菩薩さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ショーイング・アップ(2022年製作の映画)

3.9

そうなんですよ、ネチコヤンって時々あぁ言うことするんですよ…と完全飼い主目線で観たがそれでもかわゆいネチコヤンムービーだった。『エンパイア・オブ・ライト』もケアの象徴として鳩が君臨していたが、この共通>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

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誰一人ヴェンダースがトイレの映画撮ったらほんまもんの便出ぁ〜すやないかと書かずにいられる忍耐力の強さに感服している。渋谷を美化する意味も清貧を讃える意味もまるで見出せないのでそもそも鑑賞者として失格だ>>続きを読む

愛と激しさをもって(2022年製作の映画)

3.6

2番目に好きな人と結婚した方が幸せになれるみたいな話をよく聞くが、結局それをしてしまったが為に最愛の人を振り切れず傷つけ自分も傷つき取り乱すみっともないビノシュを愛でる映画。『ポトフ』の純愛とは全く正>>続きを読む

ストロベリー・マンション(2021年製作の映画)

1.1

マトリックスみたいな事がやりたかったんだろうなってのは夢へ入る時(と言うかベラの家にだが)にレッドアイスを舐める時点で容易に想像がつくが、コンセプトばかりが先行して内容が全く追いついてない感が酷い。つ>>続きを読む

ファニー・ページ(2022年製作の映画)

4.2

序盤20分の爆速具合が異常。中盤以降は徐々に落ち着きを取り戻すものの、話それ自体は最後まで支離滅裂で全く視点が定まらない。主演俳優の鼻毛の出方に物足りなさを感じたのは初めてだし、あんだけオンボロの車を>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

3.6

ファーストショットが(ちと短いが)あまりにもジェームズ・ベニング過ぎて珍しく「進研ゼミでやったやつだ!」みたいな気分になったが全く初めましての人に献辞が捧げられててそっちへの目配せっぽくてすいませんと>>続きを読む

ベイト(餌)(2019年製作の映画)

3.5

古典と前衛が同居する独特の質感の中で古きが新しきに駆逐されていく物語が進行していくが、同時に映画そのものがその様な一方的な流れに対し常に栄光への敬意と未来への革新と共に歩みを続けて来た芸術である事も再>>続きを読む

ヴィオレット・ノジエール(1978年製作の映画)

3.0

ハコイリ・ユペールとパパカツ・ユペールの二面性を楽しむ映画、とそんな単純なものでもなく…。確かに獄中で己の人生の回顧録を綴るかの様に語りをするとなると、こう言った感じにあっちゃこっちゃと行き来しそうで>>続きを読む

盗むひと(1966年製作の映画)

3.9

万引き家族ならぬ強奪母ちゃんだったし冒頭からめっちゃデュラスでこれもうデュラスの映画じゃんって思ってたら無料配布の豪華リーフレットに「盗むひととはデュラスのことでもある」的な事が書いてあってマジですま>>続きを読む

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

4.1

すげい良かった、すげい良かったのだが、同時に私はおそらくこの映画の本質的部分には全く踏み込めていないとの思いも強い。なんせ富士そばと松屋があれば全てが事足りるくらいには食に興味が無いし、愛がなんたるか>>続きを読む

ファウスト(1926年製作の映画)

4.0

クリティカルエディションを外側のケースが無いからと相場の半額くらいで譲ってくれた天使みたいな人のおかげで観られましたありがとうございます、私なら適当に100均とかでケースだけ買ってむしろ相場より高く売>>続きを読む

フィーリング・ザット・ザ・タイム・フォー・ドゥーイング・サムシング・ハズ・パスト(2023年製作の映画)

1.0

死ぬほどつまらんかったしこれに費やした時間で何が出来たろうかと心の底から悔いた。掌編集と言えば聞こえはいいかもしれんがこんなん単なる箇条書きだし、一文しか呟かない毒にも薬にもならないTwitterアカ>>続きを読む

マンバール・ピエレッテ(2023年製作の映画)

3.6

ベルギーを拠点にとの事で当然の様にダルデンヌテイストだし(そもそもドキュメンタリー出身らしいが)貧困と浸水の関係なんてめちゃくちゃ『パラサイト』っぽい。オリジナリティはさして無いが、自身の周囲の搾取や>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.5

優勝どころの騒ぎではない4連覇、クッソ最高で80分あったらしいが4分で終わった。そもそもおかえりカウリスマキの想いで溢れちゃって自然と泣くし落ち着いた頃カウリスマキ的としか言い様がないイッヌが出てきて>>続きを読む

ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)

3.0

なんだかよく分からないままぼんやり観てたらなんだかよく分からないままふんわり終わった。『セブン』と『ソーシャルネットワーク』の中間みたいな、だからこそどっちつかずの印象しか残らないし、結局リスベットの>>続きを読む

ルクス・エテルナ 永遠の光(2019年製作の映画)

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滅びゆく映画撮影現場の混沌をそのまま一本の映画にしてしまおうとの豪胆さは買いたいが如何にも門外漢がアートにかこつけて金だけ出しました臭がしてノレないしこれなら池田亮司やらカールステン・ニコライあたりが>>続きを読む

クリアチューラ(2023年製作の映画)

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まさかの発疹映画で大変面白かったのだが童貞の私の手に負える代物では無かった、と言うか結局のところ何が言いたいのかよく分からず。ずっとペニス羨望と言うか、ファルスが欠如した自身に対する違和の話のつもりで>>続きを読む

