菩薩

ショーイング・アップの菩薩のレビュー・感想・評価

ショーイング・アップ(2022年製作の映画)
3.9
そうなんですよ、ネチコヤンって時々あぁ言うことするんですよ…と完全飼い主目線で観たがそれでもかわゆいネチコヤンムービーだった。『エンパイア・オブ・ライト』もケアの象徴として鳩が君臨していたが、この共通項はちと面白い。お湯は出ないし、オトンはアホだし、兄ちゃんは奇行種だし、隣人は先を行き過ぎたライバルでウザいしと、人生のままならなさをひたすらにご開帳していく。ジャコメッティの立像が人間の空虚さの象徴としてあのフォルムをしている様に、彼女の手から生み出されるものも理想と現実とを象徴するかの様に焼成される。それでも羽を休めた鳩は飛び立ち、悩める彼女も芸術家としての飛躍を遂げる終わりよければすべてよしとでも言わんばかりの清々しいラスト。タイヤでブランコ作る時の縄の結び方が完全に首を吊る時のそれで、早々にこいつ死ぬんかなと不安になった。
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