話。変わらずにいる為>>続きを読む

まわり道(1974年製作の映画)

3.8

旅は道連れ世は情けと言いつつも人情も慈悲もなく虚無のみがある。全てが無為に帰し未遂に終わる中で自殺志願者だけは少しばかり生きながらえた人生にあまりにも呆気なく終止符をうつ。何に導かれるでもなく当然発生>>続きを読む

こぼれる(2011年製作の映画)

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こっわ…マジで人肉パイ包みの完成映画かと思った。あまりにもグロい嫉妬心と復讐心、これはこの尺で終わるのがベスト。

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

3.6

初恋の思い出は叶わぬからこそ美しく、人生はもしもが無いからこそもどかしい。きっと猛烈に美しいお話なのであろう事はなんとなく理解出来た、が、童貞である私にはどうしたって理解出来ないお話でもあって絶望した>>続きを読む

つるかめのように(2009年製作の映画)

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『Every Day』の習作として。愛する人の突然の喪失とそれでも継続していく日常。随分と無骨な卵焼き。記憶装置としてのカメラ。

緋文字(1972年製作の映画)

1.5

堕落論みたいなもんだと取ればいいのかもしれんがマジでめっちゃつまんなくてビビった。編集途中で死んだ?200分を90分にまとめたダイジェスト版みたいなぶち切り方、んでずっと変な音楽鳴ってる、どうした?沖>>続きを読む

ゴールキーパーの不安(1971年製作の映画)

3.8

決定的な負け試合なのにいつまで経ってもホイッスルがならずアディショナルタイムが継続していく。時代的に言えば延長であろうとさっさと一点決めてくれれば試合が終わるのだからさっさと決めてくれとなかば呆れ気味>>続きを読む

成功したオタク(2021年製作の映画)

3.0

事件の概要も韓国芸能界を取り巻く闇も無知なのでアレですが、なんでこんな同時多発的に性加害事件が起きているのですか…?ってまぁ日本だと単純に揉み消されてるだけかもしれんし、徴兵制がある韓国ではそれだけ男>>続きを読む

ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

4.0

たぶんめっちゃ面白かったし好きだったし究極のアンビエントムービーだったのに、右側に1秒以上じっと出来ずにひたすらシャカシャカ系の衣擦れやら脚を組み替える音やらチャックの開閉音やらを発生させ続けるクソノ>>続きを読む

RHEINGOLD ラインゴールド(2022年製作の映画)

3.9

色々と宣伝を間違えている気がしないでもないがちゃんと面白い。単なるインスパイア THE 実話系に留まることはなく、戦争映画をスタート地点としてゲットでのプッシャーストーリーを通過しブレイキングダウンが>>続きを読む

美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

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正直思ってたんとちゃう部分があったのも事実だがこれはこれで。個人や個別の事件の掘り下げもだが、同時にアーティストがいかにソーシャルイシューにコミットしていけるか/いくべきか、芸術にとっての独立性に対し>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

1.5

元々ポジティブな印象などまるで無い中で観に行った私が悪いのだが、私はクリストファー・ノーランと言う人物そのものに対して1ミリの興味も無いのだと言う現実だけがただただ鮮明になる3時間だった。被爆者軽視に>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.2

まんま24時間テレビで置き換えられると思ったし、これはもう明確なバリー・ジェンキンス批判なのでは?ただブラックコメディやアメリカンジョークと言った素地があるからこそ「アメリカン・フィクション」として成>>続きを読む

ナチ刑法175条/刑法175条(1999年製作の映画)

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戦時下のナショナリズムの高揚とホモフォビアの加速。第一次大戦後、国力が低下した状態ではユートピア的なゲイコミュニティが現出していたのが興味深いし、当初はナチの中枢にすら同性愛者がいた。その人物の粛清を>>続きを読む

コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー(2022年製作の映画)

3.9

中絶の必要がある女性から中絶の権利を奪い去ったところで彼女達には中絶の必要があるのだから当然合法・非合法問わず、時には莫大な資金を叩いてもしくは危険な方法すら厭わずそれを遂行しようと試みる。その結果と>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

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私くらいになると完成披露試写会に当選していたのに出欠確認の返信を怠った為見事に流したのだが、ほとんど確認作業くらいの気持ちで観たので感想は後章観たら書くつもり。あのちゃんさんの声はやっぱりいいし、イソ>>続きを読む

ほなまた明日(2024年製作の映画)

1.1

田中真琴の顔ファンなので観たまでのことで映画としてはまったくもって無味無臭、感想も何も出るはずもない。私はやってないので知りませんが、Instagramのストーリーとか言うやつを適当に繋げれば誰でもこ>>続きを読む

憎しみ(1995年製作の映画)

3.7

三人の不良と一丁の拳銃。誰がいつ何のためのにその弾を放つのかとサスペンスが持続するが、結局物語の「着地」は曖昧に処理される。ここにいてはいけないと頭のどこかでは分かりつつも、慣れ親しんだ環境に身体が染>>続きを読む

