菩薩さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

カントナックの財宝(1950年製作の映画)

3.3

全てが転倒しているコメディとヴェーラの紹介にある様に確かに全てが転倒しているのだが、結局のところこの古き良き封建制度の復活と労働礼賛の物語が行き着く先は映画製作の様な気がしたし、わざとらしいまでのアル>>続きを読む

ある日、ピナが…(1983年製作の映画)

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そういや遥か古に日本語字幕付きで無料配信されてたのを完全に見逃したんだよなと思い出した。今回は日本語字幕ないのでさっぱりだったが、字幕ある部分は正味5分くらいで後はひたすら舞踏だし観てるだけでおもろい>>続きを読む

裸の幼年時代(1968年製作の映画)

3.0

トリュフォーがプロデュースで参加している上に主人公の名前がフランソワのクソガキものと言う時点でポスト・『大人は判ってくれない』であることは明白だろうし、本来であればネオリアリズモまで一度回帰したうえで>>続きを読む

ジャンキーばあさんのあぶないケーキ屋(2012年製作の映画)

3.6

凄い、笑える様で笑えないコメディだ。夫に先立たれ年金だけじゃ生活が成り立たずヘイトを拗らせ家族とも不仲のどん詰まり意地悪婆さんがひょんなことから売人として成り上がっていく。はじめは婆さんが売人なわけや>>続きを読む

愛の犯罪者/ラヴ・イズ・パーフェクト・クライム(2013年製作の映画)

3.5

宮台真司みたいなマチュー・アマルリックが無意識的に犯罪を重ね意識的に罪を犯していく。自罰的とも取れる様に破滅の道を邁進していくが、ギリギリのところで理性を保ってもいる。開放的であり衆人環視下にあるキャ>>続きを読む

これで三度目(1952年製作の映画)

3.8

流石ギトリは役者だとある意味唸る。なぜだか日本人に愛されNO.1のNTRモノだし、ヴェーラで観たらジジイたちが事あるごとにガハガハ鳴り出す光景が目に浮かぶ。冒頭はお馴染みの丁寧な人物紹介から入り、自由>>続きを読む

ソウルメイト/七月と安生(2016年製作の映画)

1.1

ただの確認作業。結局韓国版と大差ないと言うか割りかし真っ当にリメイクされていたが、どちらもエモ全振りのPVムービーで全く受け付けずだし、そもそもが射程外。ビジュアル的には韓国側に軍配、映画的には幾分こ>>続きを読む

マリア 怒りの娘(2022年製作の映画)

3.0

愛すべき人がいて時に強い孤独を感じ、だけど愛すべきあの人に結局何もかも満たされる映画かと思ったから案外そうだったし、キズを負った全ての者達…に捧げられるべき作品だった。ただ映画そのものの出来を問うなら>>続きを読む

ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

1.0

カロリー0だし離乳食より噛み応えがないのをプラスと取るべきかマイナスと取るべきかは知らんが、単純な話でドキュメンタリーの方を観ていればこちらを観る必要はまるでないし、こっちしか観ていないのであれば敢え>>続きを読む

パラダイスビュー(1985年製作の映画)

3.5

細野さんが出ているし細野さんのサントラが神なのでアレだが、話はろくすっぽ分からんと言うか文化的背景に無知過ぎて理解が追いつかない。おそらく宙ぶらりんな魂の話で、それを沖縄の現状と被せているんだとは思う>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

1.1

全く興味が持てないまま終わったもんで変な声出そうになった。陰謀論、ポスト・トゥルース時代を象徴する法廷劇とでも言えるのかもしれんが夫婦喧嘩は犬すら食わぬとよく言ったもんで、そんなイッヌにアスピリン食わ>>続きを読む

ソウルメイト(2023年製作の映画)

1.1

オモロい・オモンないの話でなくそれ以前の問題と言うかそもそも私はこの作品の射程距離外の人間であったろうからコメントする権利もないのだろうがにしたって流石に退屈が過ぎるしわざとらしいし泣いて泣いてオーラ>>続きを読む

ウンタマギルー(1989年製作の映画)

4.0

素晴らしくフリーキー。日本映画の文法に全く染まっていないまさに琉球映画と呼ぶべき一作か。こう言うのを観ると小林薫は状況劇場出身だったなと思い出すし、戸川純のキャラクター性は言わずもがな、青山知可子が何>>続きを読む

ネクスト・ゴール!世界最弱のサッカー代表チーム0対31からの挑戦(2014年製作の映画)

3.5

観るか観ないか分からんけど一応お湯が・湧いてTEAの新作に向けての予習くらいのつもりで観たのだがしっかり号泣した、私とてかつては青春の全てをウィニングイレブンに捧げたことを忘れていた。オランダ人監督が>>続きを読む

雨降って、ジ・エンド。(2020年製作の映画)

1.2

映像ユニットを自称しているくらいだからそもそも映画を撮る気なんてないのだろうと思ったら結構な本数撮っててビビる。古川琴音史上最高に可愛い古川琴音が観られたからいいものの、作品自体にさして加点ポイントは>>続きを読む

幼い依頼人(2019年製作の映画)

1.5

このテーマでエンタメに振る必要があるのか甚だ疑問だし子供の命が奪われた凄惨な事件を感動ポルノに仕立てるわざとらしさばかりが先行して結構最悪な部類の作品だと思う、石井裕也がやりそうな感じ。結局は無責任な>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.0

悪夢のトゥルーマン・ショーと一言で説明出来てしまう様な物語にこの尺を割く必要があったのかと甚だ疑問だしその表象があまりにも陳腐過ぎると言うかチンポ過ぎる。頑張れば『ジョーカー』とも接続出来そうな車に轢>>続きを読む

