菩薩さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.6

まさしく妖怪人間ならぬ人造人間のベラが早く人間になりた〜いと学び、世界の不均衡を知覚しながら成長していく話だった。家父長制社会において客体化された自己の中に主体を見出しモノからヒトへと変化していくこと>>続きを読む

違う惑星の変な恋人(2023年製作の映画)

2.0

みらん氏目当てで観に行ったが如何にもタランティーノ大好きです人間が一生懸命原稿用紙の枚数だけ重ねた作文みたいな作品で普通にしんどかった。スキルポイント100あったとしたら96くらいを脚本に振っている為>>続きを読む

ジャガーの眼(1965年製作の映画)

3.0

そこまで悪くないとは思うがそもそも私がスパイものにたいして興味がないってのと、シャブロルにそれを望んでいないってのと、シャブロル自身もあんまやる気無さそうってのとが相まってたいしてノレなかったし流石に>>続きを読む

暴力の街(1950年製作の映画)

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めっちゃ寝てしまったがたぶんTwitterみたいな話にたけしのフライデー襲撃とハロウィンの渋谷を混ぜた様な映画だった。ポストトゥルースを予兆する…みたいな。要再見。

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.5

所謂「丁寧な暮らし」系と一括りにされかねないが…あくまでファンタジー…酪農なんてそんな甘いもんじゃないと分かっていてもこの圧倒的な美しさと純真さの前では為す術がないし、過酷で荒んだ日常をなんとか生き抜>>続きを読む

火星のカノン(2001年製作の映画)

4.3

『冬の河童』の反転とも捉えられようがあちらが遊戯じみた言わば子供の関係性の解消だとしたら、こちらはSEXが前景化されより大人じみた関係性が強調されていく。とは言え結局やっている事は『メロデ』の延長線上>>続きを読む

非・バランス(2000年製作の映画)

4.0

『ごめん』と言い冨樫森はちゃんと相米の元で学ぶべき事を学んだのだろうなと実感出来る一本。教室の窓からの落下なんてまんま『台風クラブ』だし祭りの先のイニシエーションって意味では『お引越し』なんかも感じる>>続きを読む

冬の河童(1995年製作の映画)

4.3

三角関係ならぬ四角ないし五角関係の清算。引っ越し間近の家の片付けは全く手付かずのままむしろ荒れていく一方だが、河童同様ありそうであり得ない近親相姦にも近しい関係を持つ彼・彼女らの関係性は独特なコンフリ>>続きを読む

メロデ Melodies(1989年製作の映画)

4.4

自主映画臭さは程々に抑えられかと言って商業らしいわざとらしさはまるで無く、この言葉を使うのはちと恥ずかしいがあまりにもリアルで等身大な、短かすぎる幸福な三角関係の終焉について。ひたすら絶妙なショットと>>続きを読む

私は決して泣かない(2020年製作の映画)

3.9

ポーランド映画らしい冷めた温度と乾いた質感が非常に良い。ミドルネームも知らないくらい関係が希薄だった父が出稼ぎ先で死んだ、その弔いの為、死体を引き取る為に遥々アイルランドへと向かう娘。おそらく大した思>>続きを読む

いつか見た青い空(1965年製作の映画)

4.0

流石シドニー・ポワチエと言わせんばかりの無双っぷり。視力を失っていて、オカンがセックスワーカーで、ジジイはアル中で、ほぼ自宅軟禁状態で無教育で家事労働させられてて、と要素てんこ盛りお嬢ちゃんをそんな環>>続きを読む

映画 ○月○日、区長になる女。(2024年製作の映画)

2.0

期せずしてネチコヤン映画の側面もあったのは良いとして、後はこれと言って…。内容関係ないがいかにも他人に権利を侵害されるのは嫌でも他人の権利を侵害するのには無頓着な自称リベラルみたいな客層のせいか治安が>>続きを読む

セカンドインパクト(1997年製作の映画)

4.0

あまりにも今の映画であるしこの先トランプが政権に返り咲いた後の未来予想図でしかなく何も笑えなかったが隣の老害クソジジイはずっと笑いとは関係ない場面でもガハハと爆笑を続けていた。州知事と大統領の立ち位置>>続きを読む

悪意の眼(1962年製作の映画)

4.2

簡潔だしオモロいしで無人島に持って行きたいシャブロルランキング1位説ある。先に新文芸坐シネマテークで観せてもらった所謂エレーヌサイクル作品群の原点的つか雛型みたいな捉え方で良いのだろうか?他人の幸福は>>続きを読む

レオノールの脳内ヒプナゴジア(半覚醒)(2022年製作の映画)

4.0

「レチノールでもう無い皮膚の小皺」かと思いスキンケアの映画のつもりで観に行ったらそもそもタイトルが全くちゃうかった

と書きたいが為に行ったようなとこがあるが遊び倒し映画ですげかった。とは言えご覧にな
>>続きを読む

猿女(1964年製作の映画)

4.2

まさかのマルチエンディングシステムで家帰ったらクロノ・トリガーやろうと思った(マジでやりたい)。フェレーリ的には当然ディレクターズ・カット版の旦那の動物的な生存本能が勝る人間としての倫理観の死エンディ>>続きを読む

