菩薩

ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワーの菩薩のレビュー・感想・評価

4.0
羨望される男性の肉体と欲望される女性の肉体について、面白いより分かりやすいが勝つ。あまりにも一方的だとの批判はされて然るべきだし、それはあまりに単純な切り抜き過ぎて本来の文脈無視し過ぎでは?と感じるクリップもあった様に思うが(既に具体例は出ない)、ハリウッドのこの悪の三位一体が如何にワインスタインの様なモンスターを生み日本でも園子温や榊英雄の様な人間を生み出したかを考えるとやはりぐぅの音も出ない。女性と言うより女体のオブジェクト化と言うべきか?男性の男性による男性の為のそれがいかに現実世界に悪影響を及ぼすかなんてのは当たり前に指摘されるべきだと思うし、ファンタジーとリアルの線引きを曖昧にし、差別と加害を助長させて来た責任が確かにメディアにはあるのかもしれない。ただその責任を個の作品に背負わすべきかと言うとまた話は変わってくる(中には背負うべき作品もあるが…)し、ここでの仮想敵もあくまで映画業界の構造そのものであり背後の家父長制社会である。映画というより講義と言った趣だし、めっちゃNetflixで配信されそうな雰囲気だったが、これは映画オタクを名乗るのであればエンターテイメントよりもお金を出すべき道徳の授業だし、ヴァルダの言葉を借りるのであればこの作品を通して世界を「見ること」が大いなる一歩に繋がっていくと思う。次の100年、その次の100年の為にいかに変化を望んでいくか、変わるべきは我々観客の眼差しそのものかもしれない。
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