菩薩

私は彼女をよく知っていたの菩薩のレビュー・感想・評価

私は彼女をよく知っていた(1965年製作の映画)
4.0
お見事。邦画で言えば『月曜日のユカ』とか高度経済成長期の日活映画なんかに接続出来そうな浮かれてイカれた時代の都市のネオレアリズモ。圧倒的な美貌を誇る女優の卵の刹那的と言えば聞こえの良いざっくり言えばパパ活ライフみたいな、ただ彼女の外見は本人の意に反してただただ消費と搾取の対象となり文字通り「コップの水が溢れた」彼女は悲劇的な結末を迎える。猫好きブルーカラー青年と「やまとなでしこ」みたいな展開になるかと思いきやそうもならず、ならラスト10分くらいいらなくない?と思いつつ観ていると唐突にブレッソンみたいになってビビる、とまぁその前に明確に結末は示唆されていたわけだが。経済成長が主に男性にのみ恩恵をもたらす一方で加速して行くミソジニーと芸能界の闇、せっかく成功を掴めたと思いきや映画の幕間のダシにされただけの悪意しかない切り抜きはちゃんと訴訟すれば勝てそうだったが…。破裂するタバコ→『バリエラ』?カーステレオとヘッドライトでダンス→『コロンバス』…だっけ…?とにかくビジュアルが強いのでル・シネマあたりでリバイバル行けそう、そんでみんなどん底の気分で街に放たれれば良い…。脚つか靴のモデルなのにバッキバキに衣装着込んでフルメイクで撮影に臨むシーン、今思うと健気過ぎて泣ける。
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