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

3.4

徹底してシャバいと思うがただそのシャバさに留まっていた方がいいと言うか、やっぱり反出生主義ならまだしも優生思想にまで話が飛んでしまうと危ないと思うし、であれば最終的には誰もが納得出来るストーリーを与え>>続きを読む

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

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熱情も敬意も他者という概念そのものが危機に瀕する時代、過去を懐かしむでも羨むでもないけれど、この討論に深く感銘を受けるものが当然ある。言葉が力をもった最後の時代と言うけれど、本来言葉は全ての時代におい>>続きを読む

社会から虐げられた女たち(2021年製作の映画)

4.0

タイトルずばりの映画であるが(なんなら頭に「男性」を付けてもいい)この邦題どうにかならんかったんか大賞受賞出来る。ざっくり言うとイタコがキチガイ扱いされる映画なのだが、似非科学や似非医療が如何に女性の>>続きを読む

14歳の栞(2021年製作の映画)

1.1

ダサくてチャラい大人になりたくないと言わせておきながらダサくてチャラい映画になってて笑う。冒頭の馬ぁ〜の時点で無理かもと半分まで降ろしたシャッターがYOUのナレーション入った瞬間に下まで降りた。二宮健>>続きを読む

戦禍の下で(2007年製作の映画)

3.0

劇中のフッテージと作劇部分の強度が全く噛み合ってないし演技し過ぎなプロ俳優の演技とそうでない一般人とのテンションも全く噛み合ってなくて、これなら素直にドキュメンタリーにすれば良かったのに…と思いながら>>続きを読む

ファルハ(2021年製作の映画)

4.2

最小限の開示で最大限の効果を期待する撮り方が奇しくも『サウルの息子』を想起させる。あくまで個人の目線に沿った展開、それすらも制限される極めて狭い視野かつ浅い被写界深度の中で今日まで続く大惨劇の始まりと>>続きを読む

私の父は正しかった(1936年製作の映画)

1.5

台詞量が多過ぎて完全に脳がシャットダウンした。流石に言語野以外の運動神経が0の作品をただ当たり前に映画として受容するのも難しかったし、他人のエゴを受け入れることも他人にエゴを押し付けることもしたくない>>続きを読む

デ ジャ ヴュ デジタルリマスター版(1987年製作の映画)

4.2

未来・過去・今、人々のドラマ、シナリオはいつも、って感じかと思ったら結構その通りだった。どこまでも逃げ回ろうとしたところで過去は常に貴方を追いかけて来る、史実を史実たらしめる為に英雄を殺める事を宿命付>>続きを読む

ある女の愛(1953年製作の映画)

4.0

マジでDr.コトーの男女が逆転してたらこんな話になってそうで怖い。女性のキャリア追求と幸福追求とが当たり前に両立不可であると思われていた時代、って今もだろうが、70年前にんなアホな話あるかいなと痛烈に>>続きを読む

季節のはざまで デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

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こう言う美しき幼少時代の記憶が立ち上がってくる物語を見るたびに私には振り返るべき思い出というものがまるでないと凹むのいい加減やめたい。あと私にはおそらくシュミット作品を劇場で観る才能がまるでないので要>>続きを読む

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

3.5

どうしてもゴールデン・ボールと間違えてしまいそうだがワシとてカネコの端くれじゃけぇ…との謎の使命感で観たが全然アリだった。スマホと加熱式タバコが出て来なきゃ幾らでも90年代の映画だって言い張れそうだし>>続きを読む

呼吸 友情と破壊(2014年製作の映画)

4.2

主演の足元から始まり背後→横顔とカメラがぐるりと一周し大きめのカフェオレボウルから解放され遂にその顔面が露になった瞬間に謎の勝ちを確信した。そこから先はひたすらビジュアルの勝利が続いていくし、あらあら>>続きを読む

トア(1949年製作の映画)

4.2

トアと言うかメタやないかと皆がツッコミを入れそうな力技。特に前半部なんてオノ・ヨーコで言うところのハプニングばりに一回しか使えない裏技をまんまとギトリに使われたみたいな印象。劇場型演劇映画とでも勝手に>>続きを読む

シャンゼリゼをさかのぼろう(1938年製作の映画)

3.5

ギトリ先生の楽しい世界史講座のつもりで観ていたのに結局助平ジジイばっか出てくるのも時代のせいつかギトリらしいと言うか。君主制と共和制の二つの政治体制の中心を貫くおぉシャンゼリゼが行き着く先の現代そして>>続きを読む

ある正直者の人生(1953年製作の映画)

3.5

経費節約の為に一人二役を課されるミシェル・シモン(笑)が出ずっぱりな時点で嬉しい。瓜二つな弟が目の前で急死し偏屈な兄は自由主義者の弟の人生を歩み続ける。キレ散らかした後に女中の乳を揉む歩くハラスメント>>続きを読む