私は彼女をよく知っていた(1965年製作の映画)

4.0

お見事。邦画で言えば『月曜日のユカ』とか高度経済成長期の日活映画なんかに接続出来そうな浮かれてイカれた時代の都市のネオレアリズモ。圧倒的な美貌を誇る女優の卵の刹那的と言えば聞こえの良いざっくり言えばパ>>続きを読む

イみてーしょん、インテリあ。(1985年製作の映画)

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よく言えば漫画的だし悪く言えば漫画的過ぎると言うか、むしろここから飛び立って行った漫画家が沢山いそうだけど。話を掴むよりはその瞬発力やら俊敏性をそのまま享受する方が良いのだろう。アケルマンの短編の様な>>続きを読む

ザ・スチューデント(2016年製作の映画)

3.6

厨二病映画の極北と言った感じで非常になんと言うかまぁあの…うぜぇしイラつく。自分の言葉で語る事を拒否しひたすら聖書の引用で相手をねじ伏せていくしょーもないスタイル、おかんにだけは内弁慶だしミソジニーの>>続きを読む

ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

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星をつける様な作品でも感想を述べる様な作品でもないと思うので割愛するが、超情報量&爆速の為、配信向けかなとは思う、と言うか様々なプラットフォームを活用してばら撒かれていくべき作品だと思う、なんせ相手は>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.8

絶対つまんねーだろとたかを括りボッコボコにしてやんよと記しておいたそれっぽい下書きを一掃した事をまず皆様に詫びなければならない、マジですまん。余裕で全然アリだったし、なんならめっちゃ面白かった、マジで>>続きを読む

アース・ママ(2023年製作の映画)

1.5

バリー・ジェンキンスのバの字もないのにあまりにもバリー・ジェンキンス枠で超つまらん。妊娠出産可能性もない男性の私が何を言わんやなのでコメントは差し控えるが、頼むから出産をスピリチュアルに結びつけるのは>>続きを読む

アンチクレンチング・フィスト(2021年製作の映画)

3.1

なんとも言い難い映画であらすじに書いてある事が全てですって感じではあるが、親密過ぎる兄・妹(姉)・弟の三角関係の様な関係性と肉体的なコミュニケーションは確かにソクーロフの『〜・サン』シリーズに連なって>>続きを読む

ゴッズ・クリーチャー(2022年製作の映画)

2.5

しきたりが疑いもなく支配する寂れた漁村で巻き起こる放蕩息子の帰還が巻き起こす天国と地獄の話。ほとんど松本人志の話と言うか取り巻きが観るべき映画ではあると思う、それこそ志らくらへんが。そりゃLankum>>続きを読む

ソルフェリーノの戦い(2013年製作の映画)

4.3

めっさ面白い。今まさに国の命運が決まる右派・左派大分裂の大統領選の行方が決する今日その日に水面下で密かに進行する極々家庭的かつ個人的なもう一つの戦い。徹底したコミニュケーションとコントロールの不可能性>>続きを読む

キングダム エクソダス〈脱出〉(2022年製作の映画)

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最後の最後まで「なんじゃこりゃ」の連続でドチャクソおもろかった。I、IIはそれでもまだ異様な雰囲気と相まってホラーと分類出来るのかもしれないが、エクソダスに関してはもう完全にやっつけコメディ、シン・エ>>続きを読む

彼方のうた(2023年製作の映画)

4.3

スマホで地図を見せてくるのにGoogle先生のお導きには一切従うつもりが無い他力本願人間が嫌いなので私であればそもそものドラマが始まらない、だから私の孤独は私で癒すしかないのだと猛烈に痛感した。

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ミツバチと私(2023年製作の映画)

2.0

来月エリセの新作を上映するにあたって無理矢理ねじ込まれたミツバチ映画感が強い。絶対好きだろうと思って観に行ったのに思いの外と言うか全くハマっていないのが自分でも謎すぎる。いい映画だしいい話だし大事なこ>>続きを読む

ザ・ヒューマンズ(2021年製作の映画)

4.4

多くの人はこれを観て悪趣味だなんだと言うのかもしれないが、私の様な人間からすると他人の忍耐や清貧の日々を勝手に美化しなんの説得力もなく人生は美しいなどと嘯く方がよっぽど悪趣味に思える…。この映画は明日>>続きを読む

エターナル・ドーター(2022年製作の映画)

1.5

齢40に迫ろうとも大魔導士として大成するその日を目指し日々の研鑽を怠らない私の様な人間に向けられた映画だと思い観に行ったもののエターナル・童貞ではなくドーターであった

と書きたいが為に観に行ったと言
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Saltburn(2023年製作の映画)

3.0

愛憎渦巻く階級闘争テオレマにリプリーと君の名前で僕を呼んでと仄かにシャイニングを添えてみたいなぐっちゃ煮映画。性癖くすぐり映画及びバリー・コーガンにこんな事やらせてみたムービーとしては当然の及第点だろ>>続きを読む