菩薩

夏の嵐の菩薩のレビュー・感想・評価

夏の嵐(1944年製作の映画)
3.3
罪悪感と自己防衛本能、確かに人が生きていく上で重要な二大項目であるが、この映画のクソおっさんは俺だって罪悪感抱えとるがな!と言う割には自分のせいでシベリアに流された相手には「たぶん死んでるからOK」とか言うとんでも自己中理論で納得させようとしてくる、本当に死ねばいいのに、死ぬけど。弱く醜く愚かな男と強く逞しく賢い女、一つの時代と共に男達の虚飾に塗れた人生も終焉を迎えていく、再出発など許されない苛烈さ。事件を目撃したメイドがその証言の最中、自分が今証言している人物そのものが目の前にいる!と気付いてしまう瞬間のサスペンスと自己防衛本能。判事の助手のおじさんの「またまた〜」→「マジ!?」の悲しい背中と、法廷で罪を告白しようとする判事に運命の悪戯を仕掛けるちょっと邪魔よおばさんが忘れ難い。伯爵の没落ぶりを煙草を盗む一連のくだりでさらりと印象付けるの上手い。結局はこれ理性と本能の話か。
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