最悪な子どもたち(2022年製作の映画)

3.0

役者を現地調達して職業俳優がただそれだけで醸し出してしまう虚構性を一度剥ぎ取り映画により一層のリアリズムを付与するなんてのは他の作品でもよく行われている事だと思うが、本作の肝はそうして選ばれた子供達に>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

3.4

鑑賞前に「下町のナポレオンが…」とだけ下書きに記しておいたのだが、しっかり中村ゆりが勤務するスナックの酒棚にいいちこが並んでおったので無駄にならなくてよかった。

山中で白骨遺体発見との報を知らせるテ
>>続きを読む

The Goldman Case/ゴールドマン裁判(2023年製作の映画)

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本当にカメラが一歩も裁判所の外に出ないガッチガチの法廷劇。観客を陪審員席に誘う為の狙いらしいが、個人的には傍聴席に打ち捨てられた様な疎外感の方が強かった。あとこれは観る前から分かってたから自分でも何を>>続きを読む

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

5.0

映画は夢だと言うくせにどこまでも現実の話で人生についての映画だった。この映画をどの尺度で受け止め理解し咀嚼していくべきか分からぬぬままただ一方的に喰らった。意図的に避けているのもあったりでノエの作品を>>続きを読む

あるじ(1925年製作の映画)

4.5

素晴らしい、映画史上最も忌み嫌われるべきである男性の物語は映画史上最も幸福なラストカットへと導かれる。映画史上最強のフェミニズムムービーことジャンヌ・ディエルマンに先立つこと50年、既にマルクス主義フ>>続きを読む

アポロニア、アポロニア(2022年製作の映画)

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たぶん面白かったんだけど Strangerのあの狭さで平然とずっと微妙に喋ってる馬鹿がいたのでノーカウント。風変わりな出自を持ちフリーダ・カーロを彷彿とさせる力強い画風と眉毛を持つアポロニア・ソコルが>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.9

めっちゃ面白い。東映アニメフェスと共に育った私としては随所にドラゴンボールの息吹を感じるのが嬉しいし野沢雅子が目玉のオヤジやってる時点でまだまだ新鮮な感動がある。何より話がしっかりとしているし、戦中・>>続きを読む

不運な人々(1921年製作の映画)

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隣り合う者達がたかだか信じるものが違うくらいで互いの手に武器を取り歪み合い殺し合う事の理不尽さを既に100年も前に見事に訴えかけていると言うのに今はこうして迫害されていた者達が意気揚々と迫害する側へと>>続きを読む

裁判長(1918年製作の映画)

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男性社会の自縄自縛とその中で勝手に運命を弄ばれる女性と言う構造に自覚的にある時点で既に現代を先取っていると言えるのでは。女性の逃亡が幸福へと直結するのに対し男性の逃避は死へと突き進んでいく。贖罪の一言>>続きを読む

夏の嵐(1944年製作の映画)

3.3

罪悪感と自己防衛本能、確かに人が生きていく上で重要な二大項目であるが、この映画のクソおっさんは俺だって罪悪感抱えとるがな!と言う割には自分のせいでシベリアに流された相手には「たぶん死んでるからOK」と>>続きを読む

ナポレオン(2023年製作の映画)

3.6

想像通りっちゃ通りだがめっちゃ贅沢な世界史の授業を2時間半受けたみたいな感覚で授業2コマ分の疲労感がある。世界史リテラシーギンギンの高校三年生の頃に観たら思わずベストとか口走りそうなくらいしっかり作り>>続きを読む

ほかげ(2023年製作の映画)

3.0

よく言えば塚本版『ゆきゆきて、神軍』であるしスラムダンクで言えば8巻、ワンピースで言えば59巻であるが、あくまで『野火』の補遺として意味をなす映画であると思うし、内容的にも散々擦り倒されてきたもんを尚>>続きを読む

RR(2007年製作の映画)

4.2

これは単純に面白いしたぶん誰が観ても面白いって言う。貨物列車がフレーム内を駆け抜けるだけだがその長さには当然ばらつきがあり、くっそ長いやつはクッソ長え…と思いながらいざ通り抜けると謎の寂寥感があるし、>>続きを読む

Ten Skies(2004年製作の映画)

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ずっと空と雲、の中に雲ではない人工的とそうでない煙状のものが二つ。ニョキニョキと増殖しながら動いていく雲はじっと見てるとなかなかキモい、フレームがギリギリ覆い尽くされない感じがモヤっとする。面白くはな>>続きを読む

サーティーン・レイクス(原題)(2004年製作の映画)

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流石にアンビエント過ぎるきらいもあるが当然のことながら静止した時間など1秒たりとも無い。静と動、微動だにせぬ遠くの被写体に対し前方の湖面は絶えず揺らいでいる。むしろそれを揺るがす風を可視化したものかも>>続きを読む

キャスティング・ア・グランス(2007年製作の映画)

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ランドスケープを切り取りながらオブジェクトにも接近しているベニングにしては珍しいタイプなのかも、慣れないカタカナを使ってみた。35年間の歴史を2年の撮影期間で再現する。太古の自然の様にも見え、同時に滅>>続きを読む

Zorn Ⅲ (2018-2022)(2022年製作の映画)

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ジョンと言えば万次郎…じゃなくて今でこそケージやレノンかもしれないが、これがやがてゾーンへと移り変わる未来が見える…。ジョン・ゾーンと言えば世界最強レーベルTZADIK、空耳アワーの「ならできないじゃ>>続きを読む