濡れた荒野を走れ(1973年製作の映画)

4.0

脚本がアナーキー過ぎる。後半に向かうにつれどんどん破れかぶれになっていくが、一応自分達の組織を裏切ったが為に廃人化ならぬ狂人化したパイセンをどうにか正当防衛に見せかけてぶっ殺す、って言う筋は通ってるぽ>>続きを読む

タンゴ ガルデルの亡命(1985年製作の映画)

3.9

エリセの新作に「タンゴ ガルデル」ってワードが出て来たからいい加減観なければ封を切った。ただこれと言って共通点があるかと言うと…劇中劇があってそのラストがなんちゃらかんちゃらくらいなもので直接的な繋が>>続きを読む

フタバから遠く離れて(2012年製作の映画)

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原発に生かされ原発に殺された町、得たものと失ったものを並列に並べる。目先の金、過去との絆、未来への希望、それでも今を生きるしかない人々の揺れる心をマスコミお断りの先に踏み込むカメラが映し出していく。帰>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.5

とりあえず君を描くよと書いてそれだけでいいかと平井堅しかけてしまうのは私だけではないはずだがあながち的外れでもない感じだった。そういや最近「あの人は今」的な番組やらないなぁと思いつつ、渦中の人物を探し>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

5.0

かつての自分を思ったり今の職場を思ったりしながらぐぬぬ…となってしまう瞬間が確かにあったのだが、ミヤケショの新作だ!と高めに設定したハードルを安易飛び越えてくるあたりは流石だし、ケアとシェアに対する真>>続きを読む

チョコリエッタ(2014年製作の映画)

1.5

玉石混淆ではあると思うが基本的には石、フェリーニに言わせればそんな石にも意味があるとなるのだろうが、やはり石は石でしかない場面が多い。何よりこんなつまらない台詞書く人だったか?と思う瞬間が多過ぎる、青>>続きを読む

オロ(2012年製作の映画)

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オロにどうして監督は高齢なのに映画を撮るんですか?と尋ねられた監督がだって私はチベットが大好きだからと返答する。本当にただそれだけかもしれないが何よりも強いであろう動機、自分は外部の人間だからと臆する>>続きを読む

ねこぢる草(2000年製作の映画)

4.0

哀れにも幼くして絶命した弟と死神に魂を半分抜かれた姉。姉の欠けた魂を取り戻す為に弟は最後にして大いなる旅路に出立し無事にそれを取り戻すものの、おそらく回復した姉は弟の世界を去り彼は一人寂しく死の世界に>>続きを読む

Here(2023年製作の映画)

4.5

確かに『ゴースト・トロピック』に比べるといささかとっつきにくいのかもしれないが、どちらにも共通するのは監督ご自身の移民労働者に対する深く温かい眼差しと、マクロな視点で世界を見たうえでミクロに光る美しさ>>続きを読む

恋の浮島(1982年製作の映画)

4.0

モラエス(役)のたどたどしい日本語がなぜだか癖になるが当の本人は確かバッキバキに流暢に日本語話せたよなと思い出した。故郷から遠く離れた異国の地で愛に殉じた異邦人とすれば聞こえはいいのかしれないが、終盤>>続きを読む

機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-(1998年製作の映画)

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およそ15年ぶりくらいに観てもなんのこっちゃであるのでが正直なところだが確かにこんな感じでオールスター感謝祭やってたよなぁと朧げながら思い出したりもした。この内容で80分にねじ込む気合いがおそろしいし>>続きを読む

叛軍No.4(1972年製作の映画)

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No.1からNo.4へと至る過程のいつどこでどの様に指向が変化していったのかは分からないし、そもそもの目的がNo.1が目指したであろうそれなのかNo.4が辿り着いたそれなのかも分からない。ただ『ねじ式>>続きを読む

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

5.0

鑑賞後に思わず「カン…ペキ…」と薬師丸してしまうくらいには大好きなやつだった。惜しむらくは80分の短尺、なんなら120分フルで彼女のささやかな冒険にお付き合いしたかった。確かにアケルマンらしきものを強>>続きを読む

境界線(1966年製作の映画)

3.8

先週の『ジャガーの眼』との落差と言うか柔と剛の使い分けと言うか、シャブロルの幅の広さと器用さをこれでもかと堪能出来た。前半はこれ登場人物多くて苦手なやーつだ…と思い観ていたが、この手のやつはどんどん人>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

5.0

言わずもがなではあるが当然の格好良さにとびはねる以外のコマンドを消失しアタック・コイキング・チャンスになった(?)。DVDを持っているしわざわざミニシアターに観に行く必要はあるのかい?との自問自答は全>>続きを読む

熱のあとに(2023年製作の映画)

1.0

驚愕のつまらなさ。私の中のノーパンチ松尾が「もぅ何言ってんの〜超つまんねぇじゃん。お願いだから死んで〜村で大切にされてる御神木切り倒して〜」と連呼している。愛についての問答とは大層だがスッカスカの脚本>>続きを読む

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man(2005年製作の映画)

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ちゃんと二月一日にこれを再鑑賞した自分の真面目さを褒めたい。ネットの闇が世界を覆い尽くした今改めて観ると笑い男を象徴とする善意とも悪意ともつかぬ孤独かつ複雑な行動の連鎖はより現実味を帯びるし、村井ワク>>続きを読む

せかいのおわり(2004年製作の映画)

4.3

ノストラダムスの大予言は見事に外れあんだけ危惧されていた2000年問題は何一つ社会をかき乱すこともなく、なんだかんだとこんな平凡な日常がこれからもずっと続いていくのだろうと安心とも絶望とも言える感情を>>続きを読む