菩薩

PERFECT DAYSの菩薩のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
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誰一人ヴェンダースがトイレの映画撮ったらほんまもんの便出ぁ〜すやないかと書かずにいられる忍耐力の強さに感服している。渋谷を美化する意味も清貧を讃える意味もまるで見出せないのでそもそも鑑賞者として失格だろうし、ラストシーンもサイコパスかく生まれたりに思えてゾッとした、あの過重労働がそのまま続いていたらそうなるだろうけど。世界は日々移り変わる、それもどんどん悪い方向へと。だからこそ平山の様に存在そのものが抵抗とならざるを得ない人間がいる事をもう少し真面目に考えるべきだと思う、だってこれを観て「こんなふうに生きていけたら」って本心から思える人は多くないでしょ。古きは新しき価値を得ることでより強くなる、けどそれを排除し続けているのが渋谷という街だと思うし、この映画と同じくぱっと見は綺麗だけどそこに集う人々の美しくなさをあまりにも無視し過ぎだし、下町との対比も平凡過ぎる。こんな醜く酷い世界がなんとか形を保ち続けているのは見返りも求めずせめて定位置に戻そうと奮闘している存在が沢山いるからですよ、やれば出来るを皆がやらないからやらなきゃいけない人に対しての負担が増えるんですよ、それを耐え難きを耐え忍び難きを忍び精神でなぁなぁとしていくから人は潰れていくんです。それでも瞬間的な美を愛せよと言われたらもう返す言葉はない、こうして表面的な美しさだけを享受して生きていくのも楽しかろう。Jリーグ開始当初の様な空虚なから騒ぎ感が最後まで拭えなかったし、これを日本人監督が撮れなかった時点で負けだと思う。日本が世界に誇れるものはもうトイレ文化だけとなった、ただそれだけを確信